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『ESD対策その後』

Vol.18

近頃では、電子部品やハードディスクだけでなく携帯電話やカーナビの製造現場でもその重要性が注目され始めたESD対策スキャナー。2005年6月号(『ESD対策の重要性』)でもESDの基本的な説明と当社の取り組みを特集しましたが、その後の反響が非常に高く、今回はおさらいを兼ねて当社最新の取り組みをご紹介します!

ESD対策が注目されるには理由があった

ESDとは、Electro-Static Discharge(静電気放電)の略称で、人体やプラスチックなどの帯電した導電性の物体が、電子部品・電子機器のような導電性物体に接触したり、接近したりすることによって発生する現象で、電気機器の誤作動や損傷など深刻な問題を引き起こしています。

ESDがやっかいな問題であるのは、静電気が『目に見えない』という点にあります。そのため、高度な静電気対策が必要とされる場所では、電卓から筆記用具まで、すべてにESD対策済みのものを使用するという、徹底した対策が施されています。

ではなぜ、今になってこのようにESD対策がクローズアップされてきたのでしょう?近年の電子部品業界では、電子デバイスの高速化や省電力化実現のため、素子構造を微細化していることが多くなっています。そのためESDに対する耐性が従来と比べて更に低くなっており、静電気による損傷の頻度が増えていること、またESDへの耐性が低い部品を使用するユーザー ―― 例えば自動車業界のように、メーカーによる部品供給会社の実地監査が増えていることなどが、製造現場でESD対策が重要視されるようになった大きな理由の1つとされています。

原因不明の故障はESDが犯人?

製造現場を例に取ってお話しましょう。

静電気放電によるデバイスの損傷の危険が最も高いのが、プリント回路基板に半導体デバイスを実装する工程や、デバイスの検査工程です。これらの工程ではデバイスのパッケージ部分が摩擦静電気によって帯電したり、静電気帯電した装置や冶具からデバイスを経由して他の導体にサージが流れたり、またボードを扱う人が帯電し、デバイスに放電したりということが、ESDによる損傷の要因と考えられます。一方、ボードが電子機器に組み込まれたあとは、ESDによる損傷の危険性は大きく減少します。

減少する理由は、機器の内部でESDサージが流れることがまれであること、仮にサージが発生したとしても電流経路は確保されているので、サージがデバイスに流れて損傷を起こすことはまずないためです。したがって、ESDスキャナーのニーズが高いのはボードが組み込まれる前の段階 ―― 半導体や静電耐性が低い電子部品製造工場や、プリント基板を使う組立工場/工程などになります。

このように電子部品や機器の製造過程では、静電気が目に見えない損傷を引き起こす原因になる可能性があります。この損傷を出荷テストの段階で確認できた場合、損傷した製品が市場に出ることはありませんが、損傷を受けた製品は出荷不合格となり、歩留まりを下げて直接的な損害が発生します。

一方、このようなケースよりも性質が悪いのが、静電気が原因で部分的な損傷を起こし、その結果として故障が発生するケースです。

この部分的な損傷の困ったところは、いつどのように故障が発生するのか予測がつかないところにあります。静電気による部分的な損傷は、特性の変化を起こすかもしれませんし、出荷テストの段階では仕様の範囲内であったにもかかわらず、後で顧客が使用している最中に故障するかもしれないのです。

一説によるとESDによって損傷を受けたディバイスの90%がこの形で発見されているという話もあり、原因不明の故障の多くはESDに起因している可能性もあります。出荷側には不良品という認識がないので、例えば『故障した』というようなユーザーからの電話に対しても、適切な対応を取れないかもしれません。その小さな積み重ねが原因で顧客の信用を無くす可能性すらあります。また修理や交換となった場合、技術者の工賃や取替え費用など、予想してなかった費用が発生することになります。

ESD対策はどんなところで進んでいるか

それでは他に先んじてESDに対して興味を持っているのはどのようなところなのでしょうか?

当社の販売経験からは、以前よりESD対策を強化していたハードディスク製造工場や自動車向け半導体の後工程、携帯電話向け半導体・組立て、カーナビの製造工場などでのニーズが上がってきていると思われます。

ハードディスク製造工場は別として、その他の業界・部門に共通して言えるのは、誤作動や故障が人の生命に関係したり、ユーザーに重大な損害をもたらしたりする可能性があるということです。もしブレーキをアシストするセンサーが誤作動したら、重大な事故が発生する可能性が高くなります。「おサイフケータイ」や家のカギとして使用されている携帯電話が誤作動したら大変なことです。このように人の生命に関係するところ、ユーザーに対して何らかの重大な損害を与える可能性が高い製品を製造しているところで、ESD対策スキャナーのニーズが高まってきています。

また最近の傾向として、製造の現場サイドではESD対策スキャナーの導入にはあまり積極的でない一方、同じ工場の品質管理部門や上級管理者の方々はESDがもたらす問題をより重大にとらえてESDスキャナーの導入に積極的であるという大変興味深い傾向も見受けられます。

当社の最新取り組みとして、以前よりご好評いただいている各ポイントで均一の抵抗値を保証したレーザータイプのESDスキャナーTHLS-7000のほか、11月には新型イメージャー『THIR-6000』を発売します。

金型射出成型方式では非常に困難なスキャナー全体での抵抗値の保証をクリアするため、両タイプともESD対策の専門企業と共同で開発した製品で、スキャナー全体で均一の表面抵抗値106Ωを実現しています。そのほか、カーボンフリー、低イオンコンタミネ-ションや低アウトガスなど、ESDスキャナーとして必要な要素を取り入れています。

技術情報誌 Flags(PDFデータ) icon_pdf_big.gif2006年10月号(1.48 MB)

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