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『医療・薬品業界注目!RSSコンポジットコード(後編)』

Vol.14

医療現場でのトレーサビリティを実現するための新たな取り組みとして「RSSコード」「RSS/コンポジットコード」が注目されていることをご紹介しました。その後も厚生労働省からコメントが発表されるなど、動きはさらに活発になっています。今回は前号に続き、医療関係業界で注目のRSSコードを詳しくご紹介します。

なぜRSS/コンポジットコードなのか


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国内の医療機器メーカーでEAN128を使った流通トレーサビリティが進んでいることは、前回ご紹介しました。日本での医療材料流通のトレーサビリティは、アメリカで始まった医療機器のトレーサビリティが外資系の医療機器メーカーを経由して、導入が進んできたものです。この医療機器の流通トレーサビリティは、あくまで医薬品や注射器などの流通経路の把握が主たる目的になっていました。食品などと同じように、メーカー側での製造過程で何らかの問題が発生した場合に、速やかに流通経路を辿り、事故を未然に防ぐといった、いわばメーカー側から見たトレース管理として進められてきたものです。トレーサビリティの終点は病院など医療の現場でした。

ところが、昨今取り上げられる機会が増えた医療ミスは、納品された医療機器が実際に使用される際に起きる問題です。流通の最終的な行き先として納品された医薬品が、その後ミスなく使われるためには、医療機器や医薬品が患者に使用されるまでを通してトレースしなければなりません。そのためには医薬品・医療機器を個装単位で管理することが必要になります。ところが梱包単位の流通履歴 ―― 病院に納品したところまでの履歴を念頭にコード体系が定められたEAN128では対応できないという現実があります。

また個装単位での管理を行うためには医療機器一つ一つにバーコードを貼る必要がありますが、医療機器ではバーコードのために使えるスペースが極端に小さくなります。そこで小さい印字スペースに大きな情報量を入れるために、新たに考えられた省スペース印字用のバーコードが「RSS/コンポジットコード」なのです。

RSS/コンポジットコードは2つの要素からできあがっています。RSSコードは商品コードをあらわすために使われ、パッケージインジケータ(PI)と呼ばれる梱包形態を表す数字(1桁)+商品コード(12桁)+チェックデジット(1桁)(※)の合計14桁で構成されます。この14桁を「GTIN(ジーティーイン Global TradeItem Number)」と呼びます。2006年3月に日本製薬団体連合会(日薬連)から発表された「医療用医薬品流通コード標準化プロジェクト」の通達によれば、このGTINに加え、「有効期限」と「製造番号又は製造記号」を表示するとされています(表示義務と任意表示の別については下記の表を参照)。

※<チェックデジットとは> 通常、データの最後にデータを一定の式で計算した値を付け、読み取りの際に同じように計算して、読み取ったデータが正しいかどうかをチェックするための数字。

飛躍的に普及する可能性は大きい

厚生労働省と日薬連が主導している医療ミス防止のためのシステム作りですが、この先の標準化に至る道筋はどのように予測されるでしょうか。先にお話ししたとおり、外資系メーカーに始まったEAN128での医療機器の流通管理はすでに広く知られていて、いまも実際に運用されています。

しかしメーカー側から見たトレース管理は、医療機器の製造ミスが起きた場合に対応の迅速性には役立ちますが、そのことが直接的に医療ミス防止には繋がりません。これはあくまで病院へ納品するまでの管理であり、通常は実際の治療・投薬といった現場までは届かないのです。したがって医療ミスを防止するためには、病院側から見たトレース管理 ―― どの薬がどのメーカーからどれだけ納品されたか、その薬の名称や有効期限、どの患者にいつどの薬を投薬したかという管理が必要になります。しかし、治療・投薬といった医療の現場でバーコードが活躍しているケースは、現状ではごく僅かな病院に限られています。

バーコード・2次元コードを利用したトレーサビリティの実績を振り返れば、RSS/コンポジットコードを使ったシステムの導入が、「ヒューマンエラー」と考えられてきた一部の医療事故についていかに効果的な防止策であるかは言うまでもありません。大きなコストをかけて新しいシステムを導入することには、病院側にも抵抗があると言われています。しかし、事故が発生した場合に起こりうる損害賠償などのリスクや、裁判にかかる労力などを考えると、RSS/コンポジットコードを使った事故防止システム導入にかかるコストは決して高いものではないのです。また医療機器メーカーではすでにEAN128を使った管理システムが普及しているので、RSSコードを併用するようになっても、既存システムを発展させるかたちで、さほど大きな投資をせずに十分に対応ができる状態にあります。

生命に関わる事故を防止するという点で、治療の際のリスク軽減という病院側の利益と、安全確保という患者側の利益が見事に一致しているので、この先、RSS/コンポジットコードが認知されるようになると、他の病院との差別化ということまで含めて、導入する病院が加速度的に増加することは十分に予想されます。

●調剤包装単位での表示義務・任意表示
今後、調剤包装単位と同様に、「販売包装単位」「元梱包装単位」でも表示義務、任意表示の標準化が進んでいく予定です。
調剤包装単位とは、製造販売業者が医薬品を包装する際の最小の包装単位のことで、錠剤・カプセル剤であればPTPシートやバラ包装の単位、 瓶・注射剤であればアンプルやバイアルが調剤包装単位となります。
医療医薬品の種類 商品コード 有効期限 製造記号番号
特定生物由来製品 必須 必須 必須
生物由来製品(特定生物由来製品を除く) 必須 任意 任意
内服薬(生物由来製品を除く) 必須 任意 任意
注射薬(生物由来製品を除く) 必須 任意 任意
外用薬(生物由来製品を除く) 必須 任意 任意
技術情報誌 Flags(PDFデータ) 2006年6月号(983.38 KB)

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