2025年8月号
製造業仕掛品の見える化、滞留状況の把握、RFIDやバーコードの活用は、生産効率向上と在庫管理改善に不可欠です。仕掛品の状況が見えにくい、滞留しやすいといった課題に対し、自動認識技術を組み合わせることで、リアルタイムな進捗管理や在庫最適化が可能になります。
仕掛品管理の現状と課題(製造現場の見える化の出発点)
多くの工場で、仕掛品の所在や作業進捗がリアルタイムに分からず、現場は次のような悩みを抱えています。

- 所在不明による探索時間: 必要な仕掛品がどこにあるのか分からず、探すのに時間を要する。
- 工程間の滞留: ボトルネック工程で滞留し、後工程の負荷が増大。
- 手作業によるデータ入力: 進捗状況が手書きやExcelでの入力に頼り、入力ミスやリアルタイム性の欠如が生じる。
- トレーサビリティの欠如: 製品不良が発生した際、どの工程で問題が生じたか、どのロットの部品が使われたかなどの情報が追跡しにくい。
見える化の重要性
- 生産効率の向上:仕掛品の滞留は、次の工程への遅延や無駄なコスト発生につながります。見える化によって、ボトルネックを特定し、スムーズな工程管理を実現できます。
- 在庫管理の最適化:仕掛品の過剰な滞留は、過剰在庫や欠品のリスクを高めます。見える化によって、適正在庫を維持し、効率的な在庫管理が可能です。
- コスト削減:無駄な仕掛品の滞留を減らすことで、保管費用や管理費用を削減できます。
- 納期短縮:仕掛品の状況をリアルタイムに把握することで、納期遅延のリスクを減らし、顧客満足度向上に貢献します
UHF帯RFIDで作業進捗を自動取得(仕掛品のリアルタイム可視化)
RFIDはICタグの情報を非接触で読み書きする技術です。RFIDアンテナを生産工程の開始・終了、建物や作業現場の境目といったポイントに設置して、ICタグを検知することで、仕掛品管理に活用できます。
■Run Pointの役割 (簡易スターターとしての可視化)
「Run Point」は、UHF帯RFIDゲートとICタグを組み合わせた所在・通過管理システムです。
1.リアルタイムな所在・進捗管理

・ゲート設置による自動検知:製造ラインの各工程の区切りや、工場内のエリア境界にRFIDゲート(固定式リーダライタ)を設置します。仕掛品が載せられた生産治具やパレットにICタグを取り付け、ゲートを通過するたびに自動でICタグを読み取ります。

・進捗状況の可視化: 読み取られたデータはシステムに送られ、「仕掛品の進捗確認」や「所在/通過一覧」としてリアルタイムに可視化されます。これにより、どの仕掛品が今どの工程にあり、いつ次の工程に進んだのか、といった情報が瞬時に把握できます。
・滞留の早期発見: データを分析することで、仕掛品のボトルネックを素早く特定し、改善策を講じることが可能になります。
2.確実なトレーサビリティの確保
・履歴の自動記録: 各工程における ICタグの読み取り情報(通過日時、場所など)は、タイムスタンプとともにシステムに自動記録されます。これにより、製造開始から完成までのすべての工程における仕掛品の移動履歴が、個々の製品レベルで詳細に保存されます。
・品質管理と原因究明: 製品に不具合が発生した場合、その製品に紐づくRFIDデータから、いつ、どの工程を、どのような状態で通過したかといった情報を迅速に追跡できます。これにより、問題発生の原因究明が効率化され、不良発生ロットの特定や影響範囲の絞り込みを迅速に行うことができ、企業の信頼性維持に貢献します。

バーコードとの連携による相乗効果
バーコードは導入コストが低く、多くの現場で既に利用されています。RFIDとバーコードを適切に連携させることで、それぞれの利点を最大限に引き出し、より柔軟かつ効率的な運用が可能です。
初期紐付けとデータ連携
現品票・作業伝票・出庫伝票、製品等のバーコードを読み取り、RFIDタグのIDとシステム上で紐付けます。パターンとしては以下のようなものがあります。
- なにもついていないモノに新規にICタグを発行して製品等貼付
- 什器・治具等にあらかじめICタグをつけておき、それと紐付け
- バーコードのみついているモノと伝票の管理番号を組み合わせて、ICラベル発行
これにより、既存のバーコード管理システムとRFIDシステムをシームレスに連携させ、過去のデータも有効活用できます。
例えば、仕掛品が最初に投入される工程でバーコードをスキャンし、同時にRFIDタグを貼り付けて情報を紐付けることで、その後の工程はRFIDによる自動追跡が可能になります。
段階的な導入と補完
全工程へのRFID導入が難しい場合でも、特定の重要工程や滞留が頻発する工程に限定してRFIDを導入し、他の工程ではバーコードを活用するといった段階的な導入が可能です。
バーコードは目視での識別が容易であるため、ICタグの表面に印字しておけば、RFIDが読み取れない特殊な環境下や、最終製品の出荷時に顧客向けの情報としてバーコードを用いるなど、補完的な役割を持たせることができます。
棚卸し作業の劇的効率化

ICタグ導入による効果の中で最も大きいことの一つとして、棚卸作業の効率化があげられます。 バーコードの様に1つずつスキャンする必要がなく、ハンディリーダーで広範囲のRFIDタグを一括で読み取れるため、生産ライン上や倉庫にある仕掛品の棚卸し作業時間を大幅に短縮できます。これにより、棚卸しの頻度を増やし、より正確な在庫情報を常に把握することが可能になります。
おわりに
仕掛品の作業進捗と在庫精度向上は“現場の見える化”が土台です。まずはRun Pointで仕掛品の所在の可視化を短期に実現し、次に上位システムと接続する高度なシステムへ段階移行することも可能です。多数の導入実績を持つ当社が、要件整理?PoC?本番運用まで伴走し、現場負荷を抑えつつ効果を積み上げます。お気軽にお問い合わせください。

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