フォークリフト安全対策の決定版:事故ゼロを目指す現場のための最新ガイド

フォークセーフモニター

2025年9月号

 製造・物流の心臓部で働くフォークリフトは、生産性を押し上げる一方で、毎日使うからこそ危険が日常化しやすい機械です。
 日本ではフォークリフト起因の労働災害が毎年およそ2,000件前後、死亡は20~30件で推移しており、発生が下げ止まる傾向にあります。「ゼロに近づける」には、教育と点検に加え、運転挙動をデータで可視化する“攻めの安全”が欠かせません。

なぜ事故は減り切らないのか─構造と人の限界─

 フォークリフト事故は「はさまれ・巻き込まれ」「激突」「墜落・転落」「転倒」「荷崩れ」が上位を占めます。背景には、車体構造による死角、狭隘通路、荷役の不安定さ、そしてヒューマンエラー(疲労・慣れ・思い込み)が複合的に絡むという現実があります。安全教育や速度ルールの徹底、ミラー・カメラの追加は一定の効果を示すものの、“人の注意”に依存する限り見落としや判断遅れは避けきれません。だからこそ、挙動そのものを自動で捉え、偏りや再発パターンを“数値”で潰す発想が要ります。

「守り」だけでは届かない─法令遵守+データで底上げ─

指針上では、作業開始前点検、月例の定期自主検査、年次の特定自主検査などが求められます。これは最低限の土台ですが、点検・教育は本質的に静的な対策です。動的に変化する現場では、運転行動のリアルタイム把握と事後の分析(PDCA)を重ねてこそ、下げ止まる傾向にある事故発生を、データに基づく運用改善で着実に減少軌道へ戻せます。厚生労働省も有資格運転や特定自主検査の励行を求めつつ、現場での接触防止・区分け等の対策を重ねる重要性を周知しています。

安全を“投資”に変える─プロアクティブ戦略─

安全をコストではなく投資と捉えるなら、リアルタイムで危険挙動を捉え、教育と配置に反映するデータ駆動の運用が最短距離です。属人的な「経験と勘」を、共有可能なダッシュボードと確かなログへ。現場の合意形成も、感覚論から「数字で話す」へと変わります。

切り札「フォークセーフモニター」とは

フォークセーフモニターは、フォークリフトの運転傾向を見える化し、危険挙動を検知・記録・警告する安全運転支援システムです。加速度センサーが急加速・急減速・急旋回などの荒い操作を即時に検知し、ドライバー・車両・時間帯ごとにログ化。ダッシュボードで件数推移やヒートマップを掴み、重点指導や危険時間帯のフォローに直結します。

リアルタイム警告

危険操作をセンサーが捉えると、端末や表示灯と連動してアラート。ヒヤリハットを“その場”で是正します。

リアルタイム警告

運転者別の傾向把握

ドライバー/車両単位で急動作件数を可視化。CSV出力でExcel集計や社内報告にも流用できます。

顔認証(車載端末連動機能)

車載端末搭載のカメラと連動した顔認証機能により、運転者特定を自動化し、個人別スコアリングや指導履歴の精度が高まります。

稼働の見える化

走行台数・走行時間・稼働率を同一画面で確認。車両配置やシフト設計の最適化に効きます

導入で得られる“二重のリターン”

事故リスクの実質低減

 危険挙動の即時是正+傾向の継続是正(教育・配置・ルール改訂)という二段構えで、ヒューマンエラー起点の事故を減らします。年間2,000件規模で推移する災害の母集団を縮めるには、頻度の高い“軽重取り混ぜたニアミス”を系統的に減らすことが近道です。

稼働・生産性の維持向上

事故が減るとライン停止や再手配が減少し、納期遵守率が安定します。ダッシュボードの稼働可視化により、台数過不足や時間帯偏在の是正も可能。安全と効率をトレードオフにしない運用に寄与します。

コンプライアンスと説明責任

点検・教育の実施に加え、客観データを蓄積していることは、万一の際の説明責任を強化します。「やるべきことをやっていた」だけでなく、「危険兆候に対し継続的に是正していた」ことを示せるのは、経営とステークホルダーに対する強いメッセージです。

大規模運用に効く“現場実装力”

「フォークセーフモニター」は、既存フォークリフトへの後付けを想定しています。車載端末「TCP-05Fork-win10」と連動するモデルは既にリリース済みで、センサーボックス単独で稼働するスタンドアロンモデルも近日リリース予定です。既存の安全教育・点検と並走しながら、短期で“測る→示す→動かす”を回せるのが強みです。

導入ステップ例(モデルケース)

以下は複数拠点・多数台運用を想定したケースです。現場の規模・運用ルール・人員体制に応じて順序や深さは柔軟に調整してください。

  1. 現状把握:拠点/班/時間帯別の急動作ベースラインを計測
  2. 重点施策:危険時間帯の人員補完・速度管理・動線再設計を実施
  3. 定着化:毎週ダッシュボードで効果検証→是正サイクル(面談・朝礼共有・再訓練)
  4. 横展開:効果指標(急動作率・ヒヤリハット密度・稼働率)を共通KPI化し、拠点間比較で底上げ
フォークセーフモニター

フォークリフト運転傾向安全管理システム「フォークセーフモニター」

急ブレーキや急加速、急旋回などの荒い運転をセンサーが見逃さず検知。各ドライバーの安全運転度を見える化して職場の事故ゼロをサポート。

おわりに

  フォークリフト事故は、教育・点検の徹底だけでは減り切らない段階に来ています。フォークセーフモニターは、危険挙動をリアルタイムに捉え、現場安全対策をデータ起点に変えることで、事故低減と稼働の両立を実現します。大規模オペレーションを担う安全担当の皆さまにこそ、属人から組織へ、静的から動的へ安全管理を進化させる一手として検討いただきたいソリューションです。



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