2025年7月号
製造・物流現場では人手不足と働き方改革に加え、多品種小ロット・短納期化が進み、省人化・自動化が急務となっています。本号では検品・棚卸・ピッキングといった基幹作業に焦点を当て、RFIDゲートとAI画像検査という二つの自動認識技術が、それぞれの特性を活かして現場課題を解決する方法を解説します。
RFIDゲート/画像検査で実現する省人化DXの必要性
バーコードシステムは確かに現場の紙帳票をデジタル化しました。しかし対象物を個々に取り扱い一点ずつバーコードを読み取る工程は依然として人手に依存し、繁忙期には検品待ちの列ができるのが実情です。
RFIDゲートは、出入口や搬送ラインに設置したアンテナゲートを荷物が通過するだけで、毎秒数百タグを同時に検出する一括高速読取を行い、パレット上の荷姿や包装容器内の個々の製品に貼られたタグを一括で読み取ります。一つ一つバーコードを読み取る手間がなくなり、検品時間は作業内容やライン速度にもよりますが、おおむね従来比で70~90%短縮されるケースが多く報告されています。
AI画像検査ソリューションについては当社には二つのアプローチがあります。臨機応変に検査ポイントを移動させたい倉庫やヤードでは、スマートフォンと「MoMaVi」アプリを組み合わせ、作業者がスマートフォンのカメラでとらえるだけで荷姿数・ラベル情報を瞬時に判定できます。固定ラインで高速処理が求められる製造現場では、コンベヤ上に設置したエッジAIカメラ「VisAI Edge」ユニットが袋詰め数量や異物混入をリアルタイムで監視します。RFIDは作業者が箱を個別に扱わずとも個品ID情報を一括取得し、AI画像検査は外観や数量をその場で判断する――こうした役割分担を工程ごとに適材適所で導入することが、省人化と品質向上を同時に達成する近道です。
MTS製RFIDリーダライタの選択肢と強み
読取装置はアンテナとリーダライタからなりますが、当社では、通過動線を挟むゲートタイプと、コンベヤ全体をシールドで覆うトンネルタイプの二系統をラインナップしています。ゲートタイプはパレットやカゴ車など大型荷姿をそのまま通過させる倉庫・工場の出入口向け、トンネルタイプはラインを流れる入荷直後の封をされたパッキンや、ピッキングされ出荷前の検品を行う場合などに最適です。現場の荷姿・処理速度・スペースに応じて最適なタイプを選び、両者を組み合わせるハイブリッド提案も可能です。MTS の RFID ハードウェアには現場で“よくある困りごと”を解決するためのノウハウが詰め込まれています。
■一括高速読取
秒間数百タグを同時に検出し、大量処理でもレーンが渋滞しません。
■誤読ゼロへのこだわり
独自のシールド構造で外部タグを拾わず、狭指向アンテナにより読み取り範囲をセンチ単位で制御します。
■後付けしやすいモジュール構造
トンネルタイプは、分割ユニット方式で既設コンベヤやシャッターゲートにも短時間で据付可能。
■豊富なI/O連携
PLC・回転灯とのインタフェースを標準装備し、ラインストップや仕分けシャッター制御に直結。
■リアルタイム検品ソフト「RUN Checker」
ゲート通過と同時にタグIDを品番マスタと突合し、OK/NGを色分け表示。検品結果はCSV出力やAPIでWMSへ即時連携でき、マスタ登録はExcel取り込みだけで完結。非プログラミングで検品シナリオを追加できるため、現場のアイテム追加やレイアウト変更にもすばやく対応します。ゲート/トンネルの両タイプは単なるハードウェアではなく“現場課題を解決するパッケージ”として機能します。
VisAIシリーズ共通プラットフォームで画像検査を標準化

AIビジョンシステム|画像検査 for スマートフォン(VisAI-Mobile) MoMaVi(モマビ)
Android端末を利用し、最もシンプル・手軽に導入可能なビジョンシステム(画像検査|OCR|バーコードすべて対応)

AI画像検査/OCR/シンボル読取対応 エッジAIカメラ VisAI-Edge(ビズアイエッジ)
産業用途のインターフェースを標準装備したエッジAIカメラ。VisAI共通アプリケーションを搭載(画像検査|OCR|バーコードすべて対応)。
VisAI は 当社が提供する画像解析アプリケーション群の総称です。スマートフォン用の MoMaVi とエッジユニットの VisAI Edge は、どちらも共通の VisAI アプリケーションで数量検査・OCR・外観判定を行うため、学習した AI モデルや設定値を相互に使い回せます。たとえば倉庫でMoMaVi で作成した荷姿数カウントモデルを、そのまま製造ライン側のVisAI Edge に移植するといった柔軟な運用が可能です。現場ごとにカメラ構成や速度が異なっても、同じ UI・同じ判定ロジックで扱えるため、導入教育の手間と保守コストを最小限に抑えられます。
RFIDは作業者が箱を個別に扱わずとも個品ID情報を一括取得し、AI画像検査は外観や数量をその場で判断する――こうした役割分担を工程ごとに適材適所で導入することが、省人化と品質向上を同時に達成する近道です。
RFIDと画像検査による省人化効果
実際の導入事例をベースに活用イメージをご紹介します。数値は多くの現場で得られている平均的な改善幅を示したもので、導入環境によって変動します。
物流センター:RFIDゲートでドック検品の渋滞を解消

多品種・変動出荷が続く物流センターを想定した活用イメージです。トラックバース側の通過動線にゲートタイプの UHF RFID リーダを配置し、パレットを載せたハンドリフトやカゴ車を通過させるだけで、積載物に貼付したタグを一括で読み取ります。
一つ一つ読み取る必要がないため、従来“バーコードで1パレットあたり約90秒”を要していた検品が、“RFIDゲートで平均10~20秒”に短縮されます。ピーク帯でもドックが詰まらず、余剰人員を返品処理や付加価値作業に再配置できるため、現場全体の生産性が底上げされる結果が得られています。
工場出荷:スマホで画像検査/OCR数量・行先をスピードチェック

出荷直前の数量や送り先確認に時間がかかっていた工場での出荷検査を想定した活用イメージです。パレットに梱包済みの製品が積み上がった状態で、作業者がスマートフォンのカメラをかざしワンショット撮影するだけで、モバイルAIビジョンシステムMoMaViが画像を解析し、梱包箱カウントとラベルOCRを瞬時に実行します。
スタンドアロンで完結するためネットワーク混雑の影響を受けず、検査ラインでもヤードでも同じ操作で使える点がメリットです。さらにバーコード照合も可能です。
パッキングライン:VisAI Edgeで詰め合わせ菓子の組立検査を全自動化

チョコレート詰め合わせなどトレー内の配置が決まっている製品を想定した活用イメージです。コンベヤ上に固定した VisAI Edge ユニットがトレーを上面から撮像し、VisAIアプリケーションが瞬時に各マス目を認識。欠品・配置順の正誤を判定し、OK/NG 結果をライン端末に表示します。 検査の自動化により、検査要員を品質改善業務へ再配置できます。
OCR 機能を併用すれば賞味期限やロットコードも同時に読み取れ、数量検査・組立検査・ラベル確認を一台でこなせる点が特長です。
MTSが選ばれる理由
当社は長年、国内の製造・物流業界を中心にバーコード、RFIDを中心として自動認識システムを手掛けてきました。最大の特長は、現地調査から機器選定、ソフト開発、据付、教育、運用定着までを自社でワンストップ提供する点です。電波の届きにくい金属棚や粉塵、低温倉庫など多彩な現場ノウハウを基に、タグやアンテナ角度まで最適設計。導入後も万全のアフターサポートで、現場の疑問を迅速解消できる体制です。
メーカー直販の強みを生かし、ハード・ソフトを一社提供で窓口一本化し、問題解決をスムーズに進められる点が強みです。
おわりに
RFIDゲートや画像検査など自動認識技術を工程ごとに適材適所で導入することは、人手不足下でも高い処理能力とゼロミス品質を両立できる強力なDX手法です。バーコード化を済ませた現場こそ、次のステップとして導入効果が大きく表れます。MTSは豊富な現場実績とワンストップ支援で、スモールスタートから全拠点展開まで伴走します。まずはお気軽にご相談ください。

固定式、ハンディ、ゲート型、トンネル型など各種取り揃え

卓上タイプ、タッチパネル端末など各種取り揃え

RFIDシステムのスモールスタートをサポート

金属対応タグ、リネンタグ、耐熱タグなど各種取り揃え

製造業DX推進カタログ
RFID/バーコード/画像処理で工場内の状況を可視化
RFID/バーコード/画像処理で、工場内でのモノと人の動きをリアルタイムでデータ化し、製造業DXを加速させる機器・システムを工程毎に紹介しております。是非ダウンロードしてご覧ください。
- 画像処理で目視による検査判別を自動化
- ICカードタッチパネル端末で実績登録
- 制御PC不要で動作するRFIDリーダライタ
- 誤投入防止と生産実績収集
- UHFフォークで荷物とロケーション情報の登録を自動化
- トラック入退場管理
- RFID一括入荷検品
- Android端末でモバイル検品
- バーコードが無い荷物をOCRで検品&バーコードラベルを発行して個体管理 …他 掲載