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『ダイレクトマーキング 用途拡大中(後編)』
Vol.29
前編ではダイレクトマーキングの基本情報 ―― ダイレクトマーキングの必要性や印字の方法などについてお話ししました。 後編の今回はもう少しだけ視野を広げて、生産管理などでダイレクトマーキングが欠かせない理由や、トレーサビリティにダイレクトマーキングが果たす役割、 重要性について解説します。
精算実績管理、履歴管理から品質管理へ
2次元コードのダイレクトマーキングを行ういちばんの目的は、生産実績の収集と工程管理です。 基板やガラス、部品にダイレクトマーキングされた2次元シンボルを各工程で読み取ることによって、生産実績は自動的に収集され、工程管理に必要なデータが揃います。
また生産実績データが保存されていくので、問題が起こった場合にも「いつどこで製造されたものか?」といった情報を元に速やかな対応が可能になり、 万が一の危機管理への対応が可能になります。
製品クレームが発生して混乱を経験したあとや、製造品が人体の生命に関わるような場合には、危機管理という利点に対して付加価値を見いだしやすく、 導入することにも抵抗感が極めて低くなりますが、幸いにもまだ大きな問題に見舞われていない場合の多くでは、導入に係るコスト増が敬遠され、 導入のハードルとなっているケースもあります。
また現実として、システムの導入・運用にかかるコストを吸収できるような製品でないと、なかなか導入できないという状況もあります。
その一方、かつては日本製品のお家芸であり国際的に高い競争力を得る原動力となった「品質」が、現在の製造業では低下しつつあり、深刻な問題になっています。 そのため、少し前までには導入コストを吸収しづらい低価格の製品にもダイレクトマーキングによる品質管理を行う例が少しずつ出てきました。 ダイレクトマーキングの特徴である省スペースを利用することで、特に小型の電子・電気製品の製造現場などで普及してきています。
このような現場では、工程ごとに2次元コードを読み取り、製造レシピや工程管理表と照合することによって投入ミスを防いだり、 2つの部品を組み合わせる際に、両方のコードを読んで紐付けすることによって、より細かな実績管理を収集しています。 結果として万が一のトラブルに対しても素早く適切な対応を取れるようにもなることが導入の決め手になっているのかもしれません。
問題を出さないことは何より重要ですが、それでもダイレクトマーキングが普及し始めたのは、万が一問題が出てしまったときにどのように対処し、 再発を防止するのか?ということに対する世間の目がシビアになっていることも要因の一つかもしれません。
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トレーサビリティ(履歴管理/生産実績収集)だけじゃもったいない?
先ほどお話ししたとおり、ダイレクトマーキングを利用したトレーサビリティのいちばんの目的が履歴管理や生産管理である一方、 時としてこれら管理は「コスト」として見られることが多く、導入に踏み切れないケースが多々あることをお話しました。
製造者として必要な情報を効率的に取得し、その情報を有効に活用するというのは重要なことですが、その行為自体をコストとみなされないために、 このようなシステムを導入している企業は、コストをプロフィットに換えるための「付加価値」をシステムに追加しています。
例えば、2次元コードを読み取る行為が実績収集のほか、次の作業への段取り替えのトリガーとなったり、収集された実績と部品/部材発注のシステムを組み合わせたり、 次の製造レシピや指示につなげたりしています。
このように実績管理や履歴管理という、製造業としては本質の部分に「付加価値」を加えることによって、直接的な導入効果を得ることができます。
目に見えにくい効果に対する投資には二の足を踏む傾向があるかもしれませんが、このように目に見える効果を組み合わせることによってトレーサビリティシステムの 導入が実現するのです。
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