バーコードが無いものも照合 ~OCR検品ソリューションのご紹介~

2023年11月号

 DX推進が求められる産業界において、様々な現場でデータ入力プロセスの自動化やエラー防止のために『OCR(光学式文字認識)』が広く使用されています。今号では、OCR技術の基礎的な紹介と、その活用例として当社製品「OCR対応検品&ラベル発行システム」をご紹介いたします。

OCRとは

 OCRとは、Optical Character Recognition(光学式文字認識) を意味します。画像処理技術と機械学習技術を組み合わせることで、さまざまな文字や数字を高い精度で読み取ることができます。データ入力や製品情報の取り込みなど、現場での作業を自動化し、効率化すると同時にヒューマンエラーを防止し、精度の向上に役立ちます。

製造・物流現場でのOCRの用途

  製造・物流の現場では長い間、手作業によるデータ入力に悩まされてきました。労働力不足や生産性向上の課題を抱える現在の産業界に求められているDX推進でも、こういった非効率をなくし、アナログな情報を素早くデジタル化することが求められます。手作業に頼っていた文字情報の確認や記録を自動化するために、重要な役割を担うのがOCRです。例えば、以下のような用途で活用されています。

製造工程の自動化

  • 製品の識別や検品の自動化
  • 製造データや情報の自動収集・分析

物流業

  • 荷物の識別・仕分け
  • 配送伝票の読み取り
  • 請求書や領収書の処理

OCR活用のメリット

 OCRによって、紙文書や、各種伝票などの文字情報をスキャンしてデジタルデータに変換することができますので、今まで手入力していた手間が大幅に削減できます。また、ラベルや伝票から情報を自動的に抽出したり、あるいは品質管理チェックの自動化など、さまざまな用途で役立ちます。

OCR機器

 製造現場や物流現場で利用されるOCR機器は、大きく分けて以下の2つの形態があります。

ハンディターミナル

 持ち運び可能な端末で、文字やバーコードを読み取ることができます。製造現場では、部品の識別や検査、物流現場では、荷物の伝票やバーコードの読み取りに利用されています。

固定式スキャナ

 固定された場所に設置して、文字やバーコードを読み取ることができます。製造現場では、製品の箱やラベルの読み取り、物流現場では、荷物の入出庫や仕分けの際に利用されています。

ローコストなOCRソリューション

 モバイルでのOCR利用が求められる場合、上述のようなハンディターミナルは、読取精度が高く、耐久精度も高い一方、一般に価格が高く機能も複雑であるデメリットがあり、低価格で導入しやすいスマートフォンのOCRアプリを利用する選択肢もあります。

 ただ、スマートフォンで利用可能な無料アプリケーションは、読み取り精度が低く、本格的に業務で使用するとなると厳しいものが多いのが現状です。OCR読み取り性能が保証されたメーカーサポートを含む有料アプリケーションは数少なく、ハンディターミナル(専用端末)とセットになった製品が一般的で、結果的にコストが導入障壁となるケースが多く見受けられます。

当社は、一般的なアンドロイド対応スマートフォン/タブレット等で使用できる、ローコストかつ産業用途での利用に耐える高い読取り精度を持ったOCRアプリケーションを開発し、提供開始しました。

文字・コード読取パッケージシステム 『MC Lens(エムシーレンズ)』

 「MC Lens」はAndroid端末でOCR&バーコード読取りを可能とします。

MC Lens機能

  1. OCR・バーコード読み取りスキャナソフトとして使用してCSVファイル生成
  2. いわゆるポケットリーダのように上位機器に対して、SPP、HID接続でのデータ送信が可能
  3. 同じスマートフォン内の業務アプリケーションに対しキーボードソフトのように動作し読み取りデータを送信

下記のような様々なシンボルを高速・高精度に読み取ります。

銘板ラベル(複数段読)
検体ラベル(例:試験管等)
基盤(シルク印刷)
成分表示ラベル(賞味期限)
タイヤ、樹脂成型品(凹凸文字など)
多段ラベル(UID)※文字・1D・2Dコードの同時読み(読み取り結果画像)

 カメラでバーコードや文字を読み取るだけで簡単にデータ化。スマートフォンのキーボード画面から読み取りアプリを起動させることも可能で、読み取りデータをCVSファイルに自動で保存する機能もあり、作業効率向上に貢献します。以下のようなニーズに対応可能です。

  • OCRの読取結果が安定しないため、結果送信前に事前に読取文字を確認したい。
  • OCR処理を実行した際の画像をエビデンスとして残しておきたい。
  • 既存の業務アプリにOCR結果を簡単に取り込みたい。

OCR対応検品&ラベル発行システム『MC Label (エムシーラベル)』

 バーコードが付与されていたりいなかったり、外装が標準化されていない荷物の受け入れ時に、目視で検品して、手入力でバーコードラベルを発行するなどの作業を強いられているケースが多く存在しています。 このような、荷受け作業での目視による検品や人手によるデータ入力作業は、過大な荷待ち時間発生の原因の一つともなっており、物流2024年問題解決のためにも見直しが求められる課題です。 MC labelは、上記の様な課題を解決するOCR対応検品&ラベル発行ソフトウェアです。以下のような機能を持っています。

  • 入荷した物品のラベルや外装印字から、品番、個数、注文番号などをOCRで取得。同時にバーコード読取りも可能。
  • 取得データから、あらかじめ設定した必要な情報をラベルプリンタで印字。
  • 受け入れ予定データ・実績データとの照合も可能。
OCRで読み取った情報から、設定した内容でラベルを発行します。指定した項目をQRコード印字します。
OCRで読み取った情報から、設定した内容でラベルを発行します。指定した項目をQRコード印字します。

おわりに

 今号では当社が提供するローコストなOCRソリューションをご紹介しました。皆様の業務効率や精度向上にお役立ていただければ幸いです。詳細につきましては、当社営業担当までお気軽にお声掛けください。