期待されるUHF帯RFIDの現状

VOL.070 2011年2月号

RFIDへの過剰な期待熱も落ち着き、RFIDの特性を見極めた効果的な活用シーンが増えてきています。その要因としては、RFIDタグの技術進歩や導入コストの低下、そして利用する側のRFIDに対する正しい認識が広まったことが挙げられます。 今号では現在のRFID市場動向と期待されるUHF帯RFIDについて解説します。

RFIDタグのの市場動向

RFID統計資料をみると2009年には総計23億5,000万個のタグの販売が予測されていました。
大きなカテゴリで予測の内訳を見ると、Marks & SpencerやAmerican Apparelなどの大手アパレル企業による製品へのタグ付けが導入フェーズの段階として見込まれています。
当時は、世界で2億枚のRFIDラベルがアパレル(クリーニングを含む)向けに利用が考えられています。豚や羊などの動物へのタグ付けも、多くの地域で法的要件が後押しとなり力強い成長が期待され1億500万個のタグの利用が見込まれています。この取り組みは中国やオーストラリアなどの地域で進んでいます。
また、世界中の都市での交通関連のスキーム用に3億5,000万枚のRFIDチケットの販売が見込まれています。
利用が期待されていた“パレット”や“ケース”へのUHFタグの展開はまだ成功に至っておらず、同年の利用はわずか2億2,500万個のパッシブUHFタグに留まっています。
過去の統計数値が示すように市場を拡大してきたRFIDは、表面的な過剰な熱は冷めても、2011年もそのトレンドは、順調に成長を続けるものと考えられます。

HF帯とUHF帯

周波数の種類

名称HF短波UHF極超短波マイクロ派
周波数帯13.56MHz952~954MHz(UHF帯)2.45GHz
方式電磁誘導電波通信電波通信(マイクロ波)
通信距離~0.6m~4m~1.5m
指向性能広い中程度狭い
水分影響やや受けにくいやや受けやすい受けやすい
金属影響受けやすい受けやすい受けやすい
国際標準規格ISO/IEC18000-3
ISO/IEC15693
ISO/IEC18000-6ISO/IEC1800-4
日本の対象電波法高周波数利用設備構内無線局構内無線局
周波数の種類

既に、広く認知されていることですが、RFIDを代表する電波帯域としては、HF帯とUHF帯に区別されます。
HF帯は13.56MHzを使用しており、UHF帯は860~960MHzを使用しています。(現在、日本国内では952~954MHz帯が利用可能)
電波は周波数が高いほど指向性が高くなります。また、通信距離も実運用レベルではHF帯が接触~数十センチに対してUHF帯は~数メートルと仕様が違ってくるので、用途や運用目的によりどちらを選択するかが決まります。
間違っても『大は小を兼ねる』の論理で、通信距離の長いUHF帯を無条件に選択すると失敗の元になります。
交通機関に代表されるSuicaやパスモ、それにお財布携帯やIC社員カードなど個人情報を管理するものは距離が飛びすぎると、知らないうちに通信範囲内にいる違う人のICカードで決済されてしまう可能性があるからです。逆にパレットやコンテナなどの大物やアパレルなどの多品種多量の物などは、通信距離が長く、一括で複数のタグが読み込めるUHF帯の性能が効果を発揮しています。

期待されるUHF帯

UHF帯の特徴

13.56MHz、2.45GHzに比べると952~954MHzのUHF帯は小型アンテナや出力の小さいリーダーを用いた場合でも通信距離が長くなります。

通信距離が長く、リーダーから幅広く電波が発信されるため複数のICタグを一括で読み取りやすくなります。

UHF帯の場合、従来の周波数帯と比べ数mという長距離での読み取りが可能となり、通信特性・通信性能に優れていることからRFID分野において適用範囲が格段に広がります。

遠くのICタグを読み取る一括して読み取る物を探す
パレット/コンテナでの在庫管理一括検品ピッキング
モータープールでの車体管理一括払い出し工程在庫の所在探し
駐車場での自動入庫棚卸バックヤードでの商品探し
資産管理

やはり“電源不要”、“データの読み書き”という特徴に加え“通信距離が長い”という性能は、自動認識技術の中でも非常に魅力的な存在です。
コスト的にも年々低くなってきていることも注目すべき点です。
通信距離が長いとは、単に遠くの物が読み取れるだけでなく、複数のタグを一括で読み取りやすくなる利点でもあります。遠くも読めるという特徴を生かして“物を探す”と言う運用にも応用が可能になります。一方、RFIDを導入する上で弊害となっていた“金属や水分の多い物に貼られると通信が出来ない。”と言う難題がありました。それでも近年では技術進歩により環境や運用用途に応じたタグが種々開発されており、適用範囲は大きく広がっております。
※水分の多いものに対しては、現時点でも制約条件があります。