医療機器と体外診断用医薬品への バーコード表示 ~薬機法改正~

VOL.199 flags 2021年11月号

みなさんが普段飲んでいらっしゃるお薬をよく見ると、パッケージにバーコードが印字されている事に気づかれると思います。これは、各個品のトレーサビリティや取り違えによる医療事故防止等のために印字されています。今月は薬機法改正による、今後の医療機器等への広がりについてお話します。

薬機法改正

少々長い名称の法律ですが改正された薬機法は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年12月4日公布)」です。いくつか改正点がありますが、自動認識が関わる改正内容は大きく2点あります。

1.添付文書(注意事項等情報)の電子化 2021年8月1日(2年間猶予期間有)
2.容器等へのバーコード表示の義務化 2022年12月1日

添付文書(注意事項等情報)の電子化

 1.の添付文書の電子化ですがこれまで医薬品などの製品と一緒に同梱されていた紙の添付文書は原則として廃止され、電子的な方法で閲覧することが基本となります(※一般用医薬品等の消費者が直接購入する製品については、引き続き、紙の添付文書が同梱)。
 従来、添付文書については以下のような課題があり、これを解決することを目指しています。

・添付文書は頻繁に改訂されるため、同梱されている添付文書は最新の情報ではなくなっている場合がある。
・同一の医薬品等が医療機関や薬局に納品されるたびに、添付文書が一施設に多数存在し、紙資源の浪費につながっている。


 実際に電子化された添付文書を閲覧するには、スマートフォンなどにいれた添付文書表示ソフトを活用します。容器又は被包に印字された「GS1バーコード」のような符号(コード)を読み取り、それに対応するインターネットで公開されている添付文書を表示するという仕組みです。

容器等へのバーコード表示の義務化

 トレーサビリティ向上のため、もともと管理上よく使われていた「GS1-128シンボル」の容器等への表示が義務化されます。従来から医薬品はほとんど表示されていましたが、これが医療機器等にも広げられます。また 前述の添付文書電子化でも、どの医薬品・医療機器なのかを判別するため、このシンボルが活用されます。
 細かく言いますと、添付文書はPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のホームページに登録され公開されます。これにスマートフォンなどのアプリケーションでアクセスするための符号として「GS1バーコード」が必要となります。医療機器等の場合、符号として利用できるバーコードは「GS1-128シンボル」、「GS1データマトリックス」のみです。よくスーパーやコンビニのレジで一般消費財商品の会計で利用されているJANシンボルや、段ボールに印字されているITFシンボルとは異なります。その他、表示するバーコードにいれる情報について注意があります。医療機器等については、2008年に発出された厚生労働省通知に基づき、GTIN(商品コード)と合わせて有効期限やロット番号などを、GS1-128シンボル(またはGS1データマトリックス)で表示することが必要となります。

バーコードの印字品質検証

 製品の容器・包装外装や、プリンタなどで印字されるバーコードですが、初めに製薬メーカーや医療機器メーカーで印字を行い、それが卸売業者や病院等に流通していきますので、はじめの印字が非常に重要になってきます。
 このような中、生産工程で印字したGS1 バーコードやGS1データマトリックスが市場やユーザーで読取出来るか不安、というお声をいただきます。生産時期や使用してる資材ロットによる違いで、いつの間にか印字品質が低下して読み取りが難しいものになっていないだろうかといった懸念は、生産においてどうしても発生します。そこで、抜き取り検査でバーコードの印字品質をチェックする運用が求められ、視覚的にわかりやすく検証を行える検証器として、GS1認定卓上型バーコード・2次元コード検証器「LVS-9510-5」が広く使用されています。

医療・医薬業界向けGS1印字検証

 薬機法改正に伴うGS1コード表示義務に関わる機器の提案として、バーコードの品質検査を行うための検証器の展示をいたしました。今回、近日発売予定の医療機器/体外診断用医薬品向けコードチェッカー「GS1 Checker for MD」を参考出品しました。これによってGS1-128、GS1 Data-Matrix印字データフォーマットのチェックがどなたでも簡単に行えます。

・カメラタイプで2次元コードを含む全てのバーコードを検証可能
・ISO等の品質規格に準拠
・日本語操作
・検証だけでなく、低グレードの場合は印字品質改善のヒントを提供


また、生産ラインでの全数検査には品質検査機能付き固定式コードリーダがあり、OK/NGをリーダで判断、デジタル出力による機器への信号出力や結果データ出力等行うこともできます。

GS1バーコードの検査

 医療用医薬品や医療機器に表示されるGS1バーコードはGS1によって定義が定められており、ルールに則ったデータ構成をする必要があります。印字するGS1バーコードが、GS1ルールに準拠しているかチェックするのが「GS1-チェッカー」です。日本国内では医療用医薬品と医療機器とでルールに違いがあるため、それぞれのチェッカーをご用意いたします。

・ハンディターミナルなので、いつでもどこでもチェック作業可能
・印字内容が規格不適合の場合は、わかりやすいガイダンス表示
・「ポカミス防止」照合機能


出荷時の確認、ラベルセット確認といった作業で、ポカミス防止に役立ちます。もちろん、読み取ったシンボルがガイドラインに準拠しているかのチェックも同時に行えます。

GS1データチェッカー GS1 Checker

『医療用医薬品における新バーコード表示』の ガイドラインを正しく理解できていますか?

GS1-DatabarおよびGS1-128(UCC/EAN-128)はシンボル自体の規格の他に、印字するデータフォーマットのガイドラインがISO(国際標準規格)で定められております。これに準拠していないと流通市場や他のシステムでは使用出来ません。

“GS1-チェッカー”はバーコードを読ませるだけで、誰でも簡単にガイドラインへの適合チェックが可能です!

医療機/体外診断用医薬品向けコードチェッカー GS1 Checker for MD

医療機器のGS1コードを正しくチェックして、 誤ったコードが市場に流通するのを未然に防ぎます。

令和元年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部を改正する法律に対応


おわりに

 自動認識技術のエキスパートとしてお客様のお役に立ちたくソリューションのご提案をさせていただいておりますので、業務改善・効率化に向けてのご不明点、ご興味あるシステム等ございましたら弊社営業担当までお気軽にお問い合わせください。