ヘルスケア分野の自動認識 ~バーコードスキャナ編~

VOL.181 flags 2020年6月号

ここ数か月COVID-19(新型コロナウイルス)に関するニュースを見ない日はありません。現在、日本でも緊急事態宣言は解除されましたが、さらなる感染拡大を防ぐためにも日常生活も含め、マスク着用や手洗い、消毒の励行が求められています。今回はヘルスケア分野でのバーコードスキャナの使われ方をお話しします。

ヘルスケアにひろがる自動認識

 病院や薬局、介護、製薬、医薬品卸といったさまざまなヘルスケア分野にも自動認識は広がっています。なにしろ人命にかかわる分野ですのでミスは許されません。それをとにかく大急ぎで処理をしなければなりませんから、かかわる人たちはヒューマンエラーがないよう神経をすり減らしています。しかし、医療分野の人手不足はまだまだ解消されそうもありません。
 忙しい処置の中で、「間違えないようにする」、「間違えたことがわかるようにする」ことが必要です。そのため人間でなく機械の力でチェックを行う、ミスを発見するといったバーコードをはじめとする自動認識技術の活用が求められています。行政からもあわせて昨年、厚生労働省より法律改正が行われ、医薬品、医療機器の包装等へのバーコード表示が義務化となりました。

三点照合

 投薬ミスや患者取り違いミス等による医療事故を無くすため、患者、看護師、医薬品を機械的に認証する三点照合が良く行われています。患者投与時には、
①誰が(看護師)
②誰に(患者)
③何を(薬品)
の3点チェックを看護師の目視チェックではなく、患者のリストバンドに表示されたバーコードと医薬品に表示されたバーコードを読ませる事により、確認し、万が一の誤投与や患者取違いにアラートを発し、ミスの防止に役立てます。もちろん同時に投薬の履歴も記録できます。

注射薬調剤確認

 薬剤同士を混ぜ合わせる混注作業において混ぜる薬品の種類や容量を間違えてしまうと患者に投与する前にそのミスを発見することは非常に困難です。どんなベテランでも目視でのチェック作業では必ずヒューマンエラーが発生します。さらに事故が発生した場合にはチェックした記録は残っていても、目視チェックの結果では信憑性が問われる事となります。
 そこでバーコードを使ったシステム活用ですが、注射箋の指示に従い患者ごとにセットすることを想定すると、
①注射箋の指示データから予定の薬品を画面に表示
②実際に一つ一つ薬品のバーコードをスキャナで読み取らせる
③注射箋と、出された薬品の種類と数量を監査
④種類や数量に誤りがあった場合は警告音とともに画面にエラー表示
これにより注射箋に指示された以外の薬品は機械的にエラーが表示され、誰でも間違えのない作業の仕組みが構築されました。

バーコード表示義務化

 2019年、医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するために法律(医薬品医療機器等法)が改正されました。この中で法律による医療機器等の包装等、バーコードの表示の義務付けがなされました(2022年まで猶予期間)。すでに医療用医薬品に関しては国際的な標準規格であるGS1コードの表示割合は100%といわれています。
 表示されているGS1コードには、商品識別コード、有効期限、ロット番号などが情報として含まれています。これを読み取ることでチェック、ミス防止に活用できます。

おわりに

 新型コロナウイルスの影響でもともと多忙を極めていた医療関係者がさらに忙しくなっています。我々のできることはまずはできるだけ予防して病気にかからないようにするということではないかと思います。手洗い、消毒をしっかりして乗り切りましょう。また消毒剤対応スキャナ製品の詳細、ご相談は当社担当営業までお気軽にお問合せください。