X線検査装置に関わる法令

エックス線装置に関わる法令

 国内におけるX線は、医療用と産業・工業用に分けられます。医療用X線は医療法と医薬品医療機器法で、産業・工業用X線は労働安全衛生法で規制されています。労働安全衛生法では、事業者を義務主体とし、労働者を保護対象として、事業所における労働者の安全と健康を守ることを目的としています。事業者は、労働者がX線被ばくをできるだけ少なくするよう努めることが基本原則であり、具体的には、危険防止措置、健康障害防止措置、安全衛生管理体制の確立、労働者の就業措置、健康保持促進措置などを講じる必要があります。これらの措置が守られない場合は、罰則によって強制されます。X線装置に関する規制・勧告は、労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則、電離放射線障害防止規則、厚生労働省労働基準局通達、労働基準監督署通達などに基づいています。電離放射線障害防止規則(以下「電離則」)では、産業・工業用X線について、事業者が労働者のX線被ばくをできる限り低減するための具体的な措置を定めています。

X線装置の導入、設置について必要な届出

 X線装置の設置、移転、または主要構造の変更を行うときは、電離放射線障害防止規則に基づき、その計画を30日前までに所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。(中央省庁は人事院、公的機関は都道府県の人事委員会への届け出となります。)

届け出に必要な書類はボックス型X線装置において

  1. 労働安全衛生規則関係様式20号
  2. 放射線装置適用書(様式第27号)
  3. 設置場所のわかる図面(事業所の周辺地図、事業所内の建物の地図、設置する建物内の見取り図など)

となります。所轄の労働基準監督署によって、提出書類が追加となる場合がありますので、詳細については所轄の労働基準監督署へお問い合わせください。

電離放射線障害防止規則における管理区域と有資格者

 電離放射線障害防止規則(以下「電離則」)では、X線装置に関わる作業者の被ばく量が3ヶ月間で1.3ミリシーベルト(1300マイクロシーベルト)以上の可能性がある場合、管理区域を設けて有資格者(エックス線作業主任者など)のもとで作業することを規定しています。

しかし、ボックス型X線検査装置の場合、筐体など防護箱により覆われており、外部の実効線量が上記の被ばく量を下回っている場合は、管理区域や有資格者を設定する必要はありません。管理区域となる可能性があるのは、装置内検査室のみです。しかし、検査室は筐体等によってX線が遮蔽されているため、通常は管理区域の設定は不要ですが、検査室内が管理区域である旨を標識によって明示する必要はあります。ただし、人が中に入れるような大型のボックス型装置の場合、扉が開いている時や人が装置内にいる時などは、インターロックなどの安全対策を講じて、X線の照射を防止する必要があります。また、令和7年の改正により、特定エックス線の範囲が改正され、定格管電圧が10kV以上の装置の全てにおいて自動警報装置及び安全装置の設置が義務化されています。

弊社のX線装置は筐体表面のX線漏えい線量(外部実効線量)を1マイクロシーベルト以下で納品する事を社内規程としております。 1マイクロシーベルト以下では「電離則」の規定値を下回り、安全に運用することが出来ます。また、自動警報装置の設置についてはエックス線照射中の表示灯や操作画面内におけるエックス線照射中の表示により対応をしており、同様に安全装置についてはインターロック、リミットスイッチなど当社標準設備として有しています。

用語説明

管理区域:エックス線による被ばく量が一定以上となるおそれのある区域

有資格者:エックス線作業主任者など、電離放射線業務に関する専門知識と技能を有する者

防護箱:X線漏洩を防止するために、X線発生装置を覆う箱

インターロック:機械装置において、ある操作が完了しないと別の操作ができないようにする仕組み

実効線量:人が実際に受ける放射線の量(単位はシーベルト Sv)

電離放射線障害防止規則の改定による特別教育実施対象の拡大とエックス線作業主任者の職務拡大

令和7年の法改正により、特別教育の対象実施業務が拡大されました。
従来は「透過写真撮影業務」に限定されていましたが、法改正により「全業務」に対し、特別教育を実施することとなりました。
これに伴い、エックス線及びガンマ線照射中に体の全部もしくは一部がその内部に入ることはないように遮蔽されている装置=ボックス型エックス線装置の作業者はこの特別教育の対象から除くと明記されています。
但し、作業者に対し、安全に装置を使用していただくための安全教育は装置納入時や適時必要となります。

エックス線作業主任者の職務においては令和8年から段階的に職務が拡大されます。
自動警報装置と安全装置の設置が義務化されたことにより、これらの異常時に事業者に対して使用をやめさせるなどの措置を講じる、もしくは作業者への被ばく軽減の作業方法を定め、作業者の指揮をすることが職務として追加されました。安全装置については点検等の際に安全装置の無効化等を行った際に、代替措置が的確に行われているかの安全確認の職務が義務付けられました。(自動警報装置は令和8年4月1日より施行、安全装置は令和9年10月1日より施行)

弊社製品には該当しませんが、既に設置されており、改修が困難な装置に関する経過措置の確認もエックス線作業主任者の職務として追加されました。
今回の改定で制定された特定エックス線装置(定格管電圧10kV以上)となったものに対し、①すでにメーカーが存在しない装置。②改修に必要な図面ないし、部材の入手ができない装置。③改修により装置の性能や安全性に問題がある装置。
については、自動警報装置や安全装置の設置に代わる措置の対応が求められています。


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