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『どんなものにも応用可能『小分け/投入システム』(前編)』
Vol.10
製造工程の中でいちばん自動化が難しいと言われ、実際に作業者の能力に依存する部分が非常に多い『小分け/投入』の工程。 今月と来月の2回にわたり、この工程へのシステム導入の現状と問題点を探り、バーコード/2次元コードを使った解決方法について解説します。 今月は前編としてシステム化を妨げている要因を探ります。
高額なシステムも宝の持ち腐れ?
加工/ 製造工場を覗いてみると、製造工程の最初の部分である原材料の『小分け/ 投入』の部分は、いまだ熟練した作業者の能力に依存しているケースを良く見かけます。 このようなケースを別の角度から見てみると、現在の生産性は熟練者の経験・ノウハウ・裁量によってもたらされているものであると言えるでしょう。 そしてコンピューター・テクノロジーが飛躍的に進歩し、企業のIT化が進んだ現在でも、このように作業者の能力に大きく依存する部分がしっかりと残っている現実には矛盾を感じます。 これは恐らくこの部分をIT化してしまうと、本来の目的である生産性の向上はおろか、現在のレベルを維持するのも難しくなるのでは? という呪縛のような認識がまだしっかりと残っているためだと思われます。 さらに品質の信頼性までも人間に頼っているケースも多く、結果として経験を積んだ作業者の熟練した能力自体が、生産現場全体のIT化を遅らせる要因のひとつになっていることも多いのです。 現場では、作業者の勘や経験による作業に依存するあまり、システム構築から導入が遅れる一方で、工場や会社全体では基幹システムや生産管理システムが導入されているケースを良く目にします。 しかしながらこれら高価なシステムもデータの源である『小分け/ 投入』の部分が抜け落ちているわけですから、宝の持ち腐れといっても過言ではありません。
「入り口のIT化」が難しい理由
加工/ 製造工場では、当然ながら基本となる計画やレシピなどが存在します。 しかし、この『原料の小分け』や『原材料の投入』の工程では、先にお話したように熟練者の経験や勘に依存しているケースが多く、 その結果としてシステム導入が最も難しい工程の1つと言われてきました。これらの工程は、製造工程で言うといちばん最初の工程ですから、 この部分がIT化されないまま生産現場全体をIT化しても、データのもとがないままという状態になります。これでは仏作って魂入れずの諺のごとく、本当の意味でのIT化など進むわけもありません。 では何がこの「入り口のIT化」を邪魔しているのでしょうか。 その最大の原因が熟練者のノウハウや裁量によって一定の生産性を維持できたという認識にあることは、先に述べたとおりです。 ナレッジマネージメントの権威である野中教授が指摘している通りに、日本人にとってこのアナログデータ(暗黙知)をデジタル化(明示知)に変える試みは決して得意なものではなく、 今回の例のように敬遠する傾向があるのは事実だとおもいます。
ただし、計画やレシピのある加工/ 製造工場などは、パン職人の『技』や意匠伝承芸をデジタル化するような困難なものではなく、 むしろマニュアル化・IT化しやすい例だといえるでしょうし、実際に現在では多くの企業においてバーコードや2次元コードを利用したシステムが導入され、 効率的な業務運営が行われています。 このアナログデータの継承のようにIT化・マニュアル化を妨げかねない要因は、その他にもあります。代表的な例が「原材料の管理の困難さ」です。
加工品の原材料は一般的に1つのベンダーからでなく、数多くのベンダーから入荷されます。 しかし各ベンダーから入荷する原材料に付された原料コード、ロット番号、使用期限などのデータフォーマットは統一されていない上に、表記方法まで違うという状態です。 最初の入口がこの状態ですから、システム導入を検討しようかと考え始めたとしても、現状の複雑さをフォーマット化する作業の大変さに気が滅入ってしまって、 なかなか導入に踏み切れないのも仕方がないのかもしれません。
(次号に続く)
Mini Column~ミニ・コラム アメリカの食品医薬品局(FDA)のバーコード規則がいよいよ発効
1999年、アメリカでは年間75万件もの医療事故が発生し、8 万人を超える患者が死亡しているという事故統計がA SH Pから発表された。 最も多い事故原因は「投薬ミス」によるもので、死傷者は最大で年間10万人、賠償金は約20兆円と報告されている。 米国の行政機関FDA(米国食品医薬品局)は、バーコードを使った医薬品やカテーテルなどの医療資材管理の法規制化を進めてきたが、 2004年2月に発表された「バーコード規則」は今年から完全義務化され、医薬品の混入や投薬ミスなどの防止効果が期待されている。 一方、日本では厚生労働省を中心に同様のシステム作りを進めているものの、今春、ようやくガイドラインが発表される状況で、アメリカと比べるとまだ遅れが目立つ。 カルテの開示など、医療事故撲滅のために病院側もかなりの努力をしているが、ヒューマンエラーを防止して、誰もが安心して治療を受けられる社会になるためには、 もう少し時間が必要なようである。
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