トップ > 自動認識トレンド情報 > GS1合成シンボル 印字の課題
自動認識トレンド情報
技術情報誌 Flags

MONTHLY MARS TOHKEN SOLUTION NEWSLETTER
『GS1合成シンボル 印字の課題』
Vol.22
前号では、医療用医薬品への「RSSコード」、「RSS/合成シンボル」表示についての現在までの流れをご紹介しました。今回はRSS/合成シンボルをめぐる話題の中から、印字についての最新情報をご紹介します。
なぜRSS/合成シンボルが注目されたか
GS1合成シンボルの導入が、医療用医薬品へバーコードを表示することで、医療事故防止に向けたトレーサビリティを実現しようとする目的であることは、前号でご紹介しました。主旨や目的は医療に携わる人たちだけではなく、患者 ―― いつか患者になる可能性がある私たちにとってもメリットがあることです。
当社ではこれまでに何度かGS1合成シンボルに関する勉強会を開催して参りましたが、参加者の方に共通して見られる懸念がありました。それは印字に関する課題です。
これまでも医薬品メーカーでは医薬品の箱や運送用の大箱にバーコードを表示してきています。言い換えればすでにバーコード表示に関する知識も経験も持っておられる方ばかりです。そのような状況であるにもかかわらずなぜ疑問・懸念が出てくるのでしょうか。そこにはGS1合成シンボルの実施における大きな課題があるのです。
GS1合成シンボル標準化のポイント
昨年9月、厚生労働省から日薬連(日本製薬団体連合会)などに対して通知された実施要領と、その実施要領に基づいて日薬連が加盟団体に向けて通知した「医療用医薬品新コード表示ガイドライン」には、いくつかのポイントがあります。
大きなポイントの一つはGS1-128(従来のUCC/EAN-128)を使って、国・メーカー・商品といった流通に必要な情報の他に、有効期限やロットなどの内容を表示することであり、もう一つはこれまで医薬品の「販売単位」で管理されていたものを1ランク細分化して「調剤単位」でも管理をしようというものです。「医療事故防止」、「医薬品の取り違え防止」という観点からみれば、この「調剤単位」での情報管理は不可欠であり、当然のことでしょう。しかし医薬品メーカーにとって、調剤単位でのバーコード表示は新たな挑戦でもあるのです。
表示をめぐる課題
会社やご自宅にある薬箱の中身を思い出して下さい。薬箱には風邪薬や頭痛薬といった、「調剤単位」で包装された医薬品が一つくらいはあるのではないでしょうか。透明なペット素材で錠剤が小分けされ、裏面には金属箔のシートが貼られて封がされています。裏面の金属箔には薬品の名前や製薬メーカーの名前などが印刷されているはずです。
これらは、包装材メーカーによって印刷され製薬メーカーに納められます。製造工程上ではこれらの包装材に薬品が入れられ、医薬品として完成にいたるという流れです。ところが、今後、管理情報としてバーコード化した情報が必要になる有効期限や製造番号といった情報は製造する段階で発生する、いわば「変化する情報」です。当然のことながら事前の印刷などできません。
「販売単位」でこの変化する情報を付加することが求められていますから、これまで包装材メーカーで印刷していたものに加えて、製薬メーカーが医薬品を製造する「調剤単位」でも変化する情報を印字する必要が出てきます。また、瓶や注射剤などではアンプルやバイアルにバーコード表示をしなければなりません。
高速・大量に生産される医薬品それぞれに対してどうやって有効期限や製造番号という「変化する情報」を印字するか。これがRSS/合成シンボル導入への課題なのです。
もう一つの課題"グレード"
さらにこの課題の解決を難しくしているのが、ガイドラインでも通知された「印字品質」。ガイドラインでは印字品質を「グレードA」「B」「C」「D」「F」の5段階(「E」は飛ばされています)に分類し、医療用医薬品におけるRSS/合成シンボルの印字品質はグレードC以上であることを求めています。
これまでは、事前印刷でバーコードの印字品質の確認が出来ていましたが、今後は、小さなスペースに「変化する情報」を印字し、一定以上の印字品質を求められることになるのです。包装材メーカーも、医薬品メーカーも、医薬品搬送機メーカーも、これまで積み重ねてきた経験やノウハウとは違うやり方でこの課題をクリアしなければなりません。
日薬連からのガイドラインでは、医療用医薬品におけるRSS/合成シンボル表示の標準化実施目標を2008年9月としています。まず、最初に有効期限と製造番号の表示が義務付けられる医薬品は「特定生物由来製品」、「生物由来製品」ですが、生物由来製品を除く内服薬や外用薬も 3年~5年後の表示実施を目標に進んでいます。
やがてはすべての医薬品に対して有効期限と製造番号をバーコード表示するときが来るでしょう。そのときのためにも、いま眼前にある特定生物由来製品および生物由来製品へのRSS/合成シンボルの印字をクリアしなければなりません。
印字のグレード判別を強力にサポート
このような現状に対し、バーコードリーダーメーカーもそれぞれに対応を始めています。
>>当社製品「GS1認定 バーコード検証機 [INTEGRA 9510-5]」のご紹介
関連flags記事
flags Vol.97『医療用医薬品への可変情報表示検討セミナー』『講演内容のご紹介(続編)と第2回ワイヤレスM2M展 開催レポート』
flags Vol.96『医療用医薬品への可変情報表示検討セミナー』『講演内容のご紹介(後編)』
flags Vol.95『医療用医薬品への可変情報表示検討セミナー』『講演内容のご紹介(前編)』
flags Vol.89「医療用医薬品の新バーコード表示(後編)」
flags Vol.88「医療用医薬品の新バーコード表示(前編)」
flags Vol.45「GS1合成シンボル、2009年の展望」
flags Vol.35「いよいよ始まる医療用医薬品のバーコード表示」
flags Vol.21「RSS/コンポジットコード最新情報!!」
flags Vol.14「医療・薬品業界注目!RSSコンポジットコード(後編)
flags Vol.13「医療・薬品業界注目!RSSコンポジットコード(前編)」
技術情報誌 Flags(PDFデータ) | ![]() |
---|
関連製品
GS1認定 バーコード検証機[LVS 9510-5]
簡単操作で抜群の繰り返し精度。 バーコード&2次元コードを最終形態で検証可能
LVS 9510は、カメラタイプの検証機なので2次元コード含む全てのバーコードが検証できます。 わかりやすい日本語での検証結果表示で、誰にでも簡単に検証操作が可能となっています。 さらに、検証結果を表示するだけでなく、低グレードの場合には解析情報まで表示されるので、その後の印字品質の改善ヒントとなります。
関連ソリューションパッケージ
技術情報誌 Flags
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
-
Vol.32
読めば完璧!!ハンディターミナルの機能と特徴~ハンディターミナル後編 -
Vol.31
ハンディターミナルの運用事例~ハンディターミナル前編 -
Vol.30
流通商品コードの現在 -
Vol.29
ダイレクトマーキング 用途拡大中(後編) -
Vol.28
ダイレクトマーキング 用途拡大中(前編) -
Vol.27
2次元コード基礎知識~意外と身近な自動認識技術 その2 -
Vol.26
データから見る自動認識市場の最新動向 -
Vol.25
トレーサビリティは万能か?(いま再び トレーサビリティに注目!(後編)) -
Vol.24
目指すのは一石二鳥のシステム(いま再び トレーサビリティに注目!(中編)) -
Vol.23
いま再び トレーサビリティに注目!(前編) -
Vol.22
GS1合成シンボル 印字の課題 -
Vol.21
RSS/コンポジットコード 最新情報!!