安定した製造ラインをサポートする2次元コードスキャナ

VOL.119 flags 2015年4月号

 「2次元コード」の出現により、製造ラインの自動化が急速に発展したと言っても過言ではありません。激しい価格競争の中で、如何に製造ラインの効率化を行い、製造コストを下げながらも、高い品質要求に耐えられる現場作りの追求は、製造メーカーの生命線ともなっています。
 今月号は、進化する生産ラインの要求に応える最新の2次元コードスキャナを紹介します。

製造現場で活躍する2次元コード

様々な用途で利用されるDPM

2次元コードが製造ラインの自動化の発展の一翼を担った理由は、まさに2次元コード自体の特長が、現場の要求にマッチしたからです。


理由1.バーコードと比べて格段に印字スペースが少なくて済むので、今まで印刷できなかった小型部品や、実装の空きスペースに2次元コードが印刷できるようになり、個体識別が自動で行えるようになったこと。
理由2.2次元コードには、コード自体に誤り訂正符号が埋め込まれており、印字の擦れ・汚れなどのダメージを受けた部分に対して、最大約35%までは自動で修復して読み取る機能があり、条件の悪い製造現場であっても利用が出来る様になったこと。
理由3.2次元コードの持つ「誤り訂正符号機能」により、従来、文字や記号の刻印のみで利用されてきた印字品質の落ちるレーザーマーカーで、極小部品や極小スペースにも2 次元コードの刻印が可能となり、半導体業界や液晶業界の徹底的な自動化によるコストダウンと、高い品質管理を実現する製造ラインでも、大きく活躍出来る様になったこと。

今までの2次元コードスキャナ

 2次元コードには前述のように素晴らしい特長があります。しかし、2次元コードが普及した当初は、実際に導入すると現場環境や材質・形状・粗悪な印字品質など、様々な障害の影響で読み取りエラーが発生していました。
 正しく読み取れるための印字条件に対する利用者の認識も低く、印刷機の能力以上のスピードで2次元コードを印字した結果、印字が歪んでいたり、色の付いた下地の上に2次元コードを印字して適正なコントラストが得られなかったり、レーザーやドットピンで刻印された2次元コードのセル(ドット)の並びがいびつになっていたり、ガラスや金属の表面に刻印したことで照明によるハレーションを受けて適切な画像が得られないなど、障害の原因は様々でした。
 この様な2次元コードの印字品質規格を大幅に逸脱する粗悪な2次元コードの印字環境も、製造現場においては直に改善する事が難しいケースが多かったため、2次元コードスキャナのメーカー各社は技術を駆使して、スキャナ側の読取能力を進化させてきました。
 近年では、このような印字品質の劣る2次元コードでも、ほぼスキャナや照明の調整で読めるようになっています。従って、性能基準を満たす適正な2次元コードスキャナを利用しても読めない2次元コードがあった場合の殆ど原因は、印刷機か現場環境の側に問題があると言える様になりました。

これからの2次元コードスキャナの選択基準

 これからユーザー様が2次元コードスキャナを新たに導入する時の選択肢としては、余程の特殊な印字でなければ、読取能力以外に必要とする最小限の機能で決定する事が重要です。近い将来でも使う予定の無い余分な機能まで選定基準に加えることは、実際の現場にとって、決してベストな選択にはなりません。
 価格、大きさ、インタフェース、設置環境や設定のし易さ、加えて「親身に相談できる営業担当か?」、「信頼できる技術力があるのか?」など、導入後のユーザー様の現場にとって、何が優先すべき要件なのかを十分に考えて、「失敗しない2次元コードスキャナ選び」をしていただく様、お願いいたします。

進化する次世代の2次元コードスキャナ

 2次元コードを読み取る以外に「どんなメリットを自動化ラインに提供できるか?」というテーマが、これからの2次元コードスキャナに求められています。
 2次元コードスキャナは、カメラを採用して2次元コードを撮影し、解読しています。このカメラの性能を向上させて、製造ラインで利用されているビジョンシステムにも兼用できるようになれば自動化ラインへ大きな付加価値を提供できます。
 当社は、そうした製造現場の潜在ニーズを徹底的に調査し、次世代2次元コードスキャナの開発に着手しており、ミドルレンジの“2次元コードイメージャー”をリリースいたします。MVF-500は、高性能2次元コードスキャナに、“文字認識機能”と“印字品質判定機能”が搭載されています。将来的には基板のパターンや記号パターンの認識により、品種違いや位置決め、搬送方向ミス、表裏判定など、製造ラインで歩留りとなり得る要因を未然に防止する機能を搭載していく予定です。

OCR機能と印字品質判定機能


 インタフェースにはLANを標準で搭載しており、工場内のネットワークに直に接続出来るため、リアルタイムに現場データの収集が実現いたします。
 また、PLCリンク機能も搭載しているので、現場のPLCに簡単接続する事が可能です。
 当社のPLCリンク機能は、スキャナへのコマンドや通信制御のラダープログラムを組む必要がありません。スキャナへ接続先であるPLCの情報を設定するだけで、読み取った2次元コードデータを、スキャナがPLC内の指定されたメモリ番地に自動的に書き込みを行っていきます。
 日常の生産が稼働している合間の状態を見ながら行う現場の設備変更においては、PLCリンクのプログラム開発期間が短い上、本番に向けたテストを試行する余裕もないケースが多い事から、現場の声でもある「慣れていないデバイスとの接続は極力避けたい」という要望に応えています。
 当社のPLCリンク機能があれば、PLCプログラマの方は、新たなデバイスの知識を必要としませんし、デバック作業もPLC単体でシミュレーションする事が可能なので、短いテスト期間でも安心な機能です。
 当社は、2次元コード活用のパイオニアとして、長年に渡り市場開拓を行い、市場をリードしてまいりました。2次元コード自体に問題がある場合でも、当社営業担当に、お気軽にご相談いただければ、その実績と経験から読めない原因と解決法をご提案をさせて頂きます。

PLCリンク概要図