用途にあわせたUHF帯ICタグ

Vol.197 flags 2021年10月号

時代とともに増えてきた様々なUHF帯ICタグを紹介します。モノの管理に使用されることが多いUHF帯RFIDは金属への対応をはじめ多くの活用シーンが生まれています。

リーダライタとICタグ

先月号でリーダライタの様々な機能を紹介しました。RFIDの活用は、ここ数年、アパレル大手企業がUHF帯RFIDを個品の商品管理に活用を始め、グッと皆様に身近になりました。街のアパレル店でもセルフレジによる素早い一括登録を体験できます。一般の方からはレジ一括登録は「いったいどうやっているの?」といった質問をいただくことが良くあります。「ここにICタグがあるんですよ」と洋服についているラベルや値札タグをひっくり返したり、明かりにすかしてICタグを見せたりすると、「これだったのか!」とみなさん得心されます。今や、あまり意識はされていないのですが、多くの方のお手元にはいつのまにか、一般的なラベルタイプのUHF帯ICタグが届いています。今月のFlagsでは一歩進んで、普通のラベルではない、別な機能・特徴をもったICタグを紹介します。

金属に対応

多くの現場で求められるのが、電波に影響を及ぼす為、RFIDが苦手とする金属製品へのICタグの貼付です。モノづくりの現場での製造中の製品や、治具やカゴ車、工具、パソコン、IT機材など金属製品を管理したいニーズは多くあります。金属製品むけには大きく分けて4種類のICタグがあります。

■金属ハードタグ

UHF帯ICタグ

 頑丈な樹脂等を使用した耐衝撃・耐候性を高めたものです。屋外で使用されることも多くあります。金属タグを使用する際の注意点ですが、金属タグによって、裏面を全面的に金属に触れさせることを前提に設計されている物があり、それらは金属につけないと本来の性能が発揮できず、読み取り距離が短くなることがあります。

■金属対応RFIDラベル

 金属対応でありながら、柔らかくプリンタを使って表面印字と、ICタグのメモリのエンコードを行うことができます。普通のラベルよりは分厚く、薄いスポンジ状になっており、円筒状部品などの曲面でも貼付することができます。価格的にも金属ハードタグに比べればリーズナブルです。

金属対応フラッグタグ

 タグの一部を金属部にはり、残りは旗のように飛び出して貼付して使用します。貼付部が小面積で、小型商品や細いケーブルにも使用でき、リーダライタでの読み取りも、飛び出している部分が効果を発揮して普通のラベルタイプに近い性能です。コンビニでの一般商品にICタグをつけての実験にも使用されました。

■耐熱タグ
製造工程のうち、塗装や金型の管理、また高温で滅菌する医療器具などは高温にさらされるため、特に耐熱性を高めた耐熱タグが使用されます。

ESD樹脂に対応

 半導体ウエハーや電子部品等の静電気に弱いもののための容器はESD対策のための導電性樹脂が使用されています。導電性樹脂は見た目は普通のプラスチックなのですが、普通のICタグを使用すると、検知できる距離が極端に短くなります。このような用途には、ESD樹脂向けにチューニングされたICタグがあり、こちらをおすすめします。

様々な方向に対応

 UHF帯のICタグは多くのものが細長い長方形をしています。中心にICチップがあり、左右に細い・幅広のアンテナが翼のように広がっているものがほとんどです。リーダライタのアンテナに対して、ICタグの向きや角度で、検知できる距離がずいぶんかわります。向きによって検知できる・できないが大きく変動しますので、運用上、いつも一定の向きにできないときに(実際のところ、多くの場面で一定の向きにはできないのですが)、ICタグが検知できたり、できなかったりになるので、困ります。そんな時には指向性を減らした「無指向性タグ(3Dタグ)」があります。四つ葉のクローバー状のアンテナをもち、向きによっての検知できる・できないの問題がかなり改善されます。
 

カゴ車や金属パレットに

 カゴ車のような物流什器はよく管理対象となります。ただ激しく取り扱われることがあるのでICタグや取り付け位置を工夫しないと、ぶつけて破損してしまう可能性もあります。そのためICタグは、写真のようなカード状に成型してカゴ車の目にぶら下げるタイプや、先に紹介しました金属タグをほかのものとぶつからない位置に貼付や、ねじ止めして使われることが多くあります。

温度測定

 ICタグはID番号だけでなく、温度検出機能をもったものもあります。電池を内蔵したタイプと、電池をもたないパッシブタイプのものがあり、電池を内蔵したものは、すこしサイズが大きくなってしまいますが、定期的にロギングできるような機能を持つものもあります。パッシブタイプの場合、見た目は一般的なICタグとほぼ同じです。電池タイプもパッシブタイプも、ICタグにリーダライタからコマンドをおくり、温度データを取得することができます。

洗濯・クリーニングに耐える

 制服やシーツといったリネンの管理にRFIDの活用もずいぶん増えました。洗濯や、脱水時の高圧に耐える必要があり、また硬くて大型では取り付けにくいので、小さく柔らかいものが望まれ、ICタグとしてはなかなか難しい条件が要求されますが、世代を重ねる毎、洗練されてきています。

おわりに

 今回はまとめて様々なUHF帯ICタグを紹介いたしました。RFIDリーダライタと、ICタグは合わせて一つのシステムを形作ります。必要なアプリケーションに合わせてICタグを選択する必要があります。金属タグといっても様々なものがありますので、コストや使いやすさ、表面印字有無、ハード的な強度などバランスをもって検討・選択する必要があります。 また、どれも世代を重ねてきています。昔、試してみてまだまだだな、と思われた方も、新しいものを試してみてはいかがでしょうか。どの分野もそうですが、どんどん進化しています。ICタグも同じです。昔無理だったこともできるようになってきているアプリケーションがずいぶんあります。DXを推進している方も多いかと思いますが、今回ご紹介しましたRFID活用も一つの方法ですし、そこにバーコードや画像認識といった自動認識技術も組み合わせて活用されることも多くあります。 皆様のDX実現のお手伝いをさせていただきますので、是非お声がけください。

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