VOL.122 flags 2015年7月号
RFID(Radio Frequency Identifier)は、主に産業用で活用されていましたが、NFC(Near Feald Communication)が国際規格として承認された事を皮切りに、今や日常生活でも、知らないうちに利用される時代となりました。特にICカード(NFCカード)は、日常生活でも様々なサービスに浸透し、NFCリーダに求められる機能も、多様化して来ています。
今号では、NFCリーダの活用事例と最新のNFCリーダをご紹介させて頂きます。
ICカードのおさらい
ICカードの主流は13.56MHzの電波帯の無線を採用し、電池を内蔵する必要がない“パッシブタグ”と言われるデータ通信技術を利用したRFIDの一種です。
ICカードは、読み取り機(リーダライタ)側からの電波を受けて、エネルギーを生みだし動作するので、電池交換の必要が無く、半永久的に利用できるのが魅力です。さらに、バーコード等のマーキング認識との大きな違いとして、一度書き込んだデータを容易に書き換えることができる上、読み取り面が隠れてしまっていても読み取りが行える事です。また、セキュリティ機能でデータの読み書きを制限できるFeliCaやMifareなどもあり、決済カードとして、身近なコンビニや改札など生活のあらゆる場面で利用されています。
注目のNFCとは
最近のスマホの背面に”N”っぽいマークが付いていますよね。これ、NFCのNなんです。改札でピッとやったりヘッドホンのペアリングやったり、はNFC通信規格のおかげなんです。NFCの通信距離は、接触から10cm程度に限定されており、13.56MHzの周波数帯を利用した近距離通信で、最も特徴的な機能は「かざす」だけで、誰でも簡単にデータ通信が可能になることです。
街で見かけるポスターにも、ICラベルを貼っておけば、NFC機能搭載の携帯電話を「かざす」だけで、そのポスターの詳細情報(クーポン・地図・キャンペーン案内)などの付加価値情報を提供することができます。さらに、NFC搭載の携帯電話自体をICカードの代用として、いわゆる“お財布携帯”機能として活用することもできます。
SuicaやEdyで普及しているFeliCaや、世界中に普及しているMifareなど、異なるICカード規格の読み取りが可能になっており、さらにはNFCの通信規格を搭載している機器同士は双方向に通信可能なため、今後も幅広い活用が期待される注目の技術です。
NFC IP-2(ISO/IEC21481) | |||
---|---|---|---|
NFC IP-1(ISO/IEC18092) | ISO/IEC14443 TypeB | ISO/IEC 15693 | |
Mifare ISO/IEC14443 TypeA | Felica |
主なRFID
周波数帯 | 呼称 | 読取距離 | 形状 | データ容量 | セキュリティ | 用途 |
---|---|---|---|---|---|---|
13.56MHz | HF帯RFID | ~数十cm | ICカード | 数kbyte | ○ | Suica、Edy、キャッシュカード |
920MHz | UHF帯RFID | ~5m | ICタグ | ~200byte | × | 資産管理用タグ、商札タグ |
卓上型NFCリーダの活用事例
卓上型NFCリーダには、用途によって表1の様な種類が市場に出回っています。
表1.NFCリーダの種類 | |
---|---|
リーダライタ専用機 | 単純に読み取り/書き込み機能を有し、上位ホストの指示で動作する。 |
フラット型リーダライタ | A4サイズ程度の板状リーダライタで、通信距離や複数枚のNFCを読ませることが可能。 |
自立動作型リーダライタ | 見た目はリーダライタ専用機と似ているが、事前に動作の設定やプログラムを登録することが可能で、リーダライタ単体で動作することが可能。 |
マルチ端末一体型リーダライタ | Windows CEやLinuxを搭載しタッチパネル液晶や豊富なインタフェースを持つ卓上端末にリーダライタを一体型にしたマルチ端末 |
リーダライタ専用機は、上位ホストと接続して運用する事を目的としており、上位ホストからの指示に従って動作します。
【活用例】
パソコンと接続してログインのセキュリティや、ネットショップで買い物する時に決済カードを読ませたり、従業員のICカードを作成する時などに利用されています。
フラット型リーダライタも、前述のリーダライタ専用機と同様に、上位ホストからの指示に従って動作します。
【活用事例】
書類などの一括読み取りや、資産管理での機材の読み取りなどで利用されています。
作業性を考慮して、大量のICカードを作成する時などにも利用されています。
自律動作型リーダライタは、見た目はリーダライタ専用機に似ていますが、リーダライタ自体に動作の設定やプログラムを登録しておくことが可能なインテリジェント機能を備えており、上位ホストと接続しなくても単体での自律動作が可能な端末です。
また、多様な通信インタフェースを備えているので、LAN接続やRS-232CやデジタルI/Oなどで、周辺のデバイスをコントロールする事も可能です。
【活用例】
工場内や事務所の入退管理で、電子錠扉と連携して、従業員ICカードを読み取らせると予め登録されている従業員コードがを判断して、電子錠にデジタル信号を送り開閉の制御を行います。上位ホストとからの指示が無くても自律した入退管理の構築が可能です。
売店のPOSシステムと接続して、ポイントICカード(Tポイントやnanacoカード等)のポイント付与や引落しを行う端末として利用できます。ポイントICカードを利用したお客様には、音声やLED点灯パターンなどでICカード読み書きのオペレーションをビジュアルにサポートしています。
最近では某学校で使用しているAV機器の管理で数多くご採用頂いており、高価なAV機器の紛失や無断での私的利用が問題となっていました。
自立型リーダライタをAV機器収納棚やAV機器のコントローラと連携させて、利用者ICカードを読み取り、利用権限があれば収納棚の施錠を解除して、どのAV機器の利用できる権限があるか?などを判断するAV機器管理システムとして利用頂いています。
マルチ端末一体型リーダライタは、OSを搭載しており、タッチパネルモニタや多様な通信インタフェースを搭載しているので幅広い運用で利用頂いています。
【活用例】
工場や倉庫の運用では、従業員ICカードを活用して、いつ、誰が、何を、どれ位作業をしたかなどの実績をリアルタイムに収集するシステムや、人間ドックなどの健診業務では、計測機器と接続して検査結果を自動で受信し、人の介在をなくす事によりポカミスの撲滅やダブルチェックなどの作業負担を大幅に軽減するシステムで利用されています。
最近ではホテルのカギもICカード化が進んでおり、チェックインカウンターでICカードを発券する場合などにも、直感的に操作が出来るタッチパネルモニタが好評で、さらにコンパクトに設計された専用端末なので、空きスペースが少ないカウンターにも設置できるので好評を頂いています。
当社では、お客様に最適なソリューションをお届けするために、バリエーション豊富なRFID製品を取り揃えております。詳しくは、当社営業担当までお気軽にお声掛けください。
製造業DX推進カタログ
RFID/バーコード/画像処理で工場内の状況を可視化
RFID/バーコード/画像処理で、工場内でのモノと人の動きをリアルタイムでデータ化し、製造業DXを加速させる機器・システムを工程毎に紹介しております。是非ダウンロードしてご覧ください。
- 画像処理で目視による検査判別を自動化
- ICカードタッチパネル端末で実績登録
- 制御PC不要で動作するRFIDリーダライタ
- 誤投入防止と生産実績収集
- UHFフォークで荷物とロケーション情報の登録を自動化
- トラック入退場管理
- RFID一括入荷検品
- Android端末でモバイル検品
- バーコードが無い荷物をOCRで検品&バーコードラベルを発行して個体管理 …他 掲載