X線の出力と明るさ(輝度)について

X線は特定(固有)X線と白色(連続)X線の両方で構成されています。 ターゲットに用いた金属の種類に応じた特定の管電圧でX線を発生させると、非常に大きな波長のピークが現れます。これらの波長ピークは、各金属固有の波長を示すことから特性X線と呼ばれ、元素分析などで使用されています。一方で白色X線の波長は管電圧の増減で変化し、菅電圧を上げると新たな短い波長のX線が加わり明るくなります。 つまり、菅電圧を上げると透過力の強いX線が多くなります。高分解能X線装置はX線焦点の面積が小さいのでX線の量も相対的に少なくなり、画像が暗くなります。

「画像が暗い→管電圧を上げる→短い波長のX線が出る→見た目明るい画像になるがX線の透過率が上がる→薄いもの、比重の軽い試料は透過し過ぎでコントラストが取れないので見ることが出来ない」ということになります。 見たい対象に応じて管電圧を設定し、明るい画像を得る場合は管電流を上げて、X線の量を増やす必要があります。管電流値は基本的には輝度と比例します。管電圧と管電流との間に保護機能の為、出力制限があります。 (X線出力のW(ワット)表記がそのX線発生器の出力制限になります。)

管電圧(Vボルト)X線の透過力。X線管内部の電子ビームの加速電圧の値。管電圧が高いほど、試料に対するX線の透過力が強くなるとともに、X線透視像が明るくなります。一方、管電圧を低くして透視をすると、多くの場合、軽元素からなる試料に対してはコントラストが改善します。
管電流(Aアンペア)X線(電子線)の量。フィラメントから発する電子線の電流値。通常は管電流値が大きいほど、X線の透視画像は明るくなります。またX線画像固有のザラつきが改善することもあります。
X線出力(Wワット)X線管の出力能力でVxA=Wの関係になっており、管電圧を高くすると管電流の出力が小さくなり、管電圧を低くすると管電流が多くできる相関関係になります。但し、X線管の能力やフィラメントの仕事効率によって、有効な電子線が発生しないため、低い管電圧の場合は計算上の管電流量が発生しない場合があります。