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『UHFだけじゃない!HF帯RFID機器(前編)』
Vol.163
ICカードは、銀行系や交通系など種々私達の身近に存在していますが、HF帯(短波帯)の電波を主に使用しているRFID技術の一つです。
今号と来月号の2回に分けて、HF帯RFIDにスポットを当てて活用方法や製品のご紹介をいたします。
RFIDとICカード
2001年11月18日に「タッチアンドゴー」というキャッチで華々しく東京圏424駅の改札に一斉に導入されたのが、非接触式ICカードを利用したJR東日本のICカード出改札「Suica」システムでした。
従来の磁気式自動改札機で切符や定期券を一枚ずつ機械に投入して改札を利用していたのと違い、僅かに機械にタッチするだけで料金計算ができてしまうという優れた機能で瞬く間に普及しました。私達がICカードと呼ばれるものを身近に感じることができる様になった良いきっかけになりました。
よく「RFIDって何ですか」と質問を受ける時にも「交通系カードのSuicaとかPASMOの様に電波を利用して情報の読み書きができるシステムのことだよ。」と説明すると大体の人が簡単に理解してくれるようにもなりました。
日本でICカードが一般の人の手に渡り始めたのは1999年の公衆電話のICカードと、2000年ごろからのパチンコにおけるICカードの利用の頃からではないでしょうか。ともにもともとは磁気カードだったものを偽造防止のためICカード化されました。ICカードは偽造がむずかしく、またネットワークをつかった高度なシステムにより不正利用はかなり難しいものになっています。
電波法とRFID
RFIDは一般的にHF帯とUHF帯の電波を活用するのですが、目に見えない電波を使うため、電波法に定められた周波数帯域や規格など、電波の種類を周波数や特徴で区分して、その範囲内の利用が義務付けられています。
例えば、UHF帯の電波を利用する場合は、920MHz付近の周波数がRFID用途に割り当てられていますし、HF帯では13.56MHz付近がRFIDに割り当てられています。HF帯では一般に電磁誘導方式が使われており、UHF帯のように数メートル先のICタグを検知することはできませんが、水気に強く、電波の反射・干渉も少ないため、人がICカードを手に持って使うのにちょうどよくなっています。
UHF帯RFIDの特長を利用して主に「モノ」に対して活用が広まっています。
また、HF帯は、近くのものを対象に範囲の狭い領域での利用が中心で主に「人」に関連したシーンで活用されています。
色々な規格のIC カード
一般的なHF帯ICカードの規格・ブランドには、MIFARE、ISO/IEC14443 Type-A、Type-B、ISO/IEC15693、FeliCa、NFCなどがあります。
社員証や会員カードなどで良く使われている「MIFARE(マイフェア)」は、NXPセミコンダクターズ社のISO/IEC14443 Type-Aを主とするICチップのブランド名で、MIFARE Ultralight EV1, MIFARE Classic EV1 1K などあります。
交通機関や各種チケットでつかわれてきたもので、読み書きの際にはセキュリティ情報を知らないと読み書きができないチップが多いです。
また、メモリサイズが4KbyteのMIFARE Classic EV1 4Kなどもあります。
日本のマイナンバーカードなど公共系カードによく使われているのは、「ISO/IEC14443 Type-B」の規格です。高度なセキュリティをもっているものが多いです。
HF帯のICチップの中でも比較的読み取り距離が長めのものが多いのがISO/IEC15693の規格です。ICチップとしてはNXPセミコンダクターズ社のICODE SLIXなどがあります。MIFAREが人が手でもつ社員証などのICカードで使われることが多いのに対し、モノに使用されることが多い規格です。
形状もプラスチックカードだけではなく、丈夫な工業用の耐久性をもったものや、コイン型、ラベル、リストバンド型などがあります。
ソニー社が開発した「FeliCa」は、FeliCa Standard/liteやFeliCaPlugなどがあり、ICチップのセキュリティ機能や、メモリサイズなどで様々なものがあります。容量が大きいものでRC-S889というICカードは9Kbyteもあります。
前述のSuicaやPASMOといった交通系カードにFeliCaが使われています。
そのほか、WAONやnanacoといった流通系カードもFeliCaです。
またモバイルFeliCaとして日本の携帯電話の一部にICカード機能が搭載されています。
最近は、Androidのスマートフォンに「NFC」と呼ばれる機能がついているものが多くあります。これは実際にはRFIDの機能であり、前述したFeliCaやMIFAREなどのICカードをリーダライタとして読み書きしたり、逆にSuicaカードであるかのようにふるまったりできます。
Bluetooth機器のペアリング操作も“NFC”で簡単に行える機能がありますが、これは実際には機器のNFCマークの裏にICタグが付けられていてそれをスマートフォン等で情報を読みこんでいる仕組みになっています。
終わりに
電波を活用するRFIDは見えないところにあってもアクセス可能、セキュリティ性が高い、後から書き換え可能といった多くのメリットがあります。
また、電波に影響の受けやすい環境などでは予期せぬ問題が発生するケースもあり、導入前の入念な調査があると安心できます。
製品や活用方法など、詳しくは当社営業担当までお問い合わせください。
次号はHF帯の製品等についてお話いたします。
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