固定式バーコードリーダーの基礎知識

2024年8月号

 固定式バーコードリーダー(以下、固定式リーダー)は、人を介さずにバーコードを読み取ることを目的としたリーダーです。主に工場の製造ラインや物流センターの仕分けラインに据え付けられ、ライン上に流れてくる製品や荷物を読み取り、自動的にデータを転送することで、システム上でデータ処理される現場で活用されています。今号では固定式バーコードリーダーについて紹介いたします。

バーコード自動読み取りによる効率化

 昨今では労働人口の減少もあり、単純なバーコードの読み取り作業に人手をかけることが難しくなっています。そのため、バーコード読み取り作業の効率改善が求められ、様々な現場で固定式リーダーの需要が高まっています。最近では、製造ラインのような純粋な自動読み取りだけでなく、作業性を向上させるための半自動(かざして読ませるハンズフリー読み取り)方式も増加傾向にあります。

 ここでは基本的な固定式リーダーの種類と特徴について紹介します。

固定式リーダーの種類と利用シーン

 固定式リーダーは、用途別に自動化ライン用、装置組み込み用、ハンズフリー(卓上)用に大きく分けられます。主な利用シーンとしては以下の通りです。

  1. 生産ラインのコンベア上で、パレットや製品情報の自動読み取り
  2. 物流センターの仕分けラインで、配送物情報の自動読み取り
  3. 検体検査装置の組み込みで、検体情報識別の自動読み取り
  4. 駐車場やガソリンスタンドの自動精算機への組み込み
  5. 空港などの自動チェックインゲートへの組み込み
  6. コンビニエンスストアのセルフレジ

固定式リーダーの読み取り方式

 固定式リーダーの読み取り方式は主にCCD方式、レーザー方式、カメラ方式に分けられます。読み取り方式により対応するバーコードが異なるため、注意が必要です(第1表)。例えば、医療用医薬品で使用されるGS1 DataBar Limited CompositeCC-A 及び GS1 DataBarStacked compositeは2次元コードが含まれているため、カメラ方式の固定式リーダーで読み取る必要があります。

読み取り方式 読み取りコード 読み取り距離 主な用途
CCD 方式 1 次元コード 近距離 検査装置への組込
レーザー方式 1 次元コード 近・中・長距離 検査装置への組込
製造ラインの自動化
物流ラインの仕分け
カメラ方式 1 次元コード
2 次元コード
 近・中・長距離 検査装置への組込
製造ラインの自動化
物流ラインの仕分け
自動精算機への組み込み
チェックインゲート
セルフレジ
第1表

 インターフェースの選択(USB、LAN、RS-232C等)も必要になります。また、固定式リーダーは人が介在しないため、読み取りタイミングを別途指示する必要があります。一般的には、物理的なセンサーを使用して同期(読み取り指示)を入れる方式と、PLC等の上位機器からのコマンドで同期を入れる方式が多いです。ハンズフリー用の固定式リーダーは、かざすことで読み取りができるように設計されているため、リーダー内部にセンサーが内蔵されている製品が多いです。

 QRコードを代表とする2次元コードの普及に伴い、カメラ方式の固定式リーダーに様々な機能が付加され、読み取り技術の向上が進んでいます。特徴的な機能については以下の通りです。

DPM(ダイレクト・パーツ・マーキング)対応

各種DPM(ダイレクト・パーツ・マーキング)

DPMとはラベルへの印字ではなく、製品にレーザーマーカーやドットピンマーカーを利用して直接印字する方式です。金属物や樹脂へのマーキングの場合、光の反射の影響やコントラストが取りにくいことが多いため、安定した読み取りができるように照明に工夫を凝らしたリーダーが多いです。医療関連では、医療機器や鋼製小物へのマーキングでDPMが採用されています。

印字品質検査機能

インラインで印字品質検査が可能

 読み取るために取得した画像を独自の基準もしくはISOの基準項目と照らし合わせて、印字品質の検査を行う機能です。バーコード検証機はオフラインで使用する製品がほとんどなので、バーコード品質を全数検査したい場合には、インラインで利用可能な印字品質検査機能を持つ固定式コードリーダーが有力な選択肢となります。

可変フォーカス機能

可変フォーカス機能

カメラ方式の固定式リーダーは固定焦点のレンズを搭載した機器が多いため、読み取り距離は機種により制限されます。しかし、可変フォーカスのレンズを搭載した固定式リーダーでは、1台で近距離から長距離まで対応でき、設置環境や読み取り対象の変化に柔軟に対応できます。

距離  カメラ方式(2 次元コード読取可) ハンズフリー型
(2 次元コード
読取可)
 CCD 方式
(1 次元コード
のみ読取)
 レーザー方式
(1 次元コード
のみ読取)
 印字品質検査機能なし 印字品質検査機能あり
 内部照明型 外部照明型 内部照明型
近距離(~150mm)MCR-F100/110(小型軽量で組込に最適) MCR-F600
(C マウント採用)
 MCR-F180
(フォーカス機能なし)
   MCR-F037 TCD-8600  TLMS-5600RV
 中距離(150~ 500mm)  MCR-F1000
(フォーカス機能付き)
 MCV-F1000
(マシンビジョン
機能付き)
   TLMS-5500RV
 遠距離(500mm~) TLMS-5500RV-LR
第2表 当社の固定式リーダー製品ラインナップ

マシンビジョン&OCR機能

 当社は、バーコードだけでなく、個数検査やパターンマッチングが可能なマシンビジョン機能や、OCR(文字認識)機能を搭載した固定式コード&ビジョンシステム「MCV-F1000」をラインナップしています。これによって部材の取り付け検査 (実装ミス、欠品の検知など)や、個数チェック、OCR+シンボル読取りを行い、結果を照合することも可能です。

個数検査

ネジの取付忘れチェック

特定のパターンが有るのか無いのか、何個あるかを判別

特定のパターンが有るのか無いのか、何個あるかを判別

おわりに

  物流業界や製造業界、その他の様々な業種においてもDX化を推進するためのデータ収集にバーコードは欠かせないものとなっています。 当社では、様々な用途に対応する固定式リーダーを取り揃えております。詳細については、担当営業までお気軽にお問い合わせください。

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