スマホで画像検査スタートアップ(個数検査/有無検査編)

2023年12月号

  従来行われてきた人による目視検査では、疲労や集中力の低下による検査精度の低下や、人手不足の中で人的コスト高騰の課題があり、近年、これらの課題に対する解決策として画像検査による自動化が注目されています。
 今号から複数回にわたって、ローコストかつ手軽に導入できる当社の画像検査製品の特徴やメリットについてご紹介いたします。

AI(機械学習)画像検査の導入ハードル

 上記の課題を解決する技術としてAI(機械学習)による画像検査が期待されています。AI画像検査は高度な検査を自動化できるメリットの反面、導入にかかるコストの負担から断念してしまう企業も少なくありません。

 当社では、上記の様なコスト負担の問題の解決策として、従来の画像検査の手法である「ルールベース」を基本とし、スマートフォンを用いたシンプルなハード構成でローコストかつ手軽に有無検査や並び順検査、個数検査などの画像検査を可能にした製品「MoMaVi」をリリースしました。

AI画像検査とルールベース画像検査の違い(メリット・デメリット)

 AIによる画像検査と、 MoMaViが採用するルールベースでの画像検査のそれぞれのメリット、デメリットを(表1)に示します。

表1 AIによる画像検査とルールベースでの画像検査の違い
カテゴリメリットデメリットどのような時に適しているか
AIによる画像検査●検査ルールの設定工数や専門知識を削減できる
●検査の精度を向上させることができる
●24時間365日連続で稼働させることができる
●学習データの準備が必要
●検査対象の特徴が変化した場合、再学習が必要
初期投資額・運用費用が高い
●検査対象の製品が複雑な形状をしている
●検査条件が頻繁に変化する場合
●検査対象の異常が、人による目視検査では見つけにくい場合
ルールベースでの画像検査導入コストが低い
●学習データの準備が不要
●検査ルールの変更が容易
●検査ルールの設定工数や専門知識が必要(MoMaViではGUIで簡単に
●検査精度が低下する可能性がある
●検査対象の特徴が変化した場合、検査ルールを再設定する必要がある
●検査対象の製品がシンプルな形状をしている
●検査条件が安定している
●検査対象の異常が、人による目視検査でも見つけやすい場合

MoMaViの特長「設定の手軽さ」

 表1にもあるように、ルールベースでの画像検査では、検査対象の特徴を人間が定義し、その特徴に基づいて検査ルールを設定します。

 検査対象の特徴を正確に把握し、適切な検査ルールを設定できるかが重要になります。 MoMaViの特長として、従来専門知識や設定のための手間と時間が必要であったルールベースでの検査ルール登録をGUIで簡単に行なうことができることが挙げられます。各種フィルタ機能により、様々な物質・形状の対象物にも対応可能です。

 さらに登録内容を検査シナリオとして複数登録し、適宜呼び出して利用することができます。

ルールベースでの画像検査方法

 ルールベースでの画像検査では、二値化とブロブ解析の2つの技術がよく用いられます。ここで、二値化とブロブ解析の役割について説明いたします。

二値化とは

 二値化は、画像の輝度値をしきい値に基づいて2つの値に分割する処理です。これにより、画像内の対象物と背景を識別しやすくなります。

100をしきい値として二値化
100をしきい値として二値化

ブロブ解析とは

 ブロブ解析とは、画像内の連続した画素の集合を検出する処理です。ブロブ(Blob)とは、画像上の塊のことで、英語で「液滴」や「かたまり」という意味です。画像検査においては、画像上の対象物や異常を検出するために用いられます。ブロブ解析を行うことで、画像内の物体や形状などの情報を抽出することができます。

個数検査(有無検査)

  製造・物流現場で部品や製品の個数を正確に把握することは、品質管理や生産計画の上で重要です。

 二値化とブロブ解析によって、様々な対象物の個数検査(有無検査)を行うことができます。

ブロブ解析の役割

  ブロブ解析では、まず画像を二値化処理によって、白と黒の2つの画素値のみで構成される画像に変換します。次に、この二値化画像から、あるしきい値を基準として、白画素値の集まりをブロブとして検出します。

左の画面では、8つのクリップを共通の色調や明るさ、大きさを持つブロブとして認識しています。

検査のしきい値として良判定の数を設定

  MoMaViは、GUIによる簡単な操作で検査対象の特徴を登録し検査ルールにブロブ解析を適用することができます。  

 検査対象をブロブの色や大きさでフィルタリングして検出し、しきい値としてブロブの数を設定することで、検査対象の個数の過不足を判定することができます。

事例:産業用ホースのカウント

 このケースでは、対象を色や大きさでフィルタリングし、重なりにくい部分をブロブとして認識させることで誤検知を防ぎ、安定した検査を可能としています。(右の設定の方が誤検知が少ない。)

事例:トレイに載った部品の員数確認

 

事例:お菓子の箱詰め確認

 

色相・彩度・明度の値を登録し、色判別。 並び順検査が可能。

事例:パレット上の箱の数のカウント

 箱の数とQRの読取り数が同じであることを判定可能

MoMaViの特長

  1. スマートフォン単体でも検査可能(クラウド・パソコン不要)
  2. OCRとバーコード読取のエンジンを搭載し、ID認証と同時に画像検査を行い照合できる
  3. 検査ルールを複数登録し、適宜呼び出して利用可能

おわりに

 次号では、今号で紹介しきれなかったMoMaViの機能や、製造ラインに組み込んで自動検査を行うケース、スマートフォン以外の機器に対応した当社画像認識製品を紹介いたします。