いろいろ使えるGS1標準データキャリアのご紹介

VOL.110 flags 2014年7月号

 お馴染みのバーコードは見た目には良く似ていますが、用途や目的によって様々な種類や形が存在しています。これらの様々なバーコードを標準化し国際規格として設計・策定・管理する役割があるのがGS1という国際組織です。国内では医療業界や物流業界にGS1の標準化が浸透され利用されてきていますが、関連業界以外ではまだまだ認知度は高くありません。
 今号は、GS1による標準データーキャリアのご紹介をいたします。

GS1 の誕生

 『Global Standard One』=GS1の本部はベルギーのブリュッセルと米国ニュージャージー州 ローレンスビルにあり100カ国以上の国が加入しています。 
設立の経緯は、複数の地域にまたがるサプライチェーンの効率と透明性を高めるために国際規格を設計・策定する国際組織が必要になったため、2005年より国際EAN 協会の組織名を改めて運営されています。今日ではGS1の規格体系はサプライチェーン用規格として世界で最も広く採用されています。
 日本国内では、身近にある“JANコード”と呼ばれるバーコードが普及しており“財団法人流通システム開発センター”によって管理されています。同様のコードがヨーロッパではEANコードと呼ばれEAN機関が管理しています。また、米国ではUPCコードと呼ばれUCC機関が管理しています。
 こうした各国の流通コード機関が旧国際EAN協会に加盟したため名実ともにグローバルな流通標準化機関として「GS1」が誕生しました。
 GS1は加入組織が使う国コードを保守しており、それに従ってGS1企業コードを割り当て、参加企業は商品コードの作成が許可されます。これにより、登録企業は世界のどこでも流通商品の生産が行える様になっています。一方、市場に商品を流通させるにはGS1に商品コードを登録しなければスーパーなどのレジで商品を通すことが出来ないなど組織化が進んでいます。

GS1 標準データキャリアとは

 データキャリアとは“情報を運ぶ器”を意味しています。バーコードや2次元コード、ICタグ自体のことであり、情報(コード)を格納するための器として“データキャリア”と総称して呼びます。
 GS1では利用する業界、使用環境、識別対象、情報属性などの種類別に最適なデータキャリアの推奨や標準化を進めており、「誰」でも「どこ」でも情報を読み取れる環境整備を行う事で、サプライチェーンなどの利用者への効率化を目指しています。

様々なGS1標準データキャリア

1.小売業・一般物流で使用されるデータキャリア

 “JAN(EAN/UPC)コード”は、商品コードのみを表示する場合に適しており、個々の商品単位で印刷することで一般消費財のサプライチェーンにおいて広く普及しています。
 “GS1データバー”はJANコードの先頭に梱包識別子を一桁追加した14ケタで表現されたGTIN(Global Trade Item Number※1)が格納されています。
今後は、JANコードに加えて一般消費財分野の新しい標準バーコードシンボルとして普及していきます。
 “物流ITFコード”は、倉庫や物流現場などで広く活用されています。
ITFコードは印字精度の規格が緩いシンボル体型なので、一般消費財の外装箱や段ボールなどの下地が粗く、茶色でコントラストが無い素材への印刷に適しています。


※1.GTINの説明

GTINの説明
商品コード+属性情報を表示する場合

一般消費財の商品単位に印刷しますが、商品コードの他に消費期限やロット番号などの属性情報の表現が必要な場合に利用されます。バーコード内に格納される各データ項目の先頭には、何のデータ項目かを判断するための識別子が付加されています。
データの識別子は国際規格となっているアプリケーション識別子(AI)を採用しています。
生鮮食品や生花業界では”GS1データバー拡張型”、”GS1データバー拡張多層型”が利用され、企業間取引単位のケースやパレットなどには”GS1-128″が利用されています。

2. サイズが小さい商品に特定用途で使用するデータキャリア

アプリケーション識別子

 “GS1データバーリミテッド”と“GS1データバースタック”は、医療用医薬品の調剤包装単位、販売包装単位など小さな商品に表示する事を目的に利用されています。 
 特定の医薬品に関しては厚生労働省より表示する事を義務化されているものがあります。
 商品コード以外に製造年月日や有効期限など属性情報の表示が必要な医薬品は“GS1データバー合成シンボル”を利用する事となっています。
 これらのシンボルもデータを識別するために、アプリケーション識別子(AI)※2を採用しており、業界全体でバーコード
の共通利用を可能にしています。

3.いろいろな分野で使用するデータキャリア

 印字スペースが狭く、GS1データバー合成シンボルでも印字が難しい商品などには“GS1-DataMatrix”が利用されています。データ内容はGS1データバー合成シンボルやGS1-128と同様の目的で利用されています。手術用のメスやカテーテルなどにダイレクトマーキングする場合にも利用されています。
 最後に、“GS1-QRコード”を紹介します。
今や携帯電話やスマホでQRコードを読み取ってインターネットにアクセスすることのは一般的な技術となりました。
GS1-QRコードもアプリケーション識別子(AI)を採用しており、商品コードとURLを格納しています。今後もさらにQRコードを活用したネットアクセスの需要増加が想定されるので、ネットアクセス用のQRコードのデータ内容をルール化して、誰でもどこでも、どの携帯端末でも共通して利用できる様に標準化が検討されています。
 バーコードやICタグの採用ご検討時は、業界標準や行政通達などで標準化が推進されている場合もありますので、担当営業までお気軽にご相談ください。

GS1識別コードを表示するためのデータキャリア

GS1識別コードは、下記のようなバーコード、二次元シンボル、電子タグなどのデータキャリアを 用いて、商品などに表示あるいは添付することができます。  JANシンボル、ITFシンボル以外のバーシンボルでは、GS1識別コードの先頭に、GS1アプリ ケーション識別子(AI)という情報の種類を表す数字を付けます。AIは2桁から4桁の数字で、 例えば(01)であればGTINを意味しています。  使用できるデータキャリアは、GS1識別コードの種類や識別対象、利用業界、使用環境などに より異なります。実際の使用にあたっては当社までお気軽にご相談ください。

GS1識別コードを表示するためのデータキャリア

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