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『広がるワイヤレス通信』
Vol.72
無線通信には広域を網羅する携帯電話や倉庫・事務所などを範囲とする無線LAN(WiFi)、パソコンや家電の周辺機器を制御する為のワイヤレスがあります。当社では前者をモバイル端末、後者をワイヤレス端末としてカテゴリわけしております。 今号ではFA現場で使用される様々なワイヤレス通信について紹介します。
ワイヤレスで制御される様々な機器
テレビのリモコン、キーボード、マウスなど、身近に沢山のワイヤレス機器があります。テレビのリモコンは赤外線通信方式が多く、キーボードやマウスはBluetoothが主流でした。
Bluetoothは、ほかにも携帯用音楽プレイヤーとカーステレオを仲介するオーディオ送信機やヘッドフォン、プリンタ、バーコードスキャナなどにも数多く採用されています。
最近では安価で消費電力が少ないという特徴を持つZigBeeと言う通信方式の採用も増えてきました。
ZigBeeは、メッシュ型やツリー型のネットワークを構成し、ZigBee Routerが通信データの中継を行い、直接電波の届かない端末同士間の通信を可能にする特徴があります。これにより一部の端末が停止した時でも、迂回経路を使って通信を継続できる上、低消費電力で広範囲なネットワーク通信を提供します。
その他にもWUSB(Wireless USB)がパソコンの周辺機器接続用の通信方式として広く採用され始め、Bluetoothの座を脅かしています。
ワイヤレス規格毎の特徴
【Bluetooth】
Bluetoothは、簡易なデジタル無線通信としての利便性が認識され、多様な分野で普及が進んでおり、無線接続の状態を意識せずに常時つないだままでの使用状況に適しています。しかし、Bluetoothと無線LANは2.4GHz帯を共用するために互いに干渉し合い、Bluetooth使用時に無線LANが著しく速度低下を起こすという現象が起きることがあります。
Bluetoothには2段階の電波強度クラスに分かれます。電波強度の強いClass1では、ワイヤレスの特徴を活かしながらモバイル端末に匹敵する通信距離100Mを実現する事が可能になります。当社のBluetooth対応スキャナはClass1を採用し、一般のBluetooth機器では通信できない倉庫の奥や棚の裏などでも作業する事を可能にしています。
【ZigBee】
ZigBeeは、家電向けの短距離無線通信規格の一つとして開発され、他のワイヤレス規格に比べ低速で通信距離が短くなっています。国内での利用は2.4GHz帯のみに限られ、最大通信速度は250Kbpsと遅く、安定した通信を行うためには144Kbps程度に限定されるとの報告もなされています。よって、常時接続して一定以上のデータ通信をする仕組みには向いていません。
しかし、安価で消費電力の少ないバッテリーで駆動する点でワイヤレス機器には魅力的な特徴を持っています。また、ひとつのZigBeeメッシュネットワーク構成に対して最大で65,536個のZigBee端末の接続が可能です。この接続可能台数の特長によりZigBeeは省電力の“センサネットワーク”として注目されています。
例えば、高速道路の街灯の管理は非常に面倒で、長距離の幹線を定期的に巡回しながら人海戦術で確認しているのが現状です。ZigBeeを街灯一つ一つに装着すれば、長い距離でもZigBee同士のネットワークが構築され、事務所にいても個々の街灯の状況が監視できるシステムが得られます。
【WUSB】
WUSBは、USB2.0の規格をほとんど踏襲して無線化した通信方式です。USBといえば、パソコンなどの様々な機器のスタンダードインターフェースです。その高い汎用性と取扱いの容易性という特徴で広く普及して馴染み深いものになっています。最大120個余りのUSB機器を同時に接続することが可能ですが、USBは有線であることで多くの機器を同時に接続すると配線の絡まりもひどくなったり、USBの利点のひとつであるホットプラグの活用がし難くなる上に機器同士の対応も把握が困難になってしまうという難点がありました。
WUSBは、まさに有線USBのこうした困難を克服する方式であるといえます。
WUSBの最大転送速度は480Mbpsと高速で、最大127個の機器の同時接続も可能です。通信速度は信号波の強度に左右され、発信機からおよそ10メートル以内の範囲では110Mbps程度となると言われています。その通信方式にはZigBeeと同様にUWB(Ultra-Wideband)と呼ばれる技術が採用されており、非常に広い帯域を用いて通信を行なうので、他の機器や通信システムとの共存も可能です。
利便性と快適性を一挙に上げる仕様として、期待と注目を浴びており、圧倒的なBluetoothシェアを脅かす存在となっています。
無線端末等については当社営業までお気軽にお問い合わせ下さい。
無線通信の種類と特徴
規格名 |
最大通信 速度 |
最大 通信 距離(m) |
特徴 | 用途 | |
下り | 上り | ||||
IEEE802.11b | 11 | 80 | 無線LAN | ||
IEEE802.11a | 54 | 50 | 日本国内では屋内の利用に限り免許不要 | ||
IEEE802.11g | 80 | 指向性アンテナで更なる長距離通信が可能なものも存在する | |||
IEEE802.11j | 80 | ||||
IEEE802.11n | 104 | 80 | 更なる高速化も検討されている | ||
300 | |||||
UWB | 50~480 | 20 | 消費電力200mW以下。広帯域を他の無線局の妨害とならない出力で共用する |
Wireless USB |
|
Bluetooth 1.1 (IEEE802.15.1) |
0.7232 | 0.0576 | 10 | 省電力 | 携帯端末同士の無線接続 |
Bluetooth 2.0 +EDR |
2.1 | 0.0576 | |||
Bluetooth 3.0 | 42 | ||||
ZigBee (IEEE802.15.4) |
0.25 | 69 | 間欠動作による省電力化 | ワイヤレス・センサ・ネットワーク |
技術情報誌 Flags(PDFデータ) | ![]() |
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