導入前に起こりがちな課題
課題1:ロット照合が“目視・紙”中心で、取り違えが起きる
配合原料、接着剤、溶剤、仕掛品ラベルなど、ゴム加工では「ロットの正しさ」が品質に直結します。防爆エリアで端末が使えない状態だと、照合は目視・紙チェックに偏り、取り違え・誤使用が起きやすくなります。

課題2:実績がリアルタイムに取れず、原因追跡が遅れる
作業終了後にまとめて入力する運用では、タクトの乱れや停止要因、滞留WIP(仕掛品)の把握が遅れます。品質異常が出た際も「いつ・どこで・何が起きたか」の特定が遅れ、影響範囲が広がりやすくなります。

課題3:紙保管・転記がコストになり、監査対応も重い
紙の保管、転記、ダブルチェックは工数を消費するだけでなく、記入漏れや読み違いも発生します。監査や顧客要求で「証跡の一貫性」が問われるほど、紙運用はリスクになり得ます。

対象になりやすい工程例

防爆エリアはタイヤ工場に限りません。たとえば、以下のような工程で「防爆×現場入力」のニーズが強くなります。
検査・出荷:製番/ロットの取り違え防止、履歴照会の迅速化
配合計量・混練:原料・添加剤の投入管理、マスターバッチの取り違え防止
押出・カレンダー:仕掛のロット引継ぎ、工程間のWIP(仕掛品)滞留の可視化
接着剤塗布・ディッピング・スプレー塗工:材料ロットの誤使用防止、作業実績の即時記録
溶剤洗浄・拭き取り・希釈作業:使用液のロット・作業者・時刻の記録
解決策:防爆端末×バーコード運用で「その場で照合、その場で記録」
ポイントはシンプルです。防爆仕様のタブレット/ハンディ端末/スキャナを現場に配置し、作業者が手袋のまま対象物のバーコードを“その場”で読み取り、指示・規格・マスタと自動照合し、そのまま実績登録します。
データが即時に残ることで、現場とシステムの情報がズレにくくなり、後追い入力に伴う抜け漏れも減らせます。

代表的な運用イメージ
- 配合/混練:原料袋・ドラム・容器のバーコードをスキャンし、配合レシピと照合。誤投入はその場で気づける仕組みに。
- 接着剤/プライマー管理(ラバーセメントのロット管理を含む):治具IDや部材IDと、使用材料ロットを紐付けて記録。取り違えを抑止。
- WIP(仕掛品)追跡:工程の入口・出口でスキャンし、滞留や基準時間逸脱を可視化。
- 検査/出荷:ロットと検査実績をひも付け、履歴照会を迅速化。
導入後に得られるメリット

メリット1:ポカミス抑止(“注意喚起”から“仕組み”へ)
バーコード照合による自動判定を取り入れることで、目視・紙チェックに比べて取り違えリスクを下げやすくなります。発見タイミングが早まり、手戻り・廃棄・再検査の抑制につながります。

メリット2:実績のリアルタイム化で、管理と改善が回る
「誰が・いつ・何を・どこで行ったか」が即時に残ることで、停止要因分析や工程負荷の見える化が進みます。異常時の影響範囲特定も速くなり、対応の意思決定がしやすくなります。

メリット3:帳票レスで工数削減、監査・顧客要求にも強くなる
紙の記入と転記が減り、入力工数を圧縮できます。電子データとして一貫性ある証跡を残せるため、監査・トレーサビリティ要求への対応もスムーズになります。
防爆機器選定のチェックポイント

- 危険場所の前提:危険ガス(Zone1/2等)か、粉じん(Zone21等)か。混在する場合は両方の要件を踏まえた構成検討が必要です。
- 認証と運用条件:防爆は“機器の仕様”だけでなく、使用条件(充電、開放禁止条件、保守点検など)も含めて運用設計が重要です。
- 読み取り対象:1D/2Dに加え、汚損・小型コード・複数バーコード同時読みなど、現場の「読めない」を先に潰すことが重要です。
- 堅牢性:落下、粉じん、水、薬品清掃など。IP等級やマウント・ドック等の周辺も含めて設計します。
MTSの強み:防爆ラインナップと、現場実装を前提にした提案
MTS(マーストーケンソリューション)では、Zone1/2の危険エリアでのポカミス防止・実績収集を支援する防爆製品ラインナップを用意しています(国内防爆検定合格製品のラインナップとして掲載)。現場の制約(手袋操作、粉じん・水、落下、読み取り距離、無線運用、既存アプリ資産)に合わせて、タブレット/ハンディ/スキャナ/ソフトウェアを組み合わせ、“現場で回る”ところまで落とし込むことを重視しています。
製品例

防爆Windowsタブレット
Zone1で使用できる10.1インチのWindowsタブレット

防爆対応 スマートフォン
Zone1もしくはZone2で使用できるSIMフリースマートフォン。

耐圧防爆型固定式コードリーダ
防爆エリアZone1で利用可能な防爆対応高性能固定式2次元コードリーダ。

本質安全防爆・無線スキャナ
Zone1およびZone21(粉じん)での使用可、国内検定合格番号:CML 24JPN2048X。

耐圧防爆・有線2次元リーダー
耐圧防爆構造で2次元コード対応!危険エリアでの作業に最適。
防爆タブレット・スマートフォン用 高性能バーコード/OCR読み取りソフトウェア
産業向け高性能バーコード読取ソフト “CortexWedge”

キーボードインターフェイス入力対応
CortexWedgeは、スマホやタブレットなどのモバイル端末にバーコード・2次元コードの読取機能を組み込むためのソフトウェアで、キーボードインターフェイス入力できることが最大の特徴です。Windows10、Android、iOSに対応しています。難読ダメージバーコードやダイレクトマーキングされた2次元コードに対応し、産業用途での高度な要求に応える高い読み取り性能を備えています。世界100か国で利用されており、業界トップの実力及び信頼性で安定したバーコード読み取りを実現します。
OCR・コード読取モバイルソリューション “MC Lens”

シンプル高性能なモバイルOCRシステムを手軽に導入
Android端末にモバイルOCR/コード読み取り機能を追加する「MC Lens」は、実務特化型ツールです。読み取った文字は送信前に画面上で確認でき、読み取り時の画像をJPEG/PNG/WebP形式で保存し、エビデンスとして活用可能です。CSV形式によるバッチ転送のほか、BluetoothのSPP・HID接続によるデータ中継、さらにはキーボード入力としてカーソル位置に直接結果を出力する機能も備えています。
よくある質問(FAQ)
可能です。区分は設備・換気・取扱物質・作業状態で変わるため、まずは工程と運用制約を整理し、要件に合う機器構成の方向性を提示します。
画面サイズ、入力導線(最小タップ)、スキャナ併用などで“現場で回る”設計にします。
可能です。まずは最小構成で記録を電子化し、効果が見えた段階で連携範囲を拡張する進め方も現実的です。
防爆エリアのポカヨケ/実績収集でお悩みの方は、対象工程(混練、溶剤工程、WIP、検査・出荷など)と運用制約をお知らせください。現場条件に合わせた機器構成と導入ステップをご提案します。