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(いま再び トレーサビリティに注目!(後編))
『トレーサビリティは万能か?』

Vol.25

前号では最近の製品事故からトレーサビリティの重要性と意義についてお話ししました。 今号ではトレーサビリティシステムを導入する上で、実際にはどんな問題があるのか、 その問題点をクリアするための考え方などについて解説します。

トレーサビリティは万能か?

トレーサビリティの意義が認められ、重要性が認識されるにつれて、トレーサビリティ自体の認知度はこれまでに比べて飛躍的に高くなっています。 重要性が認知され、トレーサビリティが普及していくことは、企業としてはリスク管理が強化されることであり、消費者にとっては安全が増すのですから、 歓迎すべきことなのは間違いありません。 しかし、その一方でトレーサビリティがある意味で「神格化」されてしまって、 「とにもかくにもトレーサビリティを導入するのだ」とか、「トレーサビリティさえ実現すればすべて上手く行くのだ」といった極端な誤解がされる可能性も増えてきます。

いうまでもなくトレーサビリティ自体は、安全性確保のために非常に効果的な手段です。しかし、トレーサビリティがあらゆるメーカー、 あらゆる産業のリスクに対する万能薬のように考えられてしまうと、それは間違った方向に進む原因となりかねません。 トレーサビリティの実現を大義名分として前面に掲げて進んでしまったとき、あちらこちらに支障・不合理を生むシステムを構築してしまうことになります。 トレーサビリティは導入すればすべてことが上手く運ぶ「万能薬」ではありません。すべてが上手くいくようにあらかじめ計画されて作られるものなのです。

トレーサビリティ実現に立ちはだかる障壁

原材料から消費者までを1本に繋ぐ完全なトレーサビリティを実現するためには、原材料、部品、加工、物流・流通といった、 その商品に携わるすべての会社や生産者 ―― サプライヤーとの連携が必要となります。 それぞれの部分を担う企業だけで帰結してしまうシステムだけでは成しえないのです。 そして各サプライヤーとの連携という要件がトレーサビリティの実現に大きな足枷となっています。

トレーサビリティを取り巻く環境は認知度が高くなった現在でも、トレーサビリティの概念や規約に関して統一した基準があるとは言い難い状況にあります。 トレーサビリティとひと言で言っても、考え方や捉え方、必要な情報は各企業・担当者によって違いやズレが出てしまうのです。

前号で企業内でのリスクマネージメントのシステムは、現場にもメリットをもたらす一石二鳥のシステムでなければならないとお話ししました。 裏を返せば、現場にも経営サイドにもメリットをもたらすシステムさえ構築すれば、一企業という限定下でのトレーサビリティは実現します。 しかし原材料や部品メーカー(さらに付け加えるなら部品の原材料となるものまで)から物流・流通~消費者までを繋ごうとすると、 企業ごとの価値観や認識のズレが障害になってしまうのです。

なによりリスクマネージメントのシステムは損失の拡大を防止することはできても、直接の利益は生み出しません。 極端な言い方をすれば、利益にもつながらない不必要な作業を他の会社のためにするわけなどないので、トレーサビリティはそこで途切れてしまうことになるのです。
サプライチェーンの中でのトレーサビリティに対する認識の違い

なぜトレーサビリティにはバーコード/2次元コードなのか?

タッチパネル端末+ハンドヘルドスキャナこのようにトレーサビリティの実現には企業間の問題という大きな障壁があります。 この壁を取り払うことは現実にはとても難しいことですが、トレーサビリティ実現のために壁を低くすることはできます。 その手段としてもっとも手軽なものがバーコードや2次元コードを使ったシステムなのです。

リスクマネージメントのシステムは直接の利益を産まないとお話ししました。そのようなシステムに設備投資を行い、情報を管理することが難しいのは当然です。 利益を産むことが至上命題の企業にとって致命的な弱点のように見えますが、バーコード/2次元コードを使えば、企業ごとに違う情報管理システムでも情報の受け渡しがスムーズになり、 また各ポイントで必要な情報を取り出すことができるようになります。 原材料の生産者には生産管理によるメリットをもたらし、流通を請け負う企業には物流管理によるメリットをもたらす。 しかも導入コストは低く、各企業が共通のインフラでデータの受け渡しを行える。 バーコードや2次元コードならば、データ収集を行うすべての場所にメリットをもたらすシステムの構築が可能になるのです。

農林水産省の「食品トレーサビリティガイドライン」の中にトレーサビリティの定義について言及した箇所があります。 ガイドラインによると、「トレーサビリティシステムは、あくまで食品とその情報の追跡、遡及のためのシステムであり、 製造工程における安全性(衛生性)管理や品質管理、工程管理を直接的に行うものではない。」とされています。

トレーサビリティシステムの構築段階でリスクマネージメントだけを主眼に置いていると、 構築したシステムを現場に導入した途端に「運用のための運用」が発生してしまうことは前号までにお話しした通りです。 また、リスクマネージメントだけで投資効果を捉えてしまうと、必要性は理解していても導入には及び腰になってもおかしくありません。 このようなことを考慮すると、それぞれのポイントで費用対効果の見出せるシステムにすることで導入のハードルを下げ、 そこから生み出される実績を連鎖させることで、副産物のようなかたちで完全なトレーサビリティを構築する。 このような捉え方でトレーサビリティを考えるとバーコードや2次元コードほど便利なものはないのです。

今後、トレーサビリティの重要性は増すことはあっても低くなることはありません。企業にとってはリスクをコントロールし、 消費者に安全を提供する手段として、社会的な信用確保のためにもトレーサビリティは必要不可欠になっていくと思われます。 トレーサビリティの実現が必須なのであれば、バーコードや2次元コードこそいたるところでメリットをもたらすことができる『万能薬』と言えるのかもしれません。
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技術情報誌 Flags(PDFデータ) 2007年5月号(964.43 KB)

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