広がるUHF帯RFIDの活用事例

VOL.131 flags 2016年4月号

 離れた所から広範囲で、複数の物を一括で読み取れると言う特長を持つ「UHF帯RFID」の活用は、様々なシーンに広がり、特に業務の効率化やトレーサビリティの分野で、驚くほどに活躍が進んでおります。
 今号では、UHF帯RFIDを活用し業務改善に貢献している導入現場から、珍しい事例をご紹介します。

UHF帯RFIDの特長

 自動認識システムに於けるUHF帯RFIDには、以下のような特長があります。

  • 離れた所から読める
  • タグが隠れていても読める
  • 広範囲で読み取れる
  • 複数の物を一括で読み取れる
  • 電池不要なのでメンテナンスが不要

 これらの特長となるメリットを活かして、効率化が可能な業務改善が、あらゆるシーンで推進されてきています。
 例えば、次の様なシステムがあります。

  • 一括検品システム
  • 切り分けソーティングシステム
  • 店舗POSシステム
  • 棚卸システム
  • 自動貸出機
  • 蔵書管理システム
  • コンテナ管理システム
  • 運搬用リターナブル容器管理システム
  • トラックの入出場管理システム
  • 駐輪管理システム
  • リネンや制服の管理システム

以上の他、今号では まだ、あまり知られていないUHFの活用方法をご紹介いたします。
 もし、上記システムの個別の詳細にご興味がある方は、直接、当社営業担当までお気軽にお尋ねください。

個体識別のためのRFID技術

 物が製造されてから消費されるまでのサプライチェーンの中には、それを取り巻く様々なプレイヤー(メーカー、卸売、小売、物流・流通等々)が存在しており、各プレイヤーの業務によって作業のスピード、取り扱う量、作業内容が違ってきます。それらの業務の中には当然、UHFのメリットを受ける業務とデメリットになる業務があります。
 UHFのメリットである“離れた所から読み取りたい”、“タグが隠れていても読み取りたい”という要望が多い中、「目の前にある特定のUHFタグだけを読み取り、広範囲にある複数のタグは読み取りたくない。」と言う複雑なニーズもあり、恩恵を受ける側と逆に弊害となる側の両方が混在しています。
 また、大気中に広がっていく見えない電波を制御する事は困難であり、非現実的であったので、今までは“UHFは使えない。”とUHF帯RFIDの導入を諦めてしまっていた業務も多くありました。
 最近は、このUHFでは過去に困難とされていた個体識別のシステムが、克服され、そのノウハウを利用して新しいシステムを開発することが出来ましたので、ご紹介します。

自動仕分けラインの更なる自動化

 アパレル関連の自動仕分けラインでは、UHFを導入する前は、仕分けラインへ投入する前に、担当者が一品一品手に取って、袋詰めされた商品に付けられた商品タグを探し出して、タグの商品バーコードをバーコードリーダに読み込ませてからラインに投入していました。その為、袋詰めされた商品からバーコードを読み取らす作業に手間取ると、せっかくの自動化ラインの処理能力が活かされないと言う課題がありました。今後も物流量の増加が見込まれていたので、処理能力を最大限に引き出せる仕組みが必要であったため、UHFを効率よく活用するための挑戦が始まりました。

自動仕分けライン

 個体識別可能なUHFを導入後は、仕分けラインへ投入する作業者は、商品をラインへ投入するだけの作業となった為、非常に効率よくラインへの投入が可能となり、自動化ラインの能力を最大限に引き上げる事が可能となりました。


個体識別を可能にしたUHFシステム

 いままでも、UHFで個体を識別するシステムはありましたが、同時に周囲の意図しないUHFタグの読み取りを避けるために、トンネルやゲートと呼ばれる周囲へ余分に飛散する電波を、遮断するための大型で高額な設備を、追加で導入しなければなりませんでした。
 今回開発したシステムは、UHFアンテナ、UHFリーダ、簡易型電波遮断ゲートのトータルで設計・調整されたシステムですので、個別識別能力は勿論ですが、低コスト化と比較的容易にラインへの導入が可能なシステムとなりました。
 UHFを採用した個別認識の需要は、非常に多く、物流センター様や搬送機メーカー様からもお声掛けを頂いており、注目度の高さが伺えます。

UHFのこんな使い方

 その他にも、ネジ締めのトルク管理でUHFが活用されています。 
 ネジの締め具合で製品の根本性能を左右したり、大事故につながる可能性のあるものは、部品や製造品質のトレーサビリティだけでなく、ネジを規定の設計通りに締めたかを管理、記録する必要があります。
 そこで、ネジの頭に特殊な超小型UHFタグを埋め込み、ネジ締め付けトルクを管理する「デジタル型トルクレンチ」と「小型ワイヤレスUHF リーダ」を組み合わせることにより、ネジの一本一本を規定されたトルクで閉めているかを確実にトレースする事例も出てきております。

こんな場所でもUHF?

 冷凍倉庫でも効率化の為に自動でパレット管理をしたいとのお客さまからご相談をいただき、「冷凍庫対応UHFリーダパッケージ」を開発しました。
 耐温度環境はマイナス20℃程度まで対応可能です。
 もしも、製商品に、せっかくUHFタグを貼っているのにもかかわらず、冷凍庫内では手書きシールやバーコードラベルで別管理をされているお客様がいらっしゃいましたら、是非お声掛けください。

UHF帯RFIDゲートタイプ一括読取装置
運用に合わせて選べるUHF帯RFIDハンディリーダライタ
RFID持ち出し管理システム『MCHDS(モチダス)』

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