X線検出器の種類とデジタルイメージングの仕組み

X線検出器の種類

X線は可視光線よりも波長が短いため、目で見ることが出来ません。また、一般的なカメラでもX線を捉えることができないので、X線専用の検出器が必要になります。X線検出器はX線の蛍光作用を利用して可視光に変換してX線透過像を画像として捉えます。一般的なものは3種類です。

イメージインテンシファイア

(光増幅器)+カメラ

真空管内でX線を電子に変換し、収束してスクリーンにX線像を出力します。出力されたX線像を一般的な工業用のカメラで画像を取り込みます。工業用では入力面が4インチ(Φ100mm)/2インチ(Φ50mm)のサイズが一般的です。

フラットパネル

(FPD)

フラットパネルにX線を入射させると、表面の蛍光膜で光に変換されます。その光をフォトダイオードによってX線の画像を生成します。医療用では胸のレントゲンや移動用のレントゲンで使用されており、普及が進んでいます。

工業用では100mmx150mmか200mmx200mmのサイズを使用することが一般的です。

ラインカメラ

イメージインテンシファイアやフラットパネルと違い、コンベアなどで搬送される検査物を連続的に画像を取り込むことが出来ます。

X線を光に変換する原理はフラットパネルと同じでカメラ部分がラインカメラになっております。

空港などの手荷物検査や食品異物検査装置に使用されています。

ユニット種類メリットデメリット
X線検出器X線I.I(光増幅管)+CCDカメラ長寿命・高感度大きな視野のものを選択すると歪む
X線フラットパネル高分解能・視野が広いイニシャルコストが高い、X線の感度は比較的低い
X線ラインセンサ視野が広い、連続取込が可能搬送設備が必須。分解能は比較的に低い
X線CCDカメライニシャルコストが安価視野が狭い。基本的には使い捨て
画像処理スタンドアロンタイプ小型・装置組み込みがし易いアナログ入力が主流
PC組み込みタイプデジタル入力では必須、画像処理ライブラリが豊富パソコンの寿命に依存する

X線の透視(レントゲン)像とデジタルイメージング

ビット数と諧調

X線検出器によって可視光に変換されたX線の透過/透視/レントゲン像はデジタルで画像を取り込みます。エックス線の画像は可視光のようなカラーではなく、モノクロ(グレースケール)で表現されます。モノクロ(グレースケール)は白から黒までの中間色を灰色(グレー)の濃淡の階調(色深度)で表現します。この階調はビット数で表現され、8ビットは28=2x2x2x2x2x2x2x2=256階調、10ビットは2の10乗=2x2x2x2x2x2x2x2x2x2=1024階調とビット数が増えると濃淡(階調)差が細かくなります。この階調差を明度や輝度と呼ぶこともあります。現在のデジタル画像処理ではセンサーの精度によって高精細(高画質)のものは10ビットや12ビット、14ビット、最大で16ビットのスケールを用います。ビット数がいくらあっても黒=0、白=ビット数の最大値-1(8ビットの場合は255,16ビットの場合65535)となります。

ビット数と諧調

画素(ピクセル)と解像度

X線検出器から出力される画像は二次元情報で出力されます。デジタル画像処理では出力される画像を構成する最小要素を画素(Pixel)といい、1枚の画像の大きさを表すときには例えば横640画素x縦480画素と表現します。カメラやX線検出器のスペック表示では有効画素数と表現し、上記の640x480=307,200=30万画素のような表現をします。

画素(ピクセル)と解像度

カメラの解像度と画像の大きさは画素サイズと縦横の並び数と相関関係にあり、例えば、1画素の大きさが30μmの場合、640x480画素のカメラは640x30μm=19200μm=19.2mm、480x30μm=14400μm=14.4mmなので、カメラの画角は19.2x14.4mmとなります。

画素サイズが小さくなると高解像度(高精細)になりますが、1画素に対するX線量(光量)が少なくなるので画像は暗くなります。画像が暗くなることを防ぐため、X線の出力を多くする、露光時間を長くする、X線焦点とX線検出器の距離を近くする事が必要となります。カメラの種類によっては、縦横2画素分を1画素相当とするビニング(2x2ビニング)という方法で、画素サイズを犠牲にして明るさを稼ぐ方法もあります。ラインカメラの場合は、幅(横、水平、V)は一定ですが、長さ(縦、垂直、H)を連続的に取り込むことになります。また、有効画素数が多いほど画像ファイルの容量も大きくなります。

ビット数(グレー諧調)

ビット数(グレー諧調)

X線透過/透視/レントゲン像は平面の縦x横での位置(XY座標)にビット数(グレー階調)を合わせたもので例えば、X線で円柱状のものを上から透過/透視して見る場合、右図のようなイメージ/画像が出力されます。円柱の場合、円の直径部分が最も厚いため、グレー階調は黒(0)に近く、外側へ行くほど厚みが薄くなるので中間色(グレー)が薄くなっていきます。

デジタルズームで拡大すると1画素がドットのように見えます。1画素ではただの点になってしまうので、ノイズと変わりがなく、人の目や画像処理などで形として判別するには同じ階調差(明度/輝度)で最低3画素x3画素の塊であることとされています。


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