X線の拡大倍率と分解能(解像度)

X線焦点と分解能

フィラメント(陰極)から出た電子線が、ターゲット(陽極)に衝突し、X線が発生する箇所をX線焦点と言います。X線はX線焦点より一定の角度で放射状に照射されます。試料を拡大観察をする場合、X線の照射口であるX線焦点にX線は右図のように試料の輪郭をあらゆる方向から投影する事になるので輪郭がぼけます。X線焦点が小さければ、X線の照射される方向が限定されるので輪郭がはっきりしたシャープな画像を得ることが出来ます。

焦点サイズによる違い

マーストーケンソリューションの分解能(解像度)の定義

マイクロチャート

X線装置性能の表記は各メーカーまちまちですが、弊社では日本検査機器工業会で販売しているマイクロチャートなど誰でも入手可能なチャートを利用してラインペアが分解して見えることを分解能として表記をしております。例えば、X線焦点1umと表記してある場合、チャートの1umのラインペアが分解して見えるとは限りません。実際の焦点は1umよりも大きい場合があり、画像がぼけて分解できない事もあります。 X線源の焦点サイズや電子線の太さ=分解能(解像度)ではありません。

「日本検査機器工業会 JIMAチャート RC-02」はこちら>

FODとFID解説

■倍率と倍率に関わる用語

FOD:Focus to Object Distance X線焦点から試料までの距離

FID :Focus to Image Distance X線焦点からX線検出器までの距離

■倍率について

X線源のX線焦点(点光源)から発したX線は、試料を透過してX線検出器の入力面に拡大投影されます。 幾何倍率Mは、試料の大きさに対するX線検出器入力面上の投影像の大きさの比であり、M=FID/FODで幾何学倍率が計算できます。 X線焦点~X線検出器間の距離が一定のときはX線焦点に試料を近づけるほど、幾何倍率は大きくなります。 総合倍率M0は、試料に対するモニタ上の画像の拡大倍率であり、X線検出器の入力画像の大きさに対するモニタ画像の大きさの拡大倍率をM1とすると、M0=M×M1となります。