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MONTHLY MARS TOHKEN SOLUTION NEWSLETTER

『UHF ICタグのメモリとデータ(前編)』

Vol.176

明けましておめでとうございます。
今年も引き続き月刊「Flags」をご愛読いただいております読者の皆様へお役に立つ自動認識技術の情報提供をお届けして参ります。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

はじめに

 近年UHF帯のRFIDシステムの導入がさまざまな現場ですすめられています。店頭や物流、生産工程で個品や梱包箱、通箱などにICタグがつけられて活用されています。ただ、そのICタグにどんな風にデータを書き込んで使うかという点については、今までのバーコードやHF帯とは少し違っています。今回から、数回に分けてUHF帯RFIDのICタグのメモリとデータをご紹介します。ちょっと技術的な内容になってしまいますが、UHF帯RFIDの活用の幅を広げるために、いったいどんなことができるのか、入っているデータがなにを意味しているのかを紐解いてみれば、これまでとは違った活用法に気づくことでしょう。

メモリ構造

 UHF帯のICタグはEPCglobal C1G2、ISO/IEC 18000-63に準拠したものがほとんどです。この規格でつかわれているICチップのメモリ構成は図1のようになっています。
ICチップのメモリ構成
 メモリの読み書きは2Byte単位で行われ、2Byte=16bitを「1ブロック」としてブロック単位で処理は行われます。

*Bank 00 [RESERVED]
RESERVEDメモリはAccess Password及びKill Passwordで構成され各々4Byteです。Access Passwordはメモリに保護をかける場合に使用します。Kill Passwordはその名の通り、ICタグを無効にする場合のパスワードを格納します。Killするとリーダライタで検知しようとしても無反応になります。

*Bank 01 [EPC]
EPCメモリは実際に識別に使うデータ(IDコード、UII)が格納されています。
以下の3つの部分から構成されています。

EPCメモリの構成

(1)CRC
EPCメモリのエラー検出に使用されるCRC値であり、EPCメモリの一番先頭の1ブロックです。ここは利用者が書き込むことはできません。ほかの部分を変更した際に自動的にここも書き換え処理がされます。

(2)PC
EPCメモリの2番目のブロックです。PCはProtocol Controlを意味し、各種の情報が含まれています。以下のような構成です。

PCメモリの構成

はじめの5bit(Length)がその後の(3)EPCの長さを指定します。指定方法の詳細については右下終わりにのあとの参考資料をご参照ください。ここはご存じない方も多いのですが、UHFのIDコードであるEPCは長さを変更することができます。規格上の最長は496bit(62Byte)です。ICチップ毎に実際に搭載されているメモリは異なりますが、現在増えているのは最長128bitあるいは96bitのものです。たとえばNXP社のUcode8やimpinj社のM730は最長128bitです。
次のUMIがちょっと注意です。
ここは後に説明しますBank11[USER]メモリの有り/無しを表すのですが、実際はICチップ毎に挙動が異なっており、ICチップの仕様を確認する必要があります。固定値で変化しないICチップもありますしUSERメモリへの書き込み等で変化するようなICチップもあります。
XPCは拡張PCの有無を表しますが、現在のところ、XPCが有るというICチップはあまりなく、多くのICチップでは固定値の0です。
ToggleはUHFのIDコードであるEPCが、EPCglobal準拠か、非EPCglobal準拠かを示します。ここが0であればSGTINやGRAIといったフォーマットのEPCglobal準拠を意味し、1であれば他のコード体系(たとえばISO方式)を意味します。その次のRFU/AFI(8bit)は、Toggleが0の場合にはすべて0です。1の場合はISO/IEC15962に規定されているAFI値を設定します。
以上がPCの内容です。ちょっとわかりにくいのでよくあるPC値「3000(16進数)」を例としてまとめて読み解きしますと、これは「EPC-96bit,USERメモリなし,IDデータのフォーマットはEPCglobal準拠」を意味します。

(3)EPC
EPCメモリの3番目のブロック以降がRFIDをつかったシステムでのIDコード部分です。ここにユーザ側で自分の使いたいIDコードを書き込みして使用します。主にEPCglobal方式か、ISO方式のやり方があります。これについては次号以降でご説明します。UHF帯リーダライタをICタグ付の商品に向けICタグの検知を実行すると、主にここのデータが収集されます。HF帯のICタグと大きく違うのが、このICタグの検知実行時のユニーク(一意)なIDコードを利用者側が書き込んで運用することです。

UHF帯リーダライタは(2)PC及び(3)EPCの組み合わせでICタグを識別します。同じPCとEPCのタグを作ることは同じPCとEPCを複数に書き込んでやればいいので簡単です。同じ内容のものをリーダライタで検知実行するとリーダライタ側では同じものは複数あっても複数と識別せずICタグは1個とホスト側に伝えます。多くのICタグをそれぞれ別な異なるICタグとして認識したい場合は、それぞれに異なるIDコードを書き込んでやらないといけません。HF帯のICタグは利用者の手元に来た時にはすでにユニークなIDコードが書き換え不可な状態で書き込まれてきていましたがUHF帯はそうではありません。また、ICチップによってはRESERVEDメモリやEPCメモリに独自の拡張機能の領域を用意しているものがあります。

おわりに

駆け足で先ずはUHF帯ICタグのメモリに関するお話をさせていただきました。次号では残るTID、USERメモリについてや、実際にどういう風にデータを加工して書き込むのか、SGTINとは?といったことをご紹介させていただきます。
続く»『UHF ICタグのメモリとデータ(中編)』

技術情報誌 Flags(PDFデータ) 2020年1月号(872.94 KB)
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