MTSの新ビジョンシステムで目視による外観検査を自動化

MTSビジョンシステム

2023年9月号

 近年、製造業と物流業において、目視による外観検査の自動化が急速に注目を集めています。外観検査は製品品質の確保に不可欠なプロセスでありながら、人的コストと精度の問題に常に悩まされてきました。 今号では、外観検査の自動化を強力に後押しする当社のビジョンシステムを紹介いたします。

外観検査の自動化が求められる背景

 現在、日本は前例を見ないほどの人手不足に直面しています。パーソル労働研究所の「労働市場の未来推計2030」によれば、2030年には、7,073万人の労働需要に対し、6,429万人の労働供給しか見込めず、「644万人の人手不足」と言われています。様々な自動化による生産性の向上が強く求められる中、目視による外観検査も例外ではありません。

目視による外観検査に関する現場の課題

 効率化が迫られている現場課題として次のような点が挙げられます。

1.検査基準維持のための人的コスト

目視検査では、検査の品質を均一にするために基準を定めたり、基準に沿った検査を行うために検査員のトレーニングを行なう必要があります。検査員のモチベーションを維持するための環境を整え、検査基準や、検査員の能力をチェックし管理・更新する人手もかかります。

2.エラー率

人の作業では、疲労や集中力の低下によりエラーが発生します。また、多くの視覚検査は、微妙かつ複雑な要素を含み、一貫性が保てない場合があります。自動化により、主観的な判断が排除され、より正確な検査が可能になります。

画像処理システム導入の障壁

 目視検査を自動化するために画像処理システムの導入を検討するにあたっては、実に様々な構成要素があります。

 ワークの材質や形状、検査内容によって求められる検査精度も異なり、適した照明や、必要となるカメラ・レンズの解像度や焦点距離、また各種センサーなど、無数の組み合わせがあり、ハードウェア選定の「沼」とも言えるほど、選択に手間がかかります。コストを理由に導入をあきらめたり、必要以上に高価、オーバースペックなものを購入してしまっているケースも多く見られます。

ビジョンシステムを手軽に導入可能とするMoMaVi

 当社の画像処理システム「MoMaVi( モマビ)」は、上述のような課題を抱えた企業様をサポートします。Andoroidスマートフォン上で動作するソフトウェアですので、産業用カメラや、専用照明、画像検査機などの高価なハードウェアは不要です。スモールスタートが可能で、「多品種構造でそれぞれにマシンビジョンを導入するには予算がない」などのニーズにも応えます。

 当社の画像処理システムは次のような様々な検査が可能です。バーコードやOCRを組み合わせてIDを同時に読取りながらの検査も可能なことや広い視野をカバーできることも特長のひとつです。

有無検査

製造工程において、部品の取り付け忘れやネジの締め忘れなど「あるべきものの有無」を検査します。 

色順検査

 色付き部品や商品の順番を正確に検出することが求められる場面も多くあります。コネクタやハーネスの配線など色違いのパーツが正しい順番どうかを確認したり、箱詰め時の商品の並び方などの検査を自動化できます。

数量のカウント

 必要な部品や、商品の数量が正しく揃っているか、員数確認や欠品チェックを自動化できます。

バーコードやOCRとの組み合わせ

 バーコードやOCRを組み合わせることで、商品の情報を迅速に取得し、正確な検査を実現することができます

MoMaVi 活用事例

 

MoMaViの事例の一部をご紹介いたします。

製造業 – 部品揃い確認

①必要な部品が揃っているかどうかの確認
②位置に関係なく、画面の中に登録されている部品が確認できればOK

製造業 – お菓子の目視検査

①決められた色の順番で並んでいなければNG
②決められたアイテムの中に抜けているものがあればNG

物流・倉庫- 箱の員数確認

①パレット上の箱の数のカウント
②行先の『文字』情報を読み取り(QR コード)

物流・倉庫- 箱の中の員数確認

 

①通い箱内の員数確認・欠品チェック
広い視野が撮影に有効!

ハードな産業用途に求められる耐久性を備えた新製品「MCV-F1000」

 コストをかけずに「まずは検証したい」というニーズに応えることでご好評をいただき、導入実績が増加中のMoMaViですが、Androidスマートフォンによるシステムゆえに、現場環境によっては導入が難しいケースもあります。 こういったケースに応えるため、高性能な固定式コードリーダにMoMaViのビジョンシステムを組み込み、産業用途で求められる高い耐久性を備えた「固定式コード&ビジョンシステム」を新しくリリースしました。

 MCV-F1000は、バリフォーカルシステムを採用し、オートフォーカス、 3倍ズームに対応したカメラとしての高いスペックを活かし高い読取り性能を発揮します。極小シンボル読取りや極小文字のOCR読取と、有無検査などの画像処理を組み合わせた検査が可能です。

防塵・防水型の保護構造(IP67)であり、過酷な環境でも使用できます。また、PLCリンク機能を搭載し、FA現場でよく使用されるPLCとの接続にも対応しています。カメラ部、制御部別ではなく一体型の本体のみで画像処理が可能となっています。

おわりに

 当社のビジョンシステム製品は、外観検査自動化の障壁を下げ、スモールスタートを可能にすることで、製造業、物流業のDX推進を後押しします。今後ますます発展するAI技術も併せ、今号で紹介した事例以外にも活用できる検査パターンは増えております。「こんな検査は可能か?」といった質問については、当社WEBサイトよりお気軽にお問い合わせください。