X線の透過しやすさを決める要素「材質(比重)」
X線の透過(吸収)量は材質(比重)で透過しやすいかをある程度判別できます。
化合物ではない単一の物質では、原子番号が大きいほどX線の透過が難しくなります。元素周期表をみるとわかりやすく、医療用の胃カメラの造影剤のバリウム(56)や、X線の遮蔽に使用される鉛(84)は原子番号が大きい(=電子殻が多く電子にX線が衝突(吸収)される)ためX線が透過量が少なくなります。一方、軽金属とされるアルミニウム(原子番号13)はX線を比較的よく透過します。
金(79)、銀(47)、銅(29)は同じ列にあり金属の性質は似ていますが金>銀>銅でX線を透過しにくく、同じ厚みで並べた場合、金の方が影は濃くなり、銀は中間、銅は影が薄くなります。
また、ニッケル(28)と銅(29)は周期表で隣同士にあるので同じ厚みで見るとコントラストに差がつかないので区別ができません。
元素番号が大きいほど比重(≠質量)は重いのでX線は透過しにくくなります。特に樹脂については水素、炭素、酸素など軽元素の化合物で、比重は軽いのでX線は比較的透過しやすい。水(H2O)=比重1.00を上回ることを判断基準としています。
X線の透過しやすさを決める要素 「厚み」
X線の透過(吸収)量は厚みで透過しやすいかをある程度は判別できます。
アルミニウム5mm厚を透過するにはX線の管電圧は50kV程度ですが、100mm厚になると200kV程度の出力を要します。また、同じX線の出力で鉄になると50kVでは1mm厚、200kVでは20mm厚になります。