RSS/コンポジットコード 最新情報!!

GS1 image

VOL.021 2007年1月号

医療現場でのトレーサビリティの実現と医療・投薬のミスを防止するために、医療用医薬品に「RSSコード」、 「RSS/合成シンボル(コンポジットコード)」による表示の実施が進められています。今回はRSS/合成シンボルの最新情報をご紹介します。

RSSコードをめぐる概況

販売単位と調剤単位

今年9月、厚生労働省から日薬連(日本製薬団体連合会)などに対して医療用医薬品へバーコード表示を行うための実施要領が通知されました。 この通達は、これまでにもご紹介してきたとおり、医療用医薬品の取り違えによる医療事故を防止するために医薬品のトレーサビリティを実現することを目的としています。 さらに、その背景には政府が政策の重要テーマとして医療分野のIT化を推進しようとしていることもあり、 医療用医薬品へのバーコード表示は、2008年9月の標準化実施にむけて順調に進んでいるという状況にあります。



日薬連では厚生労働省からの通知を受け、9月に加盟団体に対して医療用医薬品に新しいコードを表示するためのガイドライン策定を通知しました。その後、質疑などを経て、 11月に詳細版ともいえる「医療用医薬品新コード表示ガイドライン」が通知され、加盟する製薬メーカーでは製造する医薬品に対してRSS/RSS合成シンボルもしくは GS1-128(従来のUCC/EAN-128)を使って、国・メーカー・商品といった流通に必要な情報の他に、有効期限やロットなどの内容を表示することが決定しています。

標準化によるメリットとは

この医療用医薬品のバーコード標準化は、これまで100錠入り、30錠入りといった販売される単位まででとどまっていた管理単位を細分化し、 調剤単位――注射剤はアンプル・バイアルの1本単位、10錠前後の単位でシート化されている錠剤やカプセルのような場合には、そのシート単位 ――まで管理できるようにするというものです。この管理単位の細分化によって、製薬メーカーから流通業者を経て各病院・薬局で実際に患者に投薬・ 販売されるまでのトレーサビリティが可能になります。

すでに各製薬メーカーでは、原材料から製造工程~出荷までの情報管理が行われているので、流通管理が行われることによって、 医薬品は原材料から患者への投薬まで追跡が可能になるのです。

今回の流通コードの標準化は、メーカーにとっては流通在庫を把握が可能になる ――必要以上の生産を防ぐことができるというメリットがあります。 このメリットは原材料を納入する業者、メーカーと病院・薬局を繋ぐ流通業者にも及ぶことは言うまでもありません。

他方、医療の現場では医薬品に表示されているバーコードを利用して投薬のミス防止に役立てることができ、患者は安心して治療を受けられるという、 三者三様にメリットを享受できるようになるのです。

政府が重要視した医療ミスの防止と医療のIT化という2つの課題が、今回の標準化によって解決のスタートを切ったといえるでしょう。

なぜ RSS/RSS合成シンボルか?

RSSコードとRSSコンポジットコード

これまで医療機器は「UCC/EAN-128」というコード体系で管理されてきました。

このなかにはメーカー、商品といった流通情報から有効期限・ロット番号などの情報まで入っています。今回、医療用医薬品に適用される内容表示で求められている 管理項目と大きな差はありません。

ではなぜRSS/RSS合成シンボルという新しいコードが必要なのでしょうか。ポイントは「管理の細分化」にあります。 これまでの管理単位は「販売単位」だったことはすでにお話ししました。ところが今回、管理単位が細分化されることで、従来はバーコードなど印字していなかった ところにも同じ内容の情報をバーコード化して印字する必要が出てきたのです。

「調剤単位」で管理するためにバーコードに与えられるスペースは限られています。 従来のUCC/EAN-128のようにスペースを必要とするコードでは印字ができないため、省スペースで印字が可能な「RSS/RSS合成シンボル」が採用されたのです。

SSコードとGTIN

これまで流通のように商品情報を管理するシステムでは国際的に標準化された「JAN」と「ITF」の2種類のコードが使われてきました(ITFは集合包装商品コード)。 この規格が2010年3月までにすべて「GTIN(Global Trade Item Number)」という新しい体系下で管理されることになっています。 医療用医薬品の管理に使われる「RSSリミテッド」や「GS1-128」はGT-INに準拠した形で作られており、製薬メーカーの商品については、 GTINへの移行が完了する2010年を待たずに、いち早く新しい管理体系下で商品コードなどが管理されることになります。