RFIDを取り巻く現状

VOL.008 2005年12月号

ここ最近、各メディアに取り上げられる頻度が増え、実証実験の結果報告などで産業界をはじめ一般消費者までもが注目するRFID/ICタグ。 長所だけを見ると、自動認識技術に長年携わってきた私たちにも夢のような技術に見えるRFID。 今回はこのRFIDの現状をレポートします。

RFIDの現状

ここ最近、まるで「RFID/ICタグ(以下、RFID)」がキーワードのように、新聞や雑誌その他でRFIDという単語を目にする機会が増えています。 すでに我々の日常の暮らしの中にもRFID は進出しています。JR東日本の「Suica」や西日本の「ICOCA」、「おサイフケータイ」としてコンビニでも見かける「Edy」など、 RFIDは暮らしに必要なものの1つになっています。また銀行などでも偽造防止や多機能化を目的に、クレジットカードやキャッシュカードにもRFIDが付けられているものが多く見られます。

産業界においても、経済産業省が推進する『響プロジェクト』や内閣推進の国家戦略である『e-Japan』、 ウォルマートやベストバイなど、 アメリカの大手小売業者では既に実用化しているUHFなど、 RFIDの話題にはこと欠きません。 このようにRFID自体の認知度が著しく向上した一方、実際に利用されているものを見てみるといささか状況が違っています。 情報先行で認知度は上がったものの、 産業界ではまだ限られたごく小さい範囲でしか導入が進んでいません。理由はいろいろありますが、 導入が進まない理由の中心には『タグが高価』 『良く検討してみるとRFIDを使う必要がない』『RFIDの長所と短所を良く理解していない』  というようなものがあるようです。こういった懸念・問題を解決していかないと、産業界でのRFID 普及は難しいでしょう。

さらに特に話題のUHF帯についても、すでに行政からはUHF帯の使用認可が出ていますが、国家戰略や産業界の強力なバックアップによってさっさと ディファクトスタンダード(事実上の標準)にしてしまったアメリカとは違って、日本では周波数帯の問題をはじめとして、実用化にはまだまだ多くの課題があるようです。 すでに導入が進んでいる事例もたくさんありますが、今後、日本国内でRFID導入が予想されるのは、海運業などアメリカの国家戦略に追随する必要がある産業からではないかと思われます。

RFIDとはどんなものなのか?

RFIDとは、 一般的にはアンテナを持ったICがカードやシール、ラベルといったものに理め込まれた形を総称した呼び名です。そのため、記事によってはICカードと呼ばれたりしますが、 RFIDとの違いはありません。このICを利用したRFIDの主な特徴として、(1)格納できるデータ量は、最大数千文字、 (2)非接触で格納されたデータの読み取り/書込みが可能、(3)複数のRFIDタグを同時に読み取ることができる、(4)電池を必要としないパッシブタグの場合、 長期間使用が可能、などが挙げられます。

RFIDにはいろいろな種類があります。RFIDを使って何をしたいのか?(アプリケーンョン)によって適切に使用できるRFIDを選び、導入していかなければなりません。

RFIDは夢のアイテムか?

在庫管理の手法のうち『自動倉庫』のシステムは大掛かりなものになり、通常、マテリアルハンドラーと呼ばれる専門の会社がシステムを構築するので、 ここではユーザーがシステムの検討から導入までを行う『人』が中心の運用を例に説明します。

簡単な在庫管理を実現するためにはまず導入の目的をはっきりさせることが重要です。 これはシステムの導入そのものが目的となってしまい、導入すれば現在抱えている問題 – 例えば在庫数を正確に把握できないなど – を解決できるという誤った認識に陥ること があるためです。

導入の成功事例や大規模な実証実験が多くのマスメディアに取り上げられたことや一般消費者の間でSuicaやEdyの利用が急速に広まったことなどによって、 RFIDの知名度は飛躍的にアップしましたが、はたしてRFIDは、製造現場での運用を含めて既存の問題をすべて解決する夢のアイテムなのでしょうか? 確かに、 RFIDの導入で大きな成果を上げている企業は存在します。そのような事例はマスメディアなどで取り上げられることも少なく、一般的な認知度は高くないかもしれませんが、 RFIDの良い点も悪い点も整理し、 システム導入効果を検討したうえで導入に踏み切っているのです。 そのような企業に共通することはRFIDについて深い知識を所有しているということです。 RFIDの利点だけに着目し、 何となく何でもできるような意識をベースに検討を始めてしまった企業では、途中いくつもの壁にぶつかり実際の導入には足踏みしてしまっているという話を良く耳にします。

先にお話ししたRFIDの主な特徴は、今までの自動認識の世界には存在しなかった非常に大きなメリットではあります。 しかし、その特徴がすべての運用に対して有効というわけではありません。 RFIDの長所・ 短所を良く理解した上で導入効果を明確すること、現場のノウハウなどによって蓄積・ 改善されてきた伝票や帳票などと、 従来から利用されているバーコードや2次元コードと組み合わせて導入することで、実際に思い描いているような導入効果を生み出すことが可能になるのではないかと私たちは考えます。

いずれにせよRFID、バーコード、2次元コードのそれぞれに長所・短所があり、この中の1つがその他の2つを完全に力バーすることはできないということを理解することがとても重要だと思います。

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