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画期的!材質変化は素材に負担を与えない。
『イオンマーキングによる簡単バーコード印刷(後編)』
Vol.64
前号では、ダイレクトマーキングの常識を覆すイオンマーキングをご紹介しました。 今号は、さらに細かくイオンマーキングの仕組みと利用方法をご紹介します。
何故イオンマーキングか?
従来のマーキング方法は、レーザマーキングで窪みを作る方法やドットピンで打刻する方法、インクジェット印刷で直接マークする方法などがありました。 しかし、目的に合せてそれぞれに利点がある反面、レーザマーキングやドットピンマーキングは、費用が高価で、利用条件や作業環境が限られ、 金属素材に影響を及ぼす欠点がありました。
そして、マークに凹凸があるため、削ってマークにした部分に汚れや雑菌などが溜まる心配がありました。 マジック・塗料などやインクジェット印刷では、一時的な利用のみで経年利用は印字劣化などで不可能です。
これらの懸念を画期的に取り除いたのがイオンマーキングです。
さてその仕組みはどうなっているのでしょうか?
イオンマーキングの仕組み
イオンマーキングは、電解液を使って印字対象物の金属に通電させ、表面に化学変化を起こすことによりマーキングする方式です。
低い電圧をかけ、それぞれの材質や表面の処理状態に適した専用の電解液の働きにより鮮明なマーキングを作るものです。 電解液は、ほぼ中性を使用するため、マーキングによる錆の心配がないのが特徴です。
電気の通る鉄・鋳物・ステンレス・ジュラルミン・チタン等に、文字や2次元コードを簡単に直接マーキングすることができるのです。 低い電圧をかけ、それぞれの材質や表面の処理状態に適した専用の電解液の働きにより鮮明なマーキングを作るものです。
また、表面の様々な形状にも柔軟に対応できますのでチューブやパイプのような丸いものでも、素材の硬度に関係なくマーキングが可能です。
イオンマーキングの種類と原理
イオンマーキングを使って次の種類のマークが選択可能です。
●黒色マーキング ・・・ 金属表面に対し、黒い皮膜を形成するマーキング
●白抜きマーキング ・・・ 色の濃い表面仕上げに対し母材の色を出すマーキング
●白色マーキング ・・・ 金属表面に対し、ツヤ消し状態を形成するマーキング
●深彫りマーキング ・・・ 母材の色のまま、深く彫って仕上げるマーキング
そのマーキングの方法を、特にバーコードや2次元コードのマークを作るのに相応しい黒色マーキングで簡単にご紹介します。
1) 版を置いたワーク(印字対象物)と、フェルトに電解液を浸み込ませたマーキングヘッドとをそれぞれ交流電源に接続し、 マーキングヘッドをワークに軽く押し当てます。 この時ワークとマーキングヘッドは電極になります。
2) ワーク側が陽極となった時、ワーク表面の金属イオンが電解液に溶け出します。
3) 電解液中の金属イオンは化学反応により、黒色に変化します。
4) 極性が切り換わってワーク側が陰極となった時、電解液中で黒色に変化した金属イオンがワーク表面へ戻り、 皮膜を形成して黒色マーキングとなります。
この作業手順で短時間に、表面精度を損なうことなく簡単にマーキングが行えます。 しかも最小線幅0.12mm、天地0.8mmの文字から印字可能で、鮮明なマークの仕上がりが期待できます。
深堀りマーキングは、ワークとマーキングヘッドの接触時間に比例し、時間を長くしてより深く電解液を素材へ染み込ませる方法です。 用途に応じて色々な組合せでマークを作ることが可能です。
イオンマーキングの必要な用途
世界規模で、消費者に対する安心・安全の取り組みが強化され、厳しい規制や法律によって作業現場が包囲されてきています。 製造物責任を明確にするトレーサビリティは、管理手法の原則であり必要不可欠な対策となっています。
ますます、物と情報の一元管理が必須条件となっています。 バーコードや2次元コードに情報を入れ、さらに人間の目視で現場管理をする時に、物品や用具にダイレクトマーキングが施される場合には、 安価で簡単なイオンマーキングが最適です。
衛生的な環境整備や高温耐熱・耐久性、耐薬品性などのあらゆる過酷な条件下でもトレーサビリティを現実化できるツールとして イオンマーキングが注目されています。
ダイレクトマーキングに最適!
当社が新たに発売したTHIR-6200DDMシリーズは、イオンマーキングを始めとしたダイレクトマーキングに最適なスキャナーです。
当社が独自に開発したデュアルイルミネーション・テクノロジーで従来の読取り時に起きる金属反射を極力抑えることに成功しました。 また、130万画素の“メガピクセルカラーカメラ”を採用し、最先端の画像処理技術で、ほとんどのダイレクトマーキングバーコード・2次元コード の読み取りを可能にしました。
イオンマーキングとTHIR-6200DDMの組み合わせにより、今まであきらめかけていたステンレス製設備品も、 削ることなく美しくマーキングしてバーコードで情報管理が出来るようになります。
当社のダイレクトマーキングの読み取り技術は従来の常識を覆すものです。 是非、この機会に当社営業までお気軽にお問合せください。
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Vol.56「ダイレクトマーキングの読み取り技術について」
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Vol.41「 正しいマーキング装置の選び方(ガラス素材編) 」
Vol.29「ダイレクトマーキング 用途拡大中(後編)」
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