いよいよ完全に表示切換え!医療用医薬品への『JAN/ITFバーコード表示の終了』

VOL.121 flags 2015年6月号

JAN/ITFバーコード表示の終了

 
以前より何度かご案内して参りましたが、医療用医薬品への新バーコードの表示統一の完全施行が、とうとう来月へと迫って参りました。病院内の薬剤部様や調達部様、医薬品卸業様、調剤薬局様などの関係者様におかれましては、システムへのご対応準備は、既にお済みでしょうか?

新バーコード表示の沿革

 米国の医療業界では、医療過誤の多さが問題となっており、医療過誤の一番の原因が「処方・投薬」に関する業務で発生していました。そこで「処方・投薬」にて如何にミスをなくすかの検討を重ね、国際標準化機構であるGS1機関との連携を図り、結果として新バーコード表示によるガイドラインが策定され、世界各国の政府機関の基本構想に於いても、足並みを揃えていく事になりました。
 国内では、厚生労働省から2006年9月に「医療用医薬品への新バーコード表示の実施について」の指針が関連企業・工業会に通達され、2012年6月には新バーコード表示の適用範囲が“内用薬・外用薬”に拡大され、本格的に新バーコード表示が医薬品業界で採用され始めていきました。同時に、販売包装単位や元梱包装単位で利用されてきた商品JANコード/ITFコードについても、2015年7月以降に出荷される医薬品には、「新バーコード表示に統一する」ことが求められており、3年間の移行期間を経て、いよいよ来月、2015年7月より完全実施されることとなります。

新バーコード表示進捗状況の最新調査

 平成27年4月の厚生労働省医政局経済課資料によりますと、次の通りです。

調剤単位:必須項目となっている特定生物由来品、生物由来品、注射薬に関しては、ほぼ移行は完了しており、内用薬/外用薬はそれぞれ61%/47%に留まっています。

販売包装単位:特生、生、注射薬、内・外用薬の全種類において、ほぼ移行は完了しており、進捗状況が一番良いとされています。

元梱包装単位:注射薬、内・外用薬が50%以下の進捗状況となっており、来月から完全実施に向けて急ピッチで新バーコードへの表示が進捗すると考えられます。

新バーコード対応スキャナの導入状況

 前述の厚生労働省医政局経済課資料では、卸売販売業者への新バーコードの利用状況と対応スキャナの導入状況調査で、販売包装単位で92%、元梱包装単位で69%の利用状況となっており、今後の利用検討は100%の回答となっています。
 対応スキャナの導入状況は、保有総台数8,100台に対して90%が対応スキャナで既に利用されており、新バーコードが運用される市場環境は整ってきていると判断できます。
 これらの最新統計情報からも、新バーコードの表示については、計画通りに進んでいる事が分かります。しかし、実際の表示は、従来のJANコードやITFコードが新バーコードと併記されている状態で、市場においても、新バーコードは表示はされていますが、従来のJANやITFで運用されている現場は、未だに多く残っています。この様な現場では7月から突然、商品コードの読み取り時に、システムでエラーとなってしまい、通常業務に支障が出ることが予想されます。

新バーコード表示統一で何が変わるか?

 では、JANコードと新バーコード表示で何が変わるのでしょうか・・・?
 従来利用してきたJANコードは13桁の商品コードで、システム内の医薬品マスタでも13桁で登録されており、検品や調剤監査でも、同一規格のバーコードを利用することが可能でした。
 新バーコードは、GS1 Databarと言うバーコードを採用しており、商品コードが14桁で表現されています。
 従って、7月から従来のバーコードを読み取ると14桁の商品コードでシステム内の医薬品マスタを検索する事になるので“一致する医薬品が見つからない。”と言うエラーが発生します。

さらに、単純な桁数の長さの問題だけではなく、販売包装単位や元梱包装単位の場合は、データの最後の桁がチェックデジットであり、13桁と14桁ではチェックデジットの値も変わってしまい、データの値自体が違ってしまうのです。


終りに

 今号では、販売包装単位の新バーコード“GS1 Databar”への移行を解説いたしましたが、元梱包装単位の新バーコード“GS1-128”の場合は、商品コードと共に、“有効期限”や“製造番号”、“数量”を一緒に表示している商品が増えていますので、対応するには販売包装単位の切換えより、多少複雑になります。
 医療用医薬品における新バーコード表示に関する対処方法や詳しい内容、行政・市場動向、トラブル事例などご興味がございましたら、当社営業担当より直にお話をさせていただきます。