製造業スモールスタートDX – RFIDスタートアップシステム

2023年8月号

 スモールスタートとは、大規模な投資やリスクを伴わずに、小さなステップでDXを進めるアプローチを指します。今号では、製造業DXにおけるスモールスタートの意義と、スモールスタートの一例として当社のRFIDスタートアップシステム2種をご紹介いたします。

DXの重要性

 DX(Digital Transformation)は、企業がデジタル技術を活用して変革を進め、競争力を高めるための取組みです。製造業においては、生産プロセスの効率化や品質の向上、コスト削減など、多岐にわたるメリットが期待されます。

経産省の定義では、DX推進には以下の3つの段階があります。

  • デジタイゼーション:物理的な情報やデータをデジタル形式に変換する
  • デジタライゼーション:デジタルデータを活用して新しい価値を生み出す
  • デジタルトランスフォーメーション:全社的な業務・プロセスのデジタル化、および顧客起点の価値創造のために事業やビジネスモデルを変革する

製造業DXにおけるRFIDの役割

 製造業におけるDXの推進は、工場内や倉庫内の3M(ムリ・ムダ・ムラ)を無くし、SCMをまたいだ事業全体の生産マネジメントを最適化することで、企業競争力を高めることが目的です。そのために、まずは、工場や倉庫の現場で動いている人やモノのデータを収集し、見える化することが必須となります。そのために、バーコードやRFIDが重要な役割を果たします。
RFID(radio frequency identification)とは、ICチップにデータを記憶し、電波や電磁波で読取り機(リーダ)と交信する事で、人や物を識別・管理する無線通信による認証技術です。

管理対象に識別情報を持たせるためのICタグ、それを読みとるためのアンテナや、リーダライタがRFIDの構成要素となります。

管理対象に識別情報を持たせるためのICタグ、それを読みとるためのアンテナや、リーダライタが構成要素となります。この技術を活用することで、人や物の物理的な動きをデータ化することができます(デジタイゼーション)。

DX推進の障壁とスモールスタートの意義

 DXへの取り組みの初期段階から、事業全体の変革に向けて一致団結して取り組むことができれば理想的ですが、大規模な初期投資や組織体制の見直し、現場運用やシステムの再構築など超えるべきハードルが高い事や、古くからのシステムや長く根付いた組織文化などが社内の障壁となり、なかなかDXに取り掛かることができずにいる企業や担当者は多いようです。2021年の総務省の調査によれば、約6割の企業がDXについて、「実施していない、今後も予定なし」と回答しています(図1)。

(図1)デジタル・トランスフォーメーションの取組状況(日本)
(出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」

 そのような状況下では、小規模な取り組みで一定の範囲内でのデジタル化施策を実施して短期間で効果を確認できるスモールスタートが有効です。まずは小さな成功体験を積み上げ、社内で共有することでDXに対する理解を深め、さらに範囲を広げて継続的なDX推進活動につなげることが可能となります。

リーダーメーカーならではのRFIDスタートアップサポート

 RFID導入のためには、業務の現場でICタグ読取りが適切に行われるために必要ないくつものステップがあり、特に機器選定やタグ選定、動作検証などに不安を持たれる方は多いです。 当社では、RFIDシステムのスモールスタートを可能にするスタートアップシステムをご用意しております。メーカーでありながら直販体制でサーベイから取付設置まで長年現場での経験を積み重ねている強みがあり、適切な機器選定から運用まで安心してお任せいただけます。 以下、この夏リリースした新製品を御案内します。

RFID持ち出し管理システム

RFID持ち出し管理スタートアップシステム「MCHDS(モチダス)」

 RFID持ち出し管理スタートアップシステム「MCHDS(モチダス)」は、いつ・誰が・何を持ち出しているか?管理が煩雑でお困りの現場に最適です。ハンディリーダとICタグのパッケージで、RFIDを使用した持ち出し管理を簡単・低コストに始められます。
 ICタグを貼った管理対象物にハンディをかざすだけで瞬時に持ち出し登録が終わりますので、煩雑だった持ち出し・返却時の記録/確認作業を効率化し、現場の負担を軽減することができます。

 この夏リリースした新バージョンでは、新たに複数のハンディでの運用に対応し、探索機能や、有効期限登録機能を搭載しました。 計測器や工具の持ち出し管理で御利用いただく事例が多いのですが、新機能により計測機器などの校正時期をチェックすることも可能になりました。
【用途例】◎工具・計測器・生産治具◎社内資産(備品・機材など)◎高価な機材、デモ商材◎資材(パイプ椅子や机など)

RFID所在管理スタートアップシステム

RFID所在管理スタートアップシステム「RUN POINT」

 RFID所在管理スタートアップシステム「RUN POINT」は、自社製リーダライタと、アンテナ、ICタグのオールインワンパッケージなので簡単・安心です。
 施設マップを取込んで画面上に表示して、ICタグを貼付した管理対象をどの場所のアンテナが最後に検知しているかをリアルタイムで確認できます。

 最新の読取り場所を確認できますので、従来、所在場所を把握できずに、施設内を探し回っていた無駄な時間を無くすことができます。
製造業では、仕掛品の所在位置を把握することで生産状況の見える化をサポートします。
【用途例】◎仕掛品◎測定器◎計測器・生産治具◎医療機器の病院内の所在管理◎社内資産(重要書類・備品・機材など)

おわりに

 DXのスモールスタートは、製造業においても多くのメリットをもたらします。新しい技術の導入はもちろん、それを活用することで生じる新しい価値やビジネスモデルの創出は、企業の競争力を高める要因となります。我々の提供するRFID所在管理システムや持ち出し管理システムは、その一例として、製造業のDXをサポートする強力なツールとして活用されています。まずはスタートアップとして、RFIDの有効性を実感していただき、その他の用途への活用の足掛かりとして、是非ご活用ください。


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