自律動作型UHF帯RFID固定式リーダライタのすすめ(前編)~機器選定のポイント~

VOL.150 flags 2017年11月号

 注目度が年々高まるUHF帯RFIDですが、経済産業省策定の「2025年コンビニ1000億枚タグ宣言」としての壮大な計画もあり、今年は一気に注目度が上がりました。9月に開催された自動認識総合展でも当社ブースのUHF帯RFID製品展示コーナーは来場者が途切れることもなく、終始活気にあふれておりました。
 今号では用途に合わせた様々なUHF帯リーダライタの機器選定のポイントとなるUHF帯の基礎知識から機器の種類をご紹介させて頂きます。

UHF 帯リーダライタの機種選定のポイント

 UHF帯RFIDリーダライタと言っても、用途に合わせて様々なタイプの機器が開発されていますので少々機種選定のポイントから紹介いたします。最適な機器の選択をするためには、人の目に見えない電波を扱うことを、利用者側もある程度までは電波の特性を理解しておくことをお勧めします。
 UHF帯の電波を使用する機器によっては通産省への事前の届け出が必要なものもあり、この点も簡単に説明いたします。

◎国内で使用できる周波数
 まずUHF帯と呼ばれる電波は一般的に920MHzの周波数帯を使用していると言われておりますが、日本では正確には『916.0MHzから923.4MHzの周波数』が使用が許可されております。

◎チャネルとは
916.0MHz ~ 923.4MHzの帯域は38に分割されており、その一つ一つの通り道を『チャネル』と呼びます。この38個に分割されたチャネルは他の機器と電波の干渉を避けるために、リーダライタ機器の性能やタグの種類によって使用できるチャネルが定められています。
 周波数帯やチャネルなどイメージがつきづらいかと思いますので一覧表を参照してください。

◎電波の出力の違い

電波の出力の違い


 UHF帯リーダライタは電波出力の強度によって「特定小電力」と「構内無線局」に分類されます。
 特定小電力は電波の最大出力が「250mW以下」に制限された機器を対象とします。
 構内無線局は電波の最大出力が「1W以下」に制限された機器を対象とします。
 一番導入しやすいのは「特定小電力」で、ユーザーは総務省への電波使用届などの手続きが不要であり購入したらそのまま使用する事が可能です。
 「構内無線局」はさらに「登録局」と「免許局」に分類されており、こちらは後述で解説いたします。
 UHF帯RFIDによる技術の最大の魅力は次の2点です。

★非接触で離れた所から読み取れる
★非接触で一括で多くのタグを読み取れる

 しかし、運用シーンによっては逆に、「目の前にあるタグだけ読ませたい」、「カウンター上にある商品のタグだけを読ませたい」などのニーズもあります。
 こんな場合は、総務省の使用届が免除の“特定小電力”に分類されているリーダライタを使用します。抑えた出力の電波で読みたいものだけといったニーズにマッチします。
 単純に電波の出力が大きいリーダライタを選定すればよいものでは無く、実際の運用シーンを考慮してベストな機器を選択します。

◎構内無線局の「登録局」と「免許局」 

申請費用
登録局包括申請費用 ¥2,900 ¥540/年の電波利用料が必要
免許局申請費用 ¥3,550 ¥600/年の電波利用料が必要
※有効期間は最長5年。期間後は更新申請が必要

電波が1Wまでの出力が出せるリーダライタは「構内無線局」に分類され、利用するには総務省への電波使用の申請が必要です。
 高出力を生かして、より遠くに、よりたくさんのICタグを読み取ることできますので、トンネル型でたくさんのICタグ付商品を読み取ったり、商品棚に陳列された商品の棚卸を行うことが出来ます。
 導入に前に特定小電力でテストしてみて、ちょっと読み取る力が足りないな、というときには構内無線局の機器をお使いください。
 構内無線局は届を行った住所の構内(建物や敷地の中)に限られます。たとえば東京の工場で届をだすと、そのまま変更届なしに大阪の工場に持って行って使用することではできません。「免許局」は一か所毎に届が必要です。また特定の地点であっても公道上で使用する届はだすことができません(2017年11月現在)。
 機器が登録局か免許局かどちらのタイプかは購入時にカタログなどを参照してください。
 免許局の申請は利用するユーザが1局ごとに行います。登録局は複数まとめて申請する「包括登録」という申請方法があり、まとめて申請できます。
 気になる申請費用ですが、手数料程度の費用です。

さまざまなリーダライタ・アンテナの形状

さまざまなリーダライタ・アンテナの形状


 UHF帯のリーダライタ・アンテナも馴染みのあるバーコードリーダと同様にさまざまな形状の機器が市場に出回っております。
 大きく分類すると、「ハンディ型」、「卓上型」、「固定型」、「シート型」、「ゲート型」、「トンネル型」などがあります。 インタフェースも「無線LAN(WiFi)」、「有線LAN」、「Bluetooth」、「USB」、「RS-232C」と上位ホストとの連携にあわせて選ぶことが可能です。
 選定時にはシステム全体の中で、ICタグをどのように取り付け、どのアンテナでどのように読ませるか、データをどう送るかといったことを検討する必要があります。

最後に

 RFIDは目に見えない電波で読み書きを行うため、予め仕様や特性を知ることで導入後のRFIDシステムがスムーズに稼働するかに大きく影響します。
 特にUHF帯の場合は長距離かつ広範囲で読み書きが可能なので導入ノウハウも重要な要素になります。
 実際に使用する現場での事前のサーベイ・テストは、絶対に必要です。
 UHF帯の場合は一か所で複数台を活用することが多く、上位ホスト・システムとの連携が複雑で、設定にも十分なノウハウが必要となります。
 来月号で、このシステム構築上の負担を極限まで減らせる仕組みである『自律型UHF帯RFIDリーダライタ』をご紹介します。
 合わせて、UHF帯RFIDシステムを構築する上で必要な上位ホストとのインタフェースについてもご紹介します。
 
 当社は、マースグループ創立43年来の経営方針「お客様お役立ち精神」にある、お客様の満足を第一に考える姿勢こそがすべての行動基盤です。導入にあたり、お客様の課題解決が実現できます様に、どうぞお気軽に当社営業担当迄お問い合わせください。

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