イオンマーキングによる 簡単バーコード印刷(前編)

イオンマーキング

VOL.063 2010年7月号

ダイレクトマーキングの代表と言うとレーザマーキングやドットピンマーキング、インクジェット印刷などでした。 今号は電気を通す金属製品を対象にした画期的な新しいダイレクトマーキング方式“イオンマーキング”をご紹介します。

なぜ新しいダイレクト マーキングが必要なの?

近年では、ラベル印刷に代わりバーコードや2次元コードをダイレクトにマーキングして情物一元管理のツールとして採用する現場が増えてきました。 それに加えて現場の安心・安全のための管理要素がより厳しく過酷なものに進化しています。
工場内で使用する工具類・ラック等にマーキングしてセットミス防止や使用回数の管理に利用したり、 サニタリー配管等の表示、設備機器の資産管理に利用するためのマーキングを検討するところも増えています。
しかし、量産品のマーキングと違って、一度マーキングしてしまえば新しく設備品を更新するまでマーキングの必要がない物品に対しては、 量産品に使用しているような高価なマーキング装置を導入する余裕はありません。
また、食品・医薬用備品など安心・安全の衛生対策に神経を注ぐ現場では、ラベル貼付などによる雑菌繁殖はできる限り避けておくべき課題です。 ラベルの欠点として剥がれやすく、また、剥がれた後の糊面に雑菌が繁殖し易く非衛生的になります。 従ってラベルに代えて備品管理をダイレクトマーキングで行う場合は、従来のレーザマーキングで窪みを作る方法やドットピンで打刻する方法に対しても、 削ってマークにした部分に汚れや雑菌などが溜まる心配を防がなければなりません。 
さらに刻印する対象の材質などにも十分な配慮が必要です。 例えば、ステンレスにレーザでマーキングをすると錆びてしまう恐れがあります。ドットピンで打刻するマーキング方法では、過度の衝撃で素材に余分な影響を与える心配もあります。 どちらも印字対象物をマーカー装置まで運んで作業する必要があるため、大型の備品や機械類には不向きな方法です。しかも、どちらも高価な費用がかかります。 これらの心配を一挙に解決するのが新しいマーキング方法であるイオンマーキングなのです。

イオンマーキングとは・・・

イオンマーキングの簡単メイキング

イオンマーキングとは、電解液を使って印字対象物の金属に通電させ、表面に化学変化を起こすことによりマーキングする方式です。
電気の通る鉄・鋳物・ステンレス・ジュラルミン・チタン等に、文字や2次元コードを簡単に直接マーキングすることができるのです。低い電圧をかけ、それぞれの材質や表面の処理状態に適した専用の電解液の働きにより鮮明なマーキングを作るものです。
また、表面の様々な形状にも柔軟に対応できますのでチューブやパイプのような丸いものでもマーキングが可能です。

イオンマーキングのメリット

イオンマーキングのメリット

このイオンマーキングの大きなメリットは、材質を変化させないので、ステンレスなどにマーキングをしても錆化の心配がなく、 素材に衝撃も与えないので品質にも影響を与えず、その上、印字は半永久的に残ります。
衛生面ではマーキングに凹凸がないので窪みに対して雑菌や汚れが付着しにくいのも特徴です。

操作面では、持ち運びが容易なので、現場に持ち込んで既存設備にも簡単に高品質なマーキングが可能となります。
使用する電解液は危険な薬品は使用していないので人体にも安全です。 そして、なんといってもユーザにとってのメリットは、低価格(レーザマーキングに比べ1/10)で導入が可能な事でしょう。

どんなところで使えるの?

電気を通す金属なら素材や形状に関係なく簡単にマーキング可能

イオンマーキングは、電気を通す金属ならば素材を選びません。特にステンレス製品には最適です。 食品、化学品、医薬品メーカなどの現場では、数多くステンレス製の容器が使われています。

そしてこれらの容器は、頻繁に洗浄・滅菌・過熱など過酷な使用条件に置かれ、とてもラベル貼付では追いつかない厳しい環境を求められています。
そのほか食品・薬品メーカではほぼ毎日、生産に使用した配管設備を分解・洗浄・滅菌して再組立します。分解した同じような部品を再度組み立てなおすため、その順番を間違えないようにマーキングが必要になります。
医療品の現場では、手術器具類等の使用履歴など生命に関わる大事な現場で使われます。 製造現場で油と埃にまみれる管理用の銘板管理などにも、経年劣化で印字の擦れや剥がれの心配がありません。
このように経済的で色々な所で使えるイオンマーキングは、従来のダイレクトマーキングの常識を覆し、利用価値はさらに拡大されて行きます。

イオンマーキングに 最適なスキャナーは?

金属にバーコードや2次元コードを印字して利用する場合に、紙などに印字したものを読むのと同じ位、いかに素早く、 しかも正確な情報読み取れるかということが、スキャナー選びの時の重要なポイントです。
当社がダイレクトマーキング分野で他社に先駆け長年の研究を重ねた経験を生かし新たに販売を開始したTHIR-6200DDMシリーズは、 金属に印字したコードを読取る時に発生する光の反射を十分に抑えた新技術「デュアルイルミネーション・テクノロジー」を採用しています。
この新開発の技術により、ステンレスなどのように表面光沢のある金属でも、スムースなバーコードの読み取り作業が可能になります。 是非、この機会にイオンマーキングとTHIR-6200DDMの組合せによるダイレクトマーキング管理手法をご採用いただけることをお勧めいたします。
次回は、さらに詳しくイオンマーキングの仕組みをお知らせいたします。