読み取りNGを現場から無くすためのバーコード印字品質(前編)

Vol.142 flags 2017年3月号

 自動認識の代表的な技術として、バーコードや2次元コードは、世界中の様々なシーンで活用されています。信頼して導入したシステムが誤作動を起こした時、多大な損害が待ち受けています。
 今号では、誤作動の原因を探り、自動認識技術を正しく利用していただくための解説をして参ります。

悪いのは読み取る方?印字する方?

 物や情報を正確に管理するために導入したはずのバーコードシステムが、誤作動を起こしたとき、そのリカバリには相当のエネルギーを要します。「製造現場ではラインがストップし、物流現場では検品ができずに受入れや出荷が行えなくなり、流通ではサービスが消費者に提供できない。等々」と想像するだけでも背筋が凍りつくような大事件が予想できます。製品品質とは別の理由で多額の損害が発生する事になってしまいます。
 近年の誤作動の代表としては、コードの読み取りエラーが、多発しています。
 昨今の読み取り側のスキャナや印刷機の性能は、ほぼ完成度に近い高い水準にあり、飽和状態といえます。当社のみならず、国内の主要メーカーの製品であれば基本性能の差は殆どありません。稀に、価格だけを選定基準として重視し、ネット通販などで海外製品を採用した企業様は、導入後に購入価格を上回るトラブルに見舞われている事も耳にします。国産メーカーばかりをかばうわけではなく、現場でのエラーを極限に抑えるためには、どの様にして防ぐべきかが焦点です。ソフトやハードが悪くなくてもエラーが起きるのはなぜでしょうか?
 その答えは「印字品質」にあります。
 「印字品質と言えばやっぱりプリンタやマーキング装置の問題じゃないか!」と声が聞こえてきそうですが、それは間違いです。

 特に管理したい対象物の表面に直接マーキングするというダイレクトマーキングの場合は、コピー用紙に印刷するのと違い、印刷対象物が様々であると言う難しさがあります。対象物には段ボール、樹脂、プラスティック、鉄、アルミ、ステンレス等々の材質の条件に加え、色も鏡面、透明、黒、緑、茶、青等々多彩な条件下での表面に印字しなければならず、マーキング装置へ設定する時の「印字条件の洗い出し」が難問となります。


 次に考えられる要因としては、印字品質が低下している事に気付かず次々に生産が進み、読み取りエラーになるまで気がつかないことです。また、印字スピードを優先し過ぎて印字品質を犠牲にしてしまうなど、「印字品質」によるエラーは、運用側の問題に起因していることが殆どなのです。

印字品質とは(国際規格ISO15415で定められた5段階のグレードで評価)

品質検査パラメーター(例:ISO15415)

検査項目 意味
総合判定 全検査項目の総合判定
コントラスト 白セルと黒セルの明暗差
偏重 コード全体における反射率の均一性
固定パターン損傷 ファインダーパターンや
クワイエットゾーンへのダメージ
デコード 読み取りデータ
軸の非均一性 コード全体における歪み
グリッドの非均一性 セル単位での歪み
未使用エラー訂正率 データ修復符号の使用率

ISO15415では右図の7つの判定項目で印字品質を検証します。
 この7つの項目を知っておくことで、実際に印字装置の条件を設定する時や、現場で印字状態を観察する時に、何処を注目し確認すべきか、おおよその印字品質の良し悪しも判断できるようになり、読み取りエラーが発生しラインが止まる前に未然に対策を打つことが可能となりますので覚えておくと安心できる上、重宝します。

判定項目の説明

◆検査項目①:コントラスト

スキャナは白黒の判別が出来なくなってきます。機種や読み取り角度が変わると読めたり、読めなかったり不安定になる原因です。対象物の下地が濃い色の上に黒で印字すると当然コントラストが低下します。やはり最適なコントラストは、真っ白×真っ黒です。

◆検査項目②:固定パターンの損傷

 ファインダーパターンとは、撮像した画像から2次元コードを探し出す時に必要となる固定パターンです。
 ファインダーパターンが破損していると、スキャナは2次元コードとして認識できず読み取ることができなくなります。

2次元コードはシンボル自体が35%迄損傷していてもデータを修復して読み取れる「誤り訂正符号」と言う非常に優れた機能がありますが、このファインダーパターンを損傷すると、残念ながら全く読めなくなってしまいます。

◆検査項目③:軸の非均一性

2次元コードの白黒のセルは、<図1>で示すマス目の中心に配列されていなければなりません。

白黒セルの配置がマス目の中心からズレていたり、歪んでいるとスキャナは読み取りづらく、最悪読み取れなくなってしまいます。軸の非均一性は、インクジェットプリンタでマーキングする場合に多くみられます。
やはり印字対象物を移動させながら印刷するので、搬送の速度や段差による揺れなどによって歪んだ2次元コードが印刷されてしまいます。(続きは次号で・・・)

NGを出さない現場作り

 当社では、2次元コードの読取装置を製造して販売するだけではなく、それぞれの現場に合わせた最適な自動認識技術によるトータルコーディネートをご提供させて頂くことを使命としております。 今回ご紹介した印字品質もその一部です。
 私たちは、その道のプロとしてお客様にとって「NGを出さない現場作り」を目指し、現場の効率化と安定した運用をご提供できるようにあらゆる角度からのソリューションをご提案いたします。
 現場の改善、リプレイス等のご検討が有りましたら、是非、お気軽にお問い合わせください。


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『医療用医薬品における新バーコード表示』の ガイドラインを正しく理解できていますか?

GS1-DatabarおよびGS1-128(UCC/EAN-128)はシンボル自体の規格の他に、印字するデータフォーマットのガイドラインがISO(国際標準規格)で定められております。これに準拠していないと流通市場や他のシステムでは使用出来ません。

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GS1認定 バーコード検証器 LVS 9510-5

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バーコード&2次元コードを最終形態で検証可能

LVS 9510は、カメラタイプの検証機なので2次元コード含む全てのバーコードが検証できます。 わかりやすい日本語での検証結果表示で、誰にでも簡単に検証操作が可能となっています。 さらに、検証結果を表示するだけでなく、低グレードの場合には解析情報まで表示されるので、その後の印字品質の改善ヒントとなります。