X線とは?

マイクロ波・赤外線・可視光線・紫外線などと同じく電磁波の仲間です。電磁波の中では紫外線よりも波長が短く(1pm~10nm)、エックス線が物質に入射すると透過、吸収、散乱などの現象が発生します。透過や吸収の性質を利用してレントゲンなど医療分野の診断などに広く利用され、また工業用の分野でも非破壊検査に活用されています。

エックス線の中でも波長が長く、物質を透過しにくい(吸収されやすい)範囲を軟X線、波長が長く物質を透過しやすいものを硬X線と呼ぶ場合もあります。特にエネルギーや波長で軟X線、硬X線の範囲を定義するものはありません。

X線は日本の法律では放射線に分類されるため、労働安全衛生法、電離放射線防止規則によって作業者が安全に運用するように事業者への規制があります。

X線の発生原理

一般的な方法としてX線管を用いてX線を発生させる場合、X線はフィラメント(陰極)から出た電子線が、ターゲット(陽極)に衝突したときに発生します。このときに陰極と陽極の間にかける管電圧がX線の透過性を決めるポイントで、管電圧が低いと透過力の弱い長波長のX線が、高いと透過力の強い短波長のX線が得られます。電子線の運動エネルギーにおけるX線の発生効率は1%程度で大半は熱エネルギーになります。X線は放射線に分類されますが、印加する電圧(管電圧)と電流(管電流)を用いて出力を制御でき、電子線を発生させない(印加させない)状態であればX線が勝手に発生することもなく、残留をすることもありません。

反射(サイドウィンドウ)型X線管
反射(サイドウィンドウ)型X線管
透過(エンドウィンドウ)型X線管
透過(エンドウィンドウ)型X線管