物流の適正化・生産性向上に向けたガイドライン : 物流革新に向けた政策パッケージとは

2024年問題に向けた政策パッケージと物流改善ガイドライン

Vol.218 2023年7月号

 物流業界は、「2024年問題」と呼ばれる、労働力不足や物流コストの高騰という深刻な課題に直面しています。荷主企業、物流事業者(運送・倉庫等)、一般消費者が協力して我が国の物流を支えるための環境整備に向けて、政府は2023年6月に「物流革新に向けた政策パッケージ」を発表しました。

物流革新に向けた政策パッケージ

 2024年問題に関して何も対策を講じなければ、日本の物流網は2025年には28%、そして2030年には35%の輸送力不足に陥り、物流が停滞する可能性が指摘されています。

 差し迫る危機を回避するためには、荷主企業、物流事業者、消費者が共通認識を持ち早急に対応することが求められます。本政策パッケージでは、2024年の通常国会での規制的な措置の法制化も睨んで、以下のような施策が盛り込まれています。(一部抜粋)

1.商慣行の見直し

物流負荷の軽減

 荷主と物流事業者間での待機時間や荷役時間の削減を通じて、労働時間を短縮し、物流の効率化を図る。また、物流負荷の軽減に向けた計画作成や実施状況の報告を求める規制的措置を導入する。

納品期限、物流コスト込み取引価格等の見直し

 食品業界における「3分の1ルール」や短いリードタイムなどの商慣行を見直し、物流及び在庫管理を単純化する。これらの商慣行の見直しについては、ガイドラインの提示や自主行動計画の作成等を通じて、荷主企業が前倒しで実施することを図る。

2.物流の効率化

即効性のある設備投資の促進

即効性のある設備投資の促進

 バース予約システムやフォークリフトの導入、自動化・機械化等の設備投資を推進する。

物流GX(グリーン物流)の推進

鉄道・内航海運の輸送力増強等によるモーダルシフト、車両・船舶・物流施設・港湾等の脱炭素化等を推進する。

物流DX(デジタル物流)の推進

物流DX(デジタル物流)の推進

自動運転、ドローン物流、自動配送ロボット、港湾AIターミナル、サイバーポート、フィジカルインターネット等のデジタル化を推進する。

物流標準化の推進

物流標準化の推進

パレットやコンテナの規格統一化等を推進する。

3.荷主・消費者の行動変容

荷主の経営者層の意識改革・行動変容を促す規制的措置等の導入

荷主の経営者層に対して、物流改善への意識改革と行動変容を促す規制的措置を導入する。

消費者の行動変容を促す施策

消費者の物流に対する理解を深め、物流に配慮した消費行動を促すための施策を推進する。


  上述の規制的措置については、来年の通常国会で適宜法制化される見通しとなっており、経済産業省、農林水産省、国土交通省は、本政策パッケージに基づき、発荷主事業者・着荷主事業者・物流事業者が早急に取り組むべき事項をまとめた「物流の適正化・生産性向上に向けたガイドライン」を発表しました。

物流の適正化・生産性向上に向けたガイドライン

 このガイドラインは、今後の規制的措置導入も含めた商慣行の見直しや、物流の効率化実現に備えるための重要なポイントを示しています。抜粋して紹介しますと、発荷主事業者・着荷主事業者に共通する取り組み事項として、以下のような項目があります。

【必須項目】荷待ち・荷役作業時間2時間以内ルール 他

  • 荷主事業者は、物流事業者に対し、長時間の荷待ちや、運送契約にない運転等以外の荷役作業等をさせてはならない。荷待ち時間や荷役作業等にかかる時間を把握し、これらを2時間以内に抑えることを目指す。さらに、既に2時間以内に収まっている場合は、目標を物流の適正化・生産性向上に向けたガイドライン物流革新に向けた政策パッケージ1時間以内に設定し、時間短縮を図る。
  • 物流業務の実施を統括管理する者(物流管理統括者)を選任し、物流の適正化・生産性向上に向けた取り組みを推進する。

【推奨事項】トラック予約受付システム、パレット、カゴ台車、折りコン、通い箱活用 他

  • トラックの予約受付システムを導入し、荷待ち時間を短縮する。
  • パレット、カゴ台車、折りたたみコンテナ、通い箱等を活用し、荷役時間等を削減する。
  • 適正な数のフォークリフトやフォークリフト作業員等、荷役に必要な機材・人員を配置する。
  • 検品方法や返品条件等の検品の効率化・検品の適正化を推進し、返品に伴う輸送や検品に伴う拘束時間を削減する。

 必須項目の中で特に注目されるのが「2時間以内ルール」です。荷待ち時間や荷役作業時間短縮のためには、さらなる物流DX推進による業務の見える化、フィジカルインターネットによるインフラ共有や情報共有の取り組みが求められます。

2時間以内ルール

RFIDやバーコードを用いた物流効率化の具体例

 2時間以内ルール達成など、効率化に貢献するRFIDやバーコードを用いた物流効率化の具体例を紹介します。

UHFフォークシステム

UHFフォークシステム

 UHFフォークシステムは、RFIDで荷物とロケーション情報の読み取り・登録を自動化します。降車せずに商品や棚の情報を自動取得しますので、作業負荷を大幅に軽減し時短にもつなげることができます。入出庫の情報登録を半自動化し、ロケーション管理の精度を高め、作業の効率化に大きく貢献します。

リターナブル容器管理システム

 UHF帯RFIDを利用し、工場から物流センター、客先までの移動データを収集。リターナブル容器の個体管理を可能にします。入出庫作業の軽減・物流容器のスムーズな管理、紛失防止によるコスト削減だけでなく、個体管理により蓄積したビッグデータを活用して、様々な角度から物流課題を可視化し、物流最適化に向けたアクションプランを立てることができます。

UHF帯RFID一括検品

UHF帯RFID一括検品

 RFIDにより、開梱せずに検品を行うこともでき、一括検品を可能とします。 入荷・出荷検品作業を迅速化することにより、従来までの作業時間が大幅に削減されるだけでなく、人為的ミスの防止にも貢献します。

トラック入退場管理

 UHF帯RFIDにより、トラックの入退場状況を記録・可視化します。

OCR対応検品&ラベル発行

 バーコードが無い荷物の検品をOCRで行い、バーコードラベルを発行して個体管理を行なうことができます。

おわりに

 ガイドラインは物流業界に大きな影響を与えるものとなります。物流危機を回避するためには荷主事業者と物流事業者の間での調整や、物流効率化のための新たな取り組みを必要とします。その中で、RFIDやバーコードは、重要なツールとなります。当社は、物流業界の未来に向けて、引き続き最先端の技術を提供し、業界全体の発展をお手伝いしてまいります。

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