製造現場でのUHF帯RFIDの活用法

航空機工場

VOL.144 flags 2017年5月号

 先日の日本経済新聞(4月18日朝刊)でコンビニ大手5社が、セルフレジの推進策として経済産業省と共同で2025年までに導入する「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」の記事が掲載されていました。深刻化する人手不足の解消を狙うとともに、流通業界の生産性向上を目指していますが、ぜひ速やかな実現を期待したいところです。
 今月号は、製造現場でのソリューションとして情報の少ないUHFの活用法についてご紹介いたします。

 現在、一般的に利用されているRFIDは「NFC」と「UHF」の2種類になります。
 NFCは交通系カードやポイントカードなど個人を特定認証する1対1の識別ソリューションで主に採用されています。
 UHFはパレットやコンテナ、商品タグなど、距離の離れた物の管理や一括して内容物を読み取りたいなどのソリューションで採用されています。UHFはその特徴から物流現場やアパレル業界での活用事例が多くありましたが、最近では製造工程内でUHFを検討されるテーマが増えてきていますので、現場に於けるUHF帯RFID活用法をご紹介します。

航空機整備工場での活用

航空機整備工場での活用

 世の中で一番部品点数が多い乗物が飛行機と言われています。あの大きな鉄の塊を安全に飛ばすために、ジャンボ機で約600万個に及ぶ部品管理にも大変な努力を要しますが、日常の整備作業は、非常に厳密なルールに則って、品質維持に努めています。

整備工場では、機体整備の為に様々な工具が使用されますが、使用後は所定の工具置き場に正しく戻すことも厳密なルールの一つです。仮に、整備が終わって、工具置き場にドライバー1本でも元の位置に戻っていなければ、全員でドライバーを探します。さらに、見つかるまで整備が完了した飛行機であっても整備工場から出せないルールとなっているそうです。工具が機体の内部に取り残され、大事故を誘発する原因に発展するかもしれないからです。過密なフライトスケジュールに合わせ1分1秒を争う機体整備の現場では、単純ミスによる手間も大きな損失につながります。そこで、この工具に小型のUHFタグを取り付けて、工具の「持ち出し」や「返却」を一括管理する活用方法が注目されました。これにより、多種多様な工具もあるべき場所に、あるべき数量が保管されているかが一瞬で分かるようになりました。

容器管理での活用

容器管理での活用

 化学工場や食品工場などでは原料や完成品を入れる様々なリターナブル容器が数多く使用されています。


 この容器の所在管理や、容器の内容物、容器番号等をシールにマジックで書き込んだり、バーコードを貼りつけて管理していましたが、UHFタグに貼り替える事により、容器の管理が格段に効率化する事ができました。所在管理はもちろん、リユース回数、廃棄時期、容器番号と生産情報の紐付けによる工程の進捗管理などの情報も、現場で全て確認できる仕組みにも応用されています。

鋳造品の組立て工程での活用

 生産の自動化が進む中でも、複雑な形状や組立て方法によっては、どうしても人手に頼らなければならない工程が、鋳造品の組立てにもあります。
 塗装工程や焼き付けの工程があると作業の自動化を目ざすために準備したDPM* やバーコードラベルなどのマーキングまで消されてしまい、その先の工程を含めて自動化することが出来ませんでした。そこで問題の工程の投入時にUHFタグ部品を本体に括り付けて、工程内は手元の部品だけを読み取るようにUHFアンテナを出力調整して設置しておきます。これにより完全自動化ラインとまではいきませんが、作業者が鋳造品や金属部品を工程内にセットするだけで、自動的にUHFタグのデータを読み取り、進捗情報を収集する仕組みが出来ました。
 重くて不定形の金属部品等を扱う時にハンド式のスキャナを片手に持ち、バーコードにかざして読み取らせたりする作業が不要となり、作業者の両手はフリーのまま製造や検査作業に集中する事ができ、生産性が一挙に高まります。(*DPM=Direct Part Marking)

鋳造品の組立て工程での活用


 本紙見出しにも記載しましたが、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」のプロジェクトが実現されたり、トレンドがICタグ(RFタグ)を一層注目する様になると、量産化が進みタグ一枚のコストも下がり、より私達の身近なツールとなることは間違いないでしょう。暗号化技術の発達による高度な認証機能も同時平行的に進化が期待されています。
 飲料水やアルミ包装商品など、一部の商材には、未だ検討課題は残されていますが、読み取り精度を向上させる技術は着実に進歩してきています。
 当社は、自動認識技術の総合メーカーとして、RFIDソリューションについても、お客様のご要望に適う解決策をご用意しております。
 トレンドの先取りとしてRFIDによる製造工程の自動化を構築しようとお考えのお客様は、是非お気軽に、当社営業担当までご相談ください。

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