X線発生器(X線源)の種類

 ※主に透視撮像用途の工業用X線装置の場合

密閉管

密閉管は、ガラスやセラミクスの真空管(X線管球)で、常時真空に保たれています。フィラメントは長寿命ですが、メンテナンスはできません。

密閉管

・分解能は比較的に低い。5um~100um(マイクロフォーカス/ミリフォーカス) ・密閉管は反射式と呼ばれる出力方式が多く、X線の発生位置(X線焦点)が物理的に 試料より離れてしまうので拡大倍率は期待できません(50倍程度) ・長時間の使用が可能(予測寿命10000時間) ・X線管球は使いきり。メーカーで交換作業が必要。メンテナンスの金額としては高価。 ・X線発生器本体が小型で装置に組み込みやすい。

開放管

開放管は電子顕微鏡の電子銃と同じように管外に真空ポンプなどを設置し常時、高真空を保っています。
消耗部品を交換することができるので、半永久的に使用することができます。

開放管

・密閉管と比較すると分解能は高い。1um以下(ナノフォーカス)

・開放管のX線出力方法は透過式と呼ばれる方式を採用、検査対象に近いところでX線が発生するので幾何学倍率を上げることが出来ます。(1000倍以上)

・開放管の寿命は電子顕微鏡と同じく電子銃方式なので、直近の消耗部品はフィラメントが該当します。(フィラメントの寿命はTX-300/310の場合 500時間)

・電子顕微鏡と同じようにユーザーが電子銃を「開放」してフィラメント交換が可能。半永久的に使用する事が出来ます。(TX-300/310はフィラメントはカートリッジ取付け式)

・開放管は電子銃本体以外にも真空ポンプなど付帯設備が必要になるので、密閉管と比較するとイニシャルコストが割高で接地面積が大きくなります。

密閉管と開放管の比較

密閉管開放管
分解能▲(ミリフォーカス・マイクロフォーカス)◎(ナノフォーカス)
幾何学倍率▲ 50倍◎1000倍以上
寿命◎予測寿命10000時間▲フィラメント寿命500時間
発生器の大きさ〇装置組み込み可能▲付帯設備多い
イニシャルコスト〇分解能が低いほど安価▲密閉管と比較すると高価
メンテナンスコスト▲非常に高く、X線管球は使い捨て〇消耗部品交換で半永久使用

X線ユニットの種類と用途・特長

ユニット種類メリットデメリット
X線発生器ナノフォーカス開放管高倍率・高分解能イニシャルコストが比較的高い
マイクロフォーカス密閉管汎用性が高い。長寿命・コンパクトX線管交換費用が高い
ミリフォーカス密閉管イニシャルコストが安価X線焦点が大きいので高分解能は期待できない
X線検出器X線I.I(光増幅管)+CCDカメラ長寿命・高感度大きな視野のものを選択すると歪む
X線フラットパネル高分解能・視野が広いイニシャルコストが高い、X線の感度は比較的低い
X線ラインセンサ視野が広い、連続取込が可能搬送設備が必須。分解能は比較的に低い
X線CCDカメライニシャルコストが安価視野が狭い。基本的には使い捨て
画像処理スタンドアロンタイプ小型・装置組み込みがし易いアナログ入力が主流
PC組み込みタイプデジタル入力では必須、画像処理ライブラリが豊富パソコンの寿命に依存する