GS1識別コードの解説とご紹介

Vol.111 flags 2014年8月号

 先月号では、バーコードの国際規格を策定・管理する国際組織であるGS1(=Global Standard One)が標準化するGS1データキャリア(シンボル種)についてご紹介いたしました。
 今月は標準データキャリアに格納される“GS1識別コード(データ体系)”についてご紹介します。

GS1識別コードとは?

 GS1識別コードとは、商品やサービス、場所、資産管理など様々な用途に応じた識別コードが定められており、世界で唯一の識別を可能にした国際標準コードなのです。
 GS1識別コードは、図1の様にGS1事業者コードを元に様々な番号を組み合わせて、商品を特定する商品識別コード(GTIN)から企業や事業所の特定コード(GLN)、通い容器や資産の管理コード(GRAI)などで使用されます。

様々なGS1識別コード

◎GTIN(=Global Trade Item Number)

 商品識別コードの総称で、一般的に広く知られているJANコードを始め、UPCコード、集合包装用商品コードなどがあります。
 コードの桁数を14桁にした集合包装用商品コードはGTIN-14と呼ばれ、企業間の取引単位である集合包装単位の商品に割り付けられる識別コードとして、物流現場では古くからITF(段ボールバーコード)として利用されています。
 医薬品業界では近年、GS1-Databarの利用が進んでいます。

◎GLN(=Global Location Number)

 企業・事業所の識別コードで、企業間取引で必要となる各事業所や部門、倉庫などの場所を世界で唯一の識別コードに設定できます。
 流通BMSなどの企業間電子データ交換(EDI)に送受信先の識別コードとし世界的に利用が進んでいるコード体系です。

◎GIAI(=Global Individual Asset Identifier)

 企業の資産を管理するための識別コードで、レンタル品・リース品の管理や、手術用具・医療器具のメンテナンス管理、トレーサビリティなど、個々を識別する必要がある物品の管理で利用されています。

◎SSCC(=Serial Shipping Container Code)

 連続出荷コンテナコード(Serial Shipping Container Code)は、国内および国際間取引における物流単位(パレット、ケース、カートン等)を識別するための国際標準コードで、欧米では古くから物流・出荷等の現場で利用が進んでいます。

◎GRAI(=Global Returnable Asset Identifier)

 カゴ台車や折り畳みコンテナなどの、企業間で繰り返し利用する資産を管理
するための識別コードです。
 GS1-128シンボルや電子タグなどによる利用が進んでおり、資産追跡、メンテナンス管理の向上などを目的に利用が始まってきています。

◎その他の識別コード

 上記で紹介した以外でも、今後唯一の識別管理が必要な業界に向けて下記のような識別コードの利用が期待されています。
GSRN(=Global Service Relation Number):サービスの提供者と利用者を管理するための識別コードで、店舗、図書館、病院などでの利用が期待されています。
GDTI(=Global Document Type Identifier):管理が必要な文書の識別コードで、通関申告書や保険証券などへの利用が期待されています。
GCN(=Global Coupon Number):クーポンのための識別コードで、インターネットの普及に伴いクーポン券の電子化が進んでおり、携帯電話での利用が想定されています。

GS1識別コードを利用するには

 GS1識別コードは、前号で紹介したバーコード、2次元コード、電子タグなどのGS1標準データキャリアを用いて商品などに表示します。
 JAN、ITF以外のバーコードを用いる場合には、これらのGS1識別コードの先頭に“GS1アプリケーション識別子(AI)”と言うデータ項目を判別するための識別子を付加する必要があります。
 AIについては次号にて詳しくご紹介いたします。

 バーコードやICタグの採用ご検討時は、業界標準や行政通達などで標準化が推進されている場合もありますので、担当営業までお気軽にご相談ください。

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