2024年1月号
先月はスマートフォンを用いた画像処理システム「MoMaVi (モマビ)」によるブロブ解析を用いた有無検査について事例を交えてご紹介しましたが、今月は色順検査やパターンマッチング、さらにAIを用いた比較検査などより幅広い検査への対応を可能とする機能や事例と、それらの機能をスマートフォンとは異なる形でご利用いただける新しいビジョンシステム製品をご紹介します。
色順検査
MoMaViは、製品部品の色判定と順序検査が可能です。画像では6本のケーブルの色を判別し、上から下への順番をチェックしています。
パターンマッチング
ブロブ解析は、画像内の連続する画素の集まりで、画素の明るさや色、形状などの特徴を指定して合否判断を行うものでしたが、この手法は特定の複雑な形状や細かいパターンの識別は苦手です。
パターンマッチングでは、あらかじめ特定のパターンや形状をテンプレートとして登録し、対象画像と比較することで、合否判定を行います。これによって、決まった場所に決まった部品が配置されているかや、製品のロゴなどが正しく印字されているかなどの高度な正誤判断を行うことができます。
パターンマッチング画像検査事例
印刷物の中のロゴ印字の正誤判定
ロゴの形状の類似度(精度)と、回転角度によってフィルタリングできます。
樹脂成型業界パーツ残り検査
所定のパーツが正しく使われているかを識別し、取り残しを防ぎます。
ネジと部品の取り付け忘れ検査
所定の位置にネジや部品が取り付けられていることを確認します。
物流・倉庫での梱包状態検査
箱に貼られたラベルの位置や向きの正
誤判定を行います。
家具・建具の部品取り付け検査
取り付けられた金具に歪みがないかを検査。
AIを用いた比較検査
単純なオブジェクトの検査や、特定の形状、パターンを用いての検査については、ブロブ解析やテンプレートマッチングが適応しますが、より複雑なパターンや、角度による変形や光の変化など、撮影条件が安定しない環境での検査には機械学習や深層学習のアルゴリズムを使用して、画像内の複雑なパターンや特徴を識別し分析するAI比較検査機能を利用することができます。
AIを用いた比較検査の事例
規定数量の資材パイプが入っているかの数量チェック
AIアプローチにより、反射で確認しにくいエリアも正確に検知が可能となります。
医療器具セットの確認
器具が欠品なく正しく入っているかを確認。照明など撮像条件が安定しない環境でも検知が可能です。
OCR&バーコード
当社ビジョンシステム製品は、OCR読取、バーコード読取も得意としており、これらを組み合わせた検査が可能であることが大きな特長であり、強みです。
特殊なフォント
7セグフォント
シートリーダの簡易印字検査
OCR読取りやコード読取りとパター
ンマッチング組み合わせて、全体を複合
的に検査することも可能です。
ドット印字(インクジェット)
バーコード印字太りチェック
新しいビジョンシステム製品 登場!
スマートフォンを利用した画像検査ならではの強みは、専用照明を利用しなくても一定の条件を満たせば検査が可能であることや、その画角の大きさによって、非常に広い範囲の検査を行うことができることです。 さらにその場で手軽に、その検査が画像で判定できるか否か、ここまでは判定できてこれ以上は運用改善するといった判断がつけられる事です。そういった点にご好評をいただき、多くの現場にMoMaViをご導入いただいております。 とはいえ、産業用途の現場では耐久性や信頼性、セキュリティの観点からスマートフォン導入のハードルが高いという声もいただくことがあります。 当社ではそうした声にもお応えすべく、この度、設定操作・機能はそのままにIOなども一体型にした、エッジコンピュータをリリース致します。 本製品は、IoT対応の産業用インターフェースやCマウントを搭載しており、これによって、当社ビジョンシステムを、より幅広い現場でご導入いただ> といった判断がつけられる事です。
おわりに
今回は、先月に続き、当社ビジョンシステムの様々な機能をご紹介しました。 ご覧いただいたように、様々な検査が可能です。 新製品エッジコンピュータも、皆様のお役に立てれば幸いです。ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽に当社営業までお問合せください。