自律駆動型UHF帯RFIDの活用事例

自律駆動型RFIDリーダライタ

VOL.155 flags 2018年4月号

 前号では物流センターの検品業務を劇的に改善する「UHF帯RFIDトンネルタイプ一括読取装置」が実際にどれだけの実力があるのかをご紹介いたしましたが、今号では他の業務で利用されているUHF帯RFIDの活用事例をご紹介します。
 前号でご紹介した動画では200枚の一括検品でしたが、更にバージョンアップした「300枚を3秒で検品」しているリーダの動画を公開しましたのでご覧ください。

自律駆動型のおさらい

 まず、前号でご紹介した自律駆動型RFIDリーダライタのおさらいです。
 右記の第1図のように制御PCを中心に構築するのが一般的RFIDリーダライタです。
 当社の自律駆動型FRU-4025Plus/FRU-4100Plusで構築すると第2図のようなRFIDリーダライタを制御する為のパソコンが不要となるのです。各種のリーダライタの機能設定はリモートにあるパソコンのブラウザから簡単に行うことができ、設定後は電源を投入するだけで自律的に動作を始めます。これにより、制御パソコンやPLC等をRFIDリーダライタの近いところに設置する必要がなくなり、パソコンの台数やプログラミング工数が減らせ、さらに構成の自由度アップ、信頼性アップに大きく貢献する事が可能になります。パソコンレスが可能な「オートモード(自律駆動)」では、読み取りの動作や、データの送信先などの各種の設定を事前に行うだけで、日々の運用では電源ONで自動的に動作し、「読み取ったデータを直接サーバ等に送信」します。同時に「デジタル入出力(DIO)の制御」もリーダライタ単体で可能であり、「ICタグ検知時に、デジタル信号を出力」したり、「センサーから入力をうけ、それをトリガーとしてICタグの読み込み(検知Inventory)を実行」することも制御パソコン無しで可能となります。加えて、プログラム開発も、リーダライタを制御するプログラミングが不要となる分、開発工数を大幅に削減でき、開発者は本来の研究開発業務に集中できます。
 まとめると、「自律駆動型」は細かいプログラムを組まなくても、読み取り結果がホスト側に送信されてくるので、PLCへダイレクトに入力出来たり、普段RFIDリーダライタのプログラミング経験が無い、WEB系・スマホ系のプログラマーでもUHF帯RFIDリーダライタのコマンドや制御を気にすることなく求められるシステム構築が楽々こなせます。
 また、HTTP/S通信もサポートしていますのでクラウドとの親和性も高く、パソコン無しで、現場の状態がわかるIoT機器としての使い方もできるという管理側にもうれしい特長もあります。

自律駆動型固定式UHF帯RFIDリーダライタMRU-F5100JP

自律駆動型固定式UHF帯RFIDリーダライタMRU-F5100JP

上位システム開発負担を軽減!

・マニュアルモードと、4つの自律モード搭載
・自律モードでは制御パソコン不要! 電源ONで自動的にICタグを読み取って上位にデータを送信
・各種設定はブラウザから簡単設定 
・PLCリンク機能搭載。ラダーなしでメモリにICタグデータが上がります

活用例

1、一般的な固定設置の例(コンベア横の設置)

一般的な固定設置の例(コンベア横の設置)

 活用シーンとして多いのは、「コンベア付近に設置して、通過する物品につけられたICタグを読み取り、取り込んだデータをサーバに送信する。」というパターンです。
 これは対象が「モノ」でなく「人」であることも多く、人の通過管理・入退場管理などにも活用されております。

 この様なソリューションで自律駆動型のUHF帯リーダを利用すると、現場に制御用のパソコンを用意する必要が無く、LAN内だけでなくクラウド上のサーバにデータを送信できるので、工事現場などの入退場ゲートにLTE/3Gのルータと組み合わせて設置し、人の出入りもリモートから記録していくような用途として使用されています。

2、書籍や工具などの物品の持ち出し管理など

 ICタグのメモリの特定部分にフォーカスして、特定条件のICタグのみを読み取り対象とする設定にして、動作させることが可能です。


 例えば、次のようなゲートシステムとして

  1. (1) ICタグのEPCバンクのデータ条件:PC部「:0x4100」かつEPC部:128bitのうち、123bit目が0
  2. (2) 上の条件にマッチしたIC タグのみを対象とし、読み取り実行
  3. (3) 感知したらデジタル出力を操作してアラーム(ブザーやランプ点灯等)を出す
  4. (4) サーバに対象データを送信

といった動きも制御パソコンが不要でRFIDリーダライタ単体で実現できます。

3、現場の資材の管理

 見える化の一つとして、工場内・現場内で繰り返し使われる資材や部品箱、道具の出入りを“何が”、“どのくらい”あるのか管理したいという問い合わせが多くなってきております。
 ICタグの活用法として従来より、店頭に陳列してある商品をお客様がどのくらい手に取られたかを測定する「スマートシェルフ」があります。
 それを応用して、工場や倉庫などの資材置き場や機器置き場にどのくらい滞留しているのか把握することも当社の自律型であれば容易にシステム化が可能となります。
 当社の自律型リーダライタには動作モードとして、電波圏内にICタグが“入ってきた・いなくなった”、というICタグの動きを通知したり、“いま何がある”といったことを通知するモードも内蔵されているからなのです。
 一般的なリーダライタの場合、ICタグを読み取り続けて、ホストは受信した
データの差分を常にチェックしなければならず、ホストとなるパソコンの負荷とプログラムの開発工数が大きな負担となります。
 当社の自律型リーダライタの場合は変化を通知する機能があるので、上位のシステムは変化の通知のみを受けとり、データベースに登録させるだけでよいので、非常にシンプルにシステム構築が可能となります。

おわりに

 IoTは今日、私達の生活をより豊かにする自動化を推進していく技術として発展を続け、ニーズに応じて競って進化しています。様々な現場でも、情報をクラウドに上げて、あらゆるデータの連携を図ることが日常化してきています。一方で国内の人手不足による「ものづくり」や「物流」といった現場で直面する改善が
急がれる大きな課題も残されています。
 UHF帯RFIDの市場ニーズはこれらの課題解決に向け、必ず貢献できるテクノロジーであり、市場規模は、今後益々拡大していくと予測しております。
 当社は、単なるメーカとして機器を市場に提供するだけではなく、長年培った経験と実績を基に自動認識技術のプロフェッショナルとして、お客様が使いやすく、トータルで大きなコスト削減を実現し、お客様に喜んでいただけるシステムのご提供ができるように市場分析を重ね新製品の開発に日夜邁進しています。
 その一つとして、自律的に動作するFRU-4025Plus/FRU-4100Plus、並びにトンネルタイプ一括読取装置が、お客様の業務の自動化、省力化を推し進める上で必ずお役に立つと考えております。
 デモ機やトンネルタイプ一括読取装置のデモルームなど実際にご体感いただける環境をご用意しておりますので、いつでもお気軽に営業担当までお問い合わせ下さい。

UHF帯RFIDゲートタイプ一括読取装置
運用に合わせて選べるUHF帯RFIDハンディリーダライタ
RFID持ち出し管理システム『MCHDS(モチダス)』

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