2次元コード最新情報~バーコードに2次元コードリーダー?

VOL.036 2008年4月号

QRコードとカメラ付き携帯を利用したアプリケーションで、2次元コードは社会的にしっかりと認知されています。毎日の生活の場以外にも、製造業の現場や私たちの生活を支える場面などで使用されている例を何度か紹介してきました。 今号では、2次元コードの最近の傾向について紹介します。

2次元コードの長所はバーコードの弱点でもある

2次元コードリーダーで一括読み取り

チケットの販売や携帯サイトへのリンクなど、QRコードと携帯電話を利用したアプリケーションが一般に広く知られるようにはなっていますが、 今現在でも2次元コードの主役はまだまだ製造現場です。



皆さんがしばしば目にするQRコードは製造の現場では2次元コードの選択肢の一つでしかなく、 実際には世界的に広く使用されているデータマトリックスやPDF417という2次元コードが使用されています。 2次元コードリーダーで一括読み取り写真のように複数のバーコードがある場合でも、2次元コードリーダーならカメラで一括してイメージを読み込むので、検品の作業効率が上がります。

2次元コードを使用する目的を振り返ってみましょう。製造現場で2次元コードを選ぶ大きな目的(=メリット)は2つあります。

1つめは情報量。2つめはコード自体の大きさです。 バーコードは「誰でも読める」「コストが安い」などの優れたメリットをもたらして来ましたが、 社会の情報化・IT化が飛躍的に進むと共に弱点を露呈してきたのです。 つまりこの2次元コードを選ぶ2つの目的は、そのままバーコードの弱点でもあるのです。

2次元コードを選ぶ2つの目的

バーコードを2次元コードに変えたラベルの例

まずは最初の『情報量』です。

バーコードには英数字しか入れることができません。しかもその桁数は最大でも10桁台です。 一方、2次元コードには英数字のほか、ひらがなや漢字も入れることができる上に、英数字であれば10桁台よりもはるかに大きい数百桁台の情報を 2次元コード化して利用している例も沢山あります。

例えば有効期限や製造日など、製造番号以外のデータをコード化しようとすると、その時点でバーコードよりも2次元コードを選ばざるを得ないのです。 そしてトレーサビリティなどで求められる情報が格段に増えた現在の状況は2次元コードが主役になるのも当然のことです。

2つめの目的は『コードの大きさ(=サイズ)』です。

もともと製造現場には「バーコードはサイズ的に大きい」という問題があります。 読み取れる密度(線の細さ)を限界まで追求しても「こんなに大きなモノを貼ったり、印刷したりするスペースなんてないよ」というケースが珍しくありません。 しかも情報量が増える(=コードの桁数が増える)と、バーコードはさらに横長になっていきます。 これではバーコードに必要な情報を入れても使えなくなってしまいます。

このような状況でも2次元コードでは、バーコードの何倍もの情報量のまま、サイズを非常に小さくすることができます。 液晶や半導体の製造現場では2次元コードの一辺のサイズが1ミリ角(データマトリックスの場合)というのも珍しくはありません。

製造現場で2次元コードが選ばれたときは、概ね上記のような理由で選ばれていて、選択の基準は1年前から今に至るまで大きな変化はありません。

上部の写真と、上のラベルは標準化されている電子部品の梱包ラベルです。現在のラベルはバーコードを3段に並べ使用していますが、 これを2次元コード化するとバーコードの表示領域が節約でき、ラベルサイズが縮小。ラベル制作コストを低減すると共に 小物の梱包箱にも貼り付けが可能になるメリットが生まれます。また運搬中に擦れたりしてバーコードがダメージを受けても、 2次元コードならば最大30%のダメージがあっても読み取れるので、荷札などには適しています。

バーコードに2次元コードリーダを使う

 最近、興味深い使い方をときどき眼にすることがあります。バーコードを読ませるために2次元コードリーダーを使うというケースです。 なぜこのような使い方がされるのでしょう。私たちはバーコードと2次元コードリーダーという「ねじれ」のような使われ方にはいくつかの理由があると考えています。

まず、バーコードリーダーを使用する期間です。 バーコードリーダーや2次元コードリーダーは、一度導入されると平均的に見て5年前後の期間は使われます。 機種選定を行う際に、「これから5年先までのあいだにバーコードから2次元コードに切り替える可能性があるのだろうか」と考えるわけです。 若干でも可能性があるのならば、設備の二重投資を避けるためにもバーコードの読み取りもできる2次元コードリーダーが導入されているのです。 2次元コードリーダーとバーコードリーダーの価格差が以前ほど大きくないことも、バーコードを2次元コードリーダーで読み取るという傾向に拍車を掛けています。

昨今の偽装問題やリコールなどに対応するために、納入業者やお客様からはより細かい生産の管理を求められる傾向もより強くなってきています。 このような諸問題に対応するためには「情報量を増やさざるをえない」「積極的に情報量を増やし、細かく管理することで他社と差別化したい」というようになると、 それまで使われていたバーコードが2次元コードに切り替えられても、しかし使っていた2次元コードリーダーはそのまま使えるというメリットを享受することになります。

バーコードリーダーと2次元コードリーダーの価格差はバーコードより2次元コードのラベルの方が 小さくて済むというランニングコストの低減で吸収することができ、結果的には対投資費用効果が高くなってくるのです。